日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 「新年好!」であります。昨日1月26日は旧暦の1月1日であり、旧正月(春節)で祝う中国、香港、台湾あたりにとっては、まことにおめでたい日ということになります。

 私も最寄りのコンビニの中国人アルバイトどもに「派利是」(「利是」を配る)をしてきました。中国本土は日本のお年玉同様、大人が子供に配る「壓歳錢」が主流のようですが、なぜか香港は「派利是」といって、既婚者が独身者に意味不明の御祝儀をバラまきます。

 まあ、それはそれとして。

 今年の春節報道はさすがに全面的な「ワショーイ」ではなく、含みを残したものになっています。心から万歳を叫べない、といったところでしょうか。主要先進国の景気後退に伴う影響、大量の失業者、また超格差社会という火種が昨秋から顕在化していますから、馬鹿騒ぎはできない模様。

「中国を取り巻く状況は厳しいが」

「底が見えない金融危機」

「この逆境を逆にバネとして発展の足がかりに」

 といった記事が春節の期間に出されるというのも、近年では異例のことです。

 この半年ばかり記事漁りをしていなかったので、いつごろから着手されているのかはわかりませんが、大学新卒者を農村の幹部にする、という党中央によるキャンペーンも本格展開しそうな気配。いうまでもなく、失業対策ですね。

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 春節を前にして、胡錦涛・国家主席は革命聖地のひとつである井岡山を訪れ、温家宝・首相は四川大震災の被災区を回りました。どちらもキャラ通りの「ありがち」な視察行です。

 井岡山はともかく、温家宝の視察を受けた被災地の人々の感想はどういったものだったのか、気になるところです。これは中国全体にいえることですが、「官」への反感はあるものの、その怒りの鉾先である「官」は往々にして地元当局であり、温家宝のような「えらい人」に対しては双手を挙げて歓迎してしまうところがあります。

 民度といってしまえばそれまでなのですけど、「えらい人」が地元当局をとっちめてほしい、という期待のようなものがあるのです。庶民、特に農民にとって党中央とはそれほどの高みにあります。

 例えば。四川大震災で倒壊し244名の死者を出した小学校の子供たちの親が連名で抗議文を発表し、タレ込み系ニュースサイト「博訊網」にてそれが公開されました。春節を控え歳末気分が盛り上がってきたころです。

 怒りとやるせなさが全文を覆うなか、その怒りの鉾先はやはりあくまでも地元当局。昨年9月の温家宝の現地視察に対しては直訴めいたことをするつもりだったのに、地元当局に故なく妨害された、という一節があります。

 ●「博訊網」(2008/01/21)
 http://news.boxun.com/news/gb/china/2009/01/200901212351.shtml

 似たような事例は農村暴動などでもみられます。地元当局の悪辣ぶりを省政府が暴いてほしい、党中央が救いの手を差し伸べてほしい、といった気分が農民たちにはあるのです。

 このあたりの機微が一皮剥けて、「省当局も党中央もアテにならない。所詮は共産党だ」という認識が浸透することになると、横の連携も生まれる可能性があります。地元当局の上級組織(例えば省当局)が頼りにならないと感じれば、地域を超えた連帯が生じるでしょうから。

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 あるいは不穏なのかも知れないのは、先代の最高指導者・江沢民が1月24日、上海にて春節を控えた恒例のイベントを実施したことです。主催者は上海市当局なのでしょうけど、上海市のトップである兪正声・市党委員会書記や韓正・市長を従えて,江沢民は主賓扱い。

「いまは苦しい局面で試練を迎えているが、強い意志を以て事にあたれば必ずや道は開ける」

 といったことを強調していました。

 党中央が主催する「引退した国家指導者への御機嫌伺い」では昨年、初めて「引退者」として扱われた江沢民ですが、この上海での集まりでは主役ともいえる存在感を発揮。江沢民は上海市指導部の現役組・引退組を労ったりもしており、まるで全ての上に立つ超法規的存在であるかのようです。あたかも魔王。

 超法規的存在であることの証であるかのように、江沢民には「前国家主席」のような肩書が一切ついていません。上海も不景気の波をもろにかぶって2008年のGDPは17年ぶりの1ケタ成長(前年同期比9.7%増)でしたから、既得権益層の代表めいた蠢動を始めたのかも知れません。

 ●「新華網」(2008/01/24/19:28)
 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2009-01/24/content_10714432.htm

 ●08年上海のGDP、 17年ぶり1ケタ成長(NIKKEI NET 2008/01/22/10:50)
 http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2M2103Z%2022012009&g=G1&d=20090122

 上海といえば、翌日に晴れの元日を控えた1月25日、上海市公安局の正門前でいきなりドカーンと爆発事件。1名が死亡しています。

 ●「Qingnet.cn」(2008/01/25/21:53)
 http://news.qingnet.cn/china/200901/25261329.htm

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 おめでとうございます的な官製報道を排し、ネガティブなニュースばかり拾ってみると上のようになります。とはいえ、庶民にしてみれば「物価高」にあえぎつつ迎えた昨年の春節と、失業不安が濃厚な今年の春節では危機感の次元が異なることは間違いないでしょう。出稼ぎ農民などは、特にその感が強いのではないかと。

 外資企業にとっても、経済的にも社会的にも、これまでとは別種のリスクを背負うことになります。危機管理という備えが問われることになるかも知れません。

 いずれにせよ、何が起きても不思議でない1年の幕開けです。起承転結の「起」の年になるかも、というシナリオとともに、己丑年がスタートしました。





コメント ( 5 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
Unknown (que)
2009-01-27 11:27:06
そこらへんは、清官期待意識なんでしょうか。。。
うちの学生たちもおんかほ~はいいひとで統一されてます(笑)

そういえば、2年半ほど前かな、大学の職員室に職員対象のアンケート用紙があったので、ちらっとみてみましたが、「最近は党内も汚職が多いが、党が指導をして改善可能か」みたいな設問があって「可能」「不可能」などの答えをえらぶようでした。
「不可能」えらべないww

 
 
 
Unknown (古雑巾)
2009-01-27 12:28:35
いまさらですが、御家人さんあけましておめでとうございます。

「貪官汚吏に天誅を」と民衆が天子様に期待するというのは、純情でいいですな。革命前ロシアの百姓どもと一緒で、共通項は「無知・無教養」ということでしょうか。
 シナ人学生に保元の乱とか島原の乱といった日本史上に幾つもある事件を教えようとすると、彼らは「天子様の治世に悪逆賊徒が謀反を起して退治された」という構図しか想像できないので、「善悪の話じゃないよ」と教えても理解できない、、、という話をどこかで読みましたが、どうもそんなかんじですね。

ああ、自分は日本人でよかったと改めで感謝の思いでございます。
 
 
 
’09、’10と…… (いとのこ)
2009-01-28 00:09:54
丑年・寅年。
つまり鬼門?
で、来年は万博でしたっけ。
さて、無事にウサギさんを迎えられるんでしょうか。

 
 
 
Unknown (民す党)
2009-01-29 13:52:57
http://alphabloggers.com/
に、
”一党独裁に叛旗!全面的民主化求める「08憲章」出現。”
がノミネートされています。
 
 
 
何処のポチョムキンですかこれは。 (めるくまーる)
2009-01-29 20:06:00
【国際】 「あなたたちは、腐った肉を1ヶ月食べてる」 高校生数千人、学食の腐った肉に怒って大暴れ…中国
http://c.2ch.net/test/-/newsplus/1233221448/1

 生徒らが17日、食堂の職員に対し、料理に入っている豚肉から腐臭がすると追及。
 職員が「あなたたちは既に1カ月間、腐った肉を食べている」と認めたため、怒った生徒らが
 「健康を返せ」「人権を取り戻そう」などと叫んだ。

 さらに18日にも、多数の生徒が食堂に集まり抗議活動を展開。学校側が改善を約束し、
 ようやく事態が収拾したという。
http://sankei.jp.msn.com/world/china/090129/chn0901291357002-n1.htm
 
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