日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 中国における事実上の最高意思決定機関・党中央政治局常務委員の肩書を持つ李長春が来日しています。党内序列は第5位ですが党中央宣伝部をがっちりと掌握しており、実際の影響力は序列以上かと。

 要するにネット世論をも含む中国メディアの一切を仕切っているのがこいつです。胡錦涛のメディアの使い方もどちらかといえば古臭いのですが、李長春の方針とは一致しない部分が少なからずあり、治安系統の親玉である周永康(やはり党中央政治局常務委員)ともども江沢民が現役首脳部に打ち込んだ楔として、胡錦涛にとっては目障りな存在ということになるでしょう。

 それなら李長春も周永康もぶった斬ってしまえばいいのに、となるところですが、奥の院に江沢民が後ろ盾として控えているため、胡錦涛にはそこまで踏み込むことができません。

 とはいえ江沢民も引退後に院政を敷けない甲斐性なしですから、いわば小粒同士の綱引きで、それゆえフニャフニャした政争というか決着のつかない主導権争いが……つまり胡錦涛が「最高指導者」から「最高実力者」へとグレードアップできないまま4年半が経過して、未だにフニャフニャしたまま現在に至っています。タイミング的には江沢民がここらで何らかの「示威活動」をしてもいいころですね。

 ともあれその李長春。麻生太郎・首相と会談したほか与野党の代表とも会見していますが、むしろ今回の来日の本題は守備範囲である「宣伝部門」、要するにマスコミ対策だったのかも知れません。……マスコミとはもちろん日本側の、ということです。



 ●日本メディア14社首脳と初懇談=「良好な世論を」と李長春氏―中国(時事ドットコム 2009/03/30/22:34)

 来日している中国共産党ナンバー5、李長春政治局常務委員(宣伝担当)は30日夜、日本の通信社・新聞社・テレビ局14社の社長ら首脳と、都内のホテルで夕食を共にしながら懇談し、両国国民の相互理解に向けて「良好な世論を作るよう努力してほしい」と求めた。東京の中国大使館によると、中国指導者が日本メディア各社を一斉に招き、意見交換したのは初めて。 

 日中関係は靖国神社参拝問題などで冷え切ったほか、2005年には中国各地で反日デモが発生し、双方の国民感情悪化が深刻化した。こうした中で、中国側は、国民に情報を提供するメディアが果たす役割の重要性を痛感しており、今回の交流をメディアを統括する李氏の訪日の「大きな目玉」(中国政府筋)と位置付けた。

 李氏は懇談で、「民意は両国関係発展の基盤だが、国民感情は依然として脆弱(ぜいじゃく)だ」と指摘。「メディアは友好関係前進のため重要な責任を負っている」として、「客観・公正な報道で国民世論が誤った方向に行かないようにしてほしい」と要請した。



 御覧の通り、突っ込みどころ満載の実に味わい深い記事です。

「日中友好関係の促進のため、良好な世論を作るよう努力してほしい」

 と李長春は日本の大手マスコミの代表に対しお説教したようですね。

 ここでいう「友好」とはもちろん当ブログのいう「中共語」のことであり、日本人の考えるそれと同義ではありません。久しぶりに「中共語」の代表例でも並べておきますか。あちらの公式声明などを解読する上で重宝します。

 ●「対話」→「中共の言い分の押しつけ」「中共からの命令伝達」
 ●「協議」→「中共の言い分の押しつけ」「中共からの命令伝達」
 ●「協力」→「中共への奉仕」
 ●「平和」→「中共による制圧下での非戦時状態」
 ●「友好」→「中共に従順」
 ●「交流」→「中共の価値観の押しつけ&軽度の洗脳」

 ……というもので、「東シナ海を平和の海・協力の海とする」と中国側が言う場合は、日本にとってとんでもないことなのです。「日中友好」なんて、何とおぞましい。

「今回の交流をメディアを統括する李氏の訪日の……」

 という文言にも、「中共語」流の解釈を施せば事態が実にわかりやすくなりますね。

 ――――

 で、今回の場合、要するに「日本が中国に従属する方向への世論形成に励め」ということになります。これに対し日本の大手マスコミ各社の代表がどう反応したかは、記事から読みとることはできません。そのことに、私はちょっとムカついています。

 中共政権の首脳が日本をはじめ海外の政治家など会見したときに、国営の新華社通信をはじめとする中国メディアの報道は、中国側が日本側に対し一方的にまくし立てるという構図のスタイルがお約束となっています。

 首脳会談も含め、骨の髄から中華三昧な「謁見してやっている」という上から目線。前掲の記事は日本のメディアによるものながら、何やらそのスタイルを踏襲しているようで気に入らないのです。

「客観・公正な報道で国民世論が誤った方向に行かないようにしてほしい」

 という言葉をそのまま流しておいて日本側の言い分を加えないというのは、あたかも李長春の主張を唯々諾々と受け入れているようなものではありませんか。……ただし、

「国民に情報を提供するメディアが果たす役割の重要性を痛感しており、今回の交流をメディアを統括する李氏の訪日の『大きな目玉』(中国政府筋)と位置付けた」

 という部分に中国側の本音を垣間見せているのは一応、評価できます。私たちからみると媚中路線メインに感じられるかも知れない日本のマスコミ報道も、中国側にしてみると相当頭が痛い問題なのでしょう。

 代表例としては毒餃子問題あたりでしょうか。チベットや台湾に関する報道にも修正を要する部分が多々ある、とも感じているかも知れません。消費者にとっては歯がゆく思える内容だったかも知れませんが、これら一連の報道は,間違いなく日本国民の対中感情を悪化させることに貢献している。……と中国側が感じても不思議ではありませんから。

 ――――

 ただし、

「中国指導者が日本メディア各社を一斉に招き、意見交換したのは初めて」(日本側の意見はどこにも見当たらないのですが)

 という一種の危機感の表れには、もうひとつ理由があるのではないか、と私は考えています。影響力を徐々に高めつつある日本の「ネット世論」に対してです。

 巨大掲示板「2ちゃんねる」をはじめとする各種掲示板や、自由な情報発信を個人レベルでどんどんできるHPやブログといった新媒体が少なくとも日本人の40代くらいあたりまで相当浸透しているというのは、中国側にとってひとつの脅威であることは確かです。

 例えば昨年のフリーチベット。長野の聖火リレーに日本人有志を大挙動員せしめたのがマスコミの影響によるものではないことは明らかです。さらに5月6日の東京・代々木フリチベデモ。この種のイベントとしては異例の約4000人もが集まって当日に来日した胡錦涛の顔に泥を塗ることとなりました。

 このデモについて、マスコミによる事前告知が全く行われなかったといっていいのにかくも大規模なものとなったのは、外交部報道官が定例記者会見でその日のうちに不快感を表明したように、中国当局にとっては一種の衝撃だったのではないでしょうか。

 前掲記事の報道ぶりからわかるように、いかに報道の自由が保障されているといっても、中国はアメとムチを以て日本のマスコミ報道の内容に制約を加えることが可能です。ところが、ネットに対してはどうすることもできません。たとえ中国国内からアクセスできないようにしても、日本におけるネット発のムーブメントや世論形成を抑圧することはできませんから。

「個人レベルのネット媒体を何とかしてくれ」

 というのが、実は李長春がいちばん言いたかったことかも知れないな、というのは私の邪推にすぎません。ただし、仮に実際にそれを匂わせる発言があったとしても、日本のマスコミがそれを報じることはないでしょう。報じてしまえば、既得権益媒体であり情報発信の仕切り役というマスコミの影響力の低下を自ら認めてしまうことになります。こればかりは、面子にかけて記事にすることはないでしょう。

 ――――

「李氏は懇談で、『民意は両国関係発展の基盤だが、国民感情は依然として脆弱(ぜいじゃく)だ』と指摘」

 とのことですが、李長春はまず自分が中国人であることを忘れて、虚心坦懐に日中双方を俯瞰してみるべきですね。

 まずは反日風味満点の愛国主義教育。2005年の反日騒動も中国のマスコミが煽り役を務め、政争絡みという真因もあって、胡錦涛に不満を持つ政治勢力は「反日」の擁護者として大車輪の働きをしました。

 毒餃子へのまことに不誠実な対応、野菜には残留農薬(重金属も?)、ウナギには発ガン性物質のマラカイトグリーンなどなど、危険な食品という問題については逆ギレばかりで、真摯な反省は行われたでしょうか。

 あるいは日本人の対中感情悪化に最も寄与しているといえるかも知れない、在日中国人による凶悪犯罪が猖獗を極めていることは中国国内でどれほど報じられているのか。そして、南京のあのテーマパーク。

 中国が人権弾圧に対し「特殊な国情ゆえ」と厚顔にも言ってのけるなら、日本側も「特殊な国情ゆえ」少数民族を含め中国国民に対する人権問題への糾弾者になってもいいのではないかと。まあ少なくとも日本のマスコミに対しては、期待するだけ無駄かも知れませんが。

 最後にもうひとつ指摘しておきたいのは、

「日中関係は靖国神社参拝問題などで冷え切った」

 という一節が日本のマスコミで広く使われていることです。中国には日本の首相が靖国神社に参拝することに反対する根拠はありません。毎度毎度、「中国人民の感情を傷つけた」なんて言っていますが、これって理由になりますか?まあ日本を舐めているからこその厚顔無恥な真似でしょうけど、二国間の約束事に対する違反などの確たる根拠がない限り、日本政府が「中国は内政干渉をやめろ」と言わないことに感謝すべきです。

 御不審な点があれば「日中共同声明」以来の日中間で取り交わされた政治的文書なるものをひとつひとつ舐めるように読んでみることですね。重ねて強調しておきますが、靖国問題は日本国内の、日本国民によって決せられるべきものであり、中国はじめ他国が容喙できる性質のものではありません。「靖国」が日中関係を冷え込ませたのではなく、「靖国」への中国側の容喙と子供じみた外交上の対応、そして自国民に対する愚昧としかいいようのい扇動的な報道がいたずらに事態を悪化させたのです。宣伝担当なんだから反省しろ李長春。

 ――――

 ちなみに、「友好」が「中共語」ではなく本来の字義通りであれば、

「メディアは友好関係前進のため重要な責任を負っている」
「客観・公正な報道で国民世論が誤った方向に行かないようにしてほしい」

 という李長春の要請はまことに正論で、日本のマスコミも襟を正して拝聴すべきものなんですけど。……ええ、「客観・公正な報道」をより心がけ、日本人の対中認識をいよいよ正確なものにするよう励んでもらいませんとね。





コメント ( 9 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
Unknown (que)
2009-03-31 09:33:33
うちの学生なども「中日友好のために、日本は中国の悪い部分を報道するべきじゃない」なんてへいきでいいますからね・・・・。

ところで、中国においてあるブログ、自分のブログなのに、編集画面にはいれなくなりました(涙)
 
 
 
Unknown (民す党)
2009-03-31 10:02:50
> 日本メディア14社首脳と初懇談=「良好な世論を」と李長春氏

記者クラブに李長春氏招いて、記者会見をするのでは無く、中国の接待をしてもらう日本メディア14社首脳。
麻生首相のバー通いで、価格を報道した連中なら、何円くらいの料理・酒を接待で受けたかを報道してもらいたい気持ちです。
日本メディア14社は、中共の手先に見えてしまいます。
 
 
 
Unknown (だるま)
2009-03-31 12:53:29
解釈でなるとそうなりますね。

便所スリッパで李長春の後頭部をスパーンってかまして払い腰をかけてやりたいとこです(怒

ギャグはやめろと
 
 
 
Unknown (失地農民)
2009-03-31 12:55:12
最近英FinancialTimesや米WallstreetJournalで、あいついで"unhappy china"、『中国不高(興?)』(すいません簡体字読めません)なる本が話題が出ていました。
反西洋的な内容で糞青を代弁するようなものらしいのですが、英米の保守系経済新聞が相次いで取り上げたのが気になります。

http://www.ft.com/cms/s/3ce4216a-1af4-11de-8aa3-0000779fd2ac
http://online.wsj.com/article/SB123836150260267093.html
 
 
 
デラワロス (五香粉)
2009-03-31 14:08:48
今どき、まともな人はマスコミの伝聞を斜め読みします。行間を読む楽しさを知ってしまいました。
ネット媒体を規制する気なら、我々腐れサイバー住民が、口コミ攻勢を広げます。正に中国人の口コミが新聞を補っているように。

改めてデラワロス。
直接的内政干渉をせざるを得ないほど、苦しいんでしょうね。

あああ、むかつくわいな!!
 
 
 
Unknown (muy bien)
2009-03-31 15:05:40
最近初めてその存在を知り衝撃を受けました。

中国共産党の「日本解放第二期工作要綱」です。

やはり中国は、チベットだけでなく、日本も「解放」する意図があったんだとはっきり分かりました。中国共産党の日本国内での策謀が具体的に細部に亘って記載されています。日中友好の美名の下に連中のやって来たことが明らかになり、あらためて激しい憤りを覚えました。

第一期は日中国交回復まで、第二期は民主連合政権出現まで、そして第三期は日本人民民主共和国の成立らしいです。第三期に入ればもはや後戻りが出来ない段階に入るようです。

今年の衆議院総選挙でもし民主党が政権を取れば大変な危機に陥ると思います。一人でも多くの日本人がこの重大な危機に目覚めるべきではないでしょうか?

「国民新聞 日本解放第二期工作要綱」でネットで検索すれば見ることが出来ます。

因みに「A‐1.基本戦略」には以下のように記載されています。

『我が党は日本解放の基本戦略は、日本が現在保有している国力の全てを、わが党の支配下に置き、わが党の世界解放戦に奉仕せしめることにある。』

 
 
 
Unknown (にゃー)
2009-03-31 18:58:47
中国の戦争概念の一つ「超限戦」のことも調べてみてちょ。
 
 
 
Unknown (kt)
2009-04-01 15:03:56
>日本解放第二期工作要綱
「発見」経緯の胡散臭さからして偽書と見るのが普通の対応では?
 
 
 
マスコミもですが (Unknown)
2009-04-01 20:54:15
マスコミも中国にいってますが、民主党の小沢さん達も中国に行っていたみたいですね、日本のマスコミみたいに、靴を丹念に(笑)舐めたようですが。きち@石根さんという方のブログですが、
「親分が不安がっています」
http://ameblo.jp/disclo/entry-10233830032.html
ここで小沢さんが中国の何と対話をしているのかが書かれているのですが、頭の悪い私にはイマイチ解らないのですが、御家人さんなら解るかと。御家人さんが次の記事で麻生さんについて少し書かれていますが、麻生さん外交頑張っているみたいですね。金賢姫元工作員の面会でかなり手腕を発揮されたみたいですね。そしてこの面会はかなり意味があるそうで、
「問題は北」
http://ameblo.jp/disclo/entry-10223177813.html
麻生さん外交も手腕を発揮されていますが、日本国内でも北勢力の大掃除をしているようなので、(そうしないと拉致問題が解決しないということなので)私は五月ではなく九月までぎりぎり頑張って頂きたいです。その間に日本国内を掃除してもらいたいです。
 
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