日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 今年は珍しく人並みな大晦日です。早起きして昼間から配偶者と出かけて、隠居夫婦(両親)と年越し蕎麦を食べました。これから「きりたんぽ鍋」→「配偶者と朝まで酒盛り」です。

 それはともかく、今日外出した際の出来事を。地下鉄で移動中に例によってこの本。

南京大虐殺の真実 2007年 12月号 [雑誌]

ワック

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 これを私は読みふけっているうちに気付いたのですが、向かいに座っていた中年の男女が眉をひそめていました。あ、漢人だこいつら。……と気付いたので姿勢を正し、相手に表紙がもっとよく見えるようにサーピスしました。一日一善。

 地下鉄を下りてホームから出口に向かって歩いているとき、この本を片手に歩いていたらベンチに漢人数名が座っていて、表紙に気付いたらしく舌打ちしたような何か言ったような、とにかく反応を示しました。あれ?やっぱり見せびらかしているのがバレちゃったのか。……ということで、やはり表紙がよく見えるように示しつつ連中の前を通り過ぎてから、

「來生不做中國人,來世做豬,都不做中國人~♪」

 と詩吟のように渋い喉を披露してあげました。連中の耳に届いたかどうかは知りません。配偶者が袖を引いたのですが、漢人を不愉快にさせるのは陰徳を積むことになりますから善男善女のひとりとしては励まざるを得ません。ちなみにこの一節は、

 来世は中国人なんかになるもんか。中国人に生まれるくらいなら来世は豚にされる方がマシだ。

 という意味。「猪年」(中国では豚年)の最終日にその干支を織り込んだ粋なフレーズです。といっても別に私のオリジナルではなく、中国国内のネット上で密かに流行している言葉なのです。袖を引いた配偶者も、

「あなたの行くところならどこでもついて行くけど、大陸だけは嫌。絶対嫌」

 という「むかし型香港人」。自分が中国人であるという意識はありません。というより「私は香港人!」と断定して「中国人」と扱われることを激しく拒否しているといった感じです。

 ――――

 夕方に帰宅して恩師に年末の挨拶の電話をした際、上のことを話したら、

「全く仕方ないですねえ御家人君は」

 と言いつつ爆笑していました(漢人も中共も大嫌いですから)。何でも恩師は午後に旧知の日本人と長電話をしたそうです。70歳代で日中国交樹立以来
「友好人士」として中共に大切に扱われてきた人ですが、中国の現状に話が及んだところ、

「その人の話している中国の現状が、御家人君がふだん言っていることと全く同じなんですよ」

 とのこと。先日カリスマ教授と会った後にも似たようなことを言っていた気が(笑)。

「御家人君が中国のことを話すのを聞いていて、最初のころは少し右寄りじゃないかなあと半信半疑だったんですけど」

 ……実はそうではなかった、ということを再認識したそうです。これも前に言われたような気がします(笑)。

 私は右でも左でもいいんですけど、カリスマ教授と「友好人士」のお墨付きということで、恩師は「御家人の語る現代中国」に偏りや誤りがないことがわかったそうで。でもそう言われると、かえって自分が話していることに自信が持てなくなります。

 ――――

 今年の中国は、胡錦涛直系の
「団派」(胡錦涛の出身母体である共青団人脈)が政界において勢力を伸長させたものの、盤石とはいえない頼りなさを残した一方、胡錦涛からみれば「地方の暴走」、つまり全国各地の「諸侯」による「割拠」がかなり進行したという印象です。胡錦涛政権は「割拠」を批判しつつも、十分に手が出せないまま不完全燃焼で新年を迎えることになりました。

 「割拠」の進行,例えば地方当局による
固定資産投資の膨張に歯止めがかからないこと、また土地収用に汚職が絡んでの農村暴動の頻発、といったことは以前から繰り返されていることなので予想通りでしたが、正直、物価高がここまで進行するとは思いませんでした。

「腐敗や格差の問題より深刻」

 という中級幹部レベルの認識(中央党校の調査結果)にも「そんなにひどいのか」と驚かされました。

 彗星の如く出現したこの新たな不安要因(3倍速w)は来年も大きな改善が期待できないとみられています。また依然として伸びる一方の固定資産投資に象徴される地方当局の「成長率信仰」は、成長率より効率重視の「科学的発展観」を党規約に織り込んでも何の薬にもならないことを証明してくれました。
マクロコントロールの実も十分に上がっていません。

 もちろん深刻度において物価高に追い抜かれたものの、汚職や格差の問題も無視できません。特に格差問題は
「和諧社会」(調和社会)の構築を合言葉にしなければならないほど「不調和」。とはいえ汚職にせよ格差にせよ、有効な改善策を打ち出せないまま、中央の威権が半ばないがしろにされている実情が来年はより明らかになることでしょう。

 それから
ですね。この一年で新たに3700万人が「股民」(個人投資家,主に投機目的)の列に加わりましたが、リスクは自分持ちという認識が相変わらず希薄で、いわば「怖いのは暴落より逆ギレ」。A株の「股民」に機関投資家を加えた総数は今年末時点で実に1億1039万人にのぼります。都市部の人口あるいは世帯数に照らせば、これはかなり高い比率ではないでしょうか。

「今年はオリンピックがあるからそれまで暴落はあるまい」

 といったノリでこの連中が2008年を迎えれば、私たちは「逆ギレ」を目の当たりにすることができるかも知れません。

 ――――

 中国が法治国家でないことを改めて痛感させられる年になる可能性もあります。
物権法にせよ労働契約法にせよ、全ては司法のさじ加減。そしてその司法は行政(党幹部)の意のままに操られている訳ですから、白も黒になりますし、黒も白になります。

 物権法はともかく労働契約法は外資企業に直接関わる荷厄介な存在。
中国及び漢人が民度&実力不相応に増長していることを象徴するかのようなトンデモ法律が人治の国で運用されるとどうなるか、これは世紀の大実験といえるでしょう(笑)……って笑い事ではありませんね。

 そして2008年といえば何といっても
台湾問題です。先日の日中首脳会談で垣間みられたように、胡錦涛政権は内部の対外強硬派や軍部の突き上げのなか困難な舵取りを迫られることとなります。

 ただし実際に台湾が正常な国家へのステップを一歩踏み出せば、胡錦涛も「中共人」としてその行動原理に従い、
躊躇なくそれを潰しにかかるでしょう(見せてもらおうか人民解放軍の実力とやらを)。もしそうなれば国際社会の対応如何で、台湾ではなく中華人民共和国の命運が定まることになると思います。

 日中関係は、「朝貢外交」ともいえる現状を構造改革できる人が首相になるまでは薄っぺらい友好ムードという現状のままでしょう。私はこの待ち時間の間に
日本にとって不利益な既成事実が積み重ねられることをのみ恐れます。

 ちなみに、有毒商品の蔓延や環境汚染の進行も考えれば、そこに暮らす者の生活はもちろん生存自体が脅かされているといっていい現在の中国にあって、
「民主化」などという浮世離れしたことを口にする閑人はビョーキ扱いされることでしょう。もはや状況は「理想よりパン」であり、「官逼民反」(「官」の横暴に追い詰められた民衆が成否を問わず蹶起する)なのです。

 しかも、本来「民主化」を先唱すべき大学生は江沢民型愛国主義教育&物欲まみれで社会への問題意識が欠落しており、知識人はアルバイトと論文盗作に血道を上げています。そして国民の民度と中国共産党の独裁制度への執着を考えれば、「中国の民主化」がいかに
非現実的な発想であるかは容易に想像できることでしょう。

 ――――

 ……といったことを、請われるまま恩師に話しました。恩師は「極端でもないし偏ってもいない」という態度で受け止めてくれましたが、私自身はあまり自信がないまま、「それから?」「それから?」と促されるので思いつくままに話題を並べてみただけのことです。

 私にとって当ブログは、将来の自分に向けて私の最大の娯楽である中国観察めいたものの備忘録を綴っているようなものです。そんな駄文としかいいようのない、とりとめもない書きものにお付き合い下さる皆さんに心から御礼申し上げる次第です。

 皆さん、来年もお互い堅固に日を送りつつ、よろしければこれからも一緒に、隣国で進行している歴史劇を眺めていきましょう。

 この一年,本当にありがとうございました。来年も宜しくお願い申し上げます。m(__)m

 それでは、よいお年を!皆さんにとっての2008年がいい年でありますように。




コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
Unknown (blue)
2007-12-31 22:30:02
正直、すぐ隣の国でこんなに観光や仕事で人の交流があるにも関わらず、日本国内の報道を見ているだけでは絶対にわからない物事を、これだけ詳しく解説してくれるサイトは他にありません。

もう、仕事だろうが何だろうが絶対に大陸には足を踏み入れられないと認識を新たにしました(もろもろのリスク高杉)
本当に助かっています。来年も楽しみにしています。

 
 
 
Unknown (チンネ)
2008-01-01 00:58:01
明けましておめでとうございます。
大晦日のTV番組を梯子していて、つい今年になってしまいました。
今年も一緒にヲチで盛り上がりたいですね。
では では
 
 
 
blueさんへ (御家人)
2008-01-02 05:21:03
 過褒であります。

>もう、仕事だろうが何だろうが絶対に大陸には足を踏み入れられないと認識を新たにしました(もろもろのリスク高杉)
 同感です。でも本当は1年くらい留学生の身分で生活してみたいという気持ちもあります。留学時代に仲良しだった中国人学生たちが留学生受け入れ機関の役付きになっているので多少の無茶には目をつぶってくれるそうですし、やはり生活してみないと現地感覚というか手ざわりのようなものが得られませんので。……しかしながら当家では配偶者が断固反対の姿勢なので旅行ならともかく、住み着くのは無理のようです。

 確かにリスク高杉なのですが、一週間程度の観光旅行で味見をするくらいならいいかも知れません。ただし正露丸は必携だと思います。私は上海に留学して最初の一カ月は一日3回、異状がなくても正露丸を飲み続けました。3カ月目に日本からお客さんが来て知り合いの上海人の家で御馳走になり、デザートにスイカを頂きました。私は何ともありませんでしたけど、お客さんの方はホテルで一晩中、下痢が止まらなかったそうです。

拙い内容ばかりはどうにもなりませんが、これからも宜しくお願いします。
 
 
 
チンネさんへ (御家人)
2008-01-02 05:21:59
>今年も一緒にヲチで盛り上がりたいですね。
 いやー盛り上がるも何も2008年ですから。中共政権の切所をリアルタイムに眺められるというのは幸運としかいいようがありません。1989年以来の戦慄が背筋を走ることになるかも知れないと、いまからドキドキしています。

 野次馬でいられなくなる可能性もありますよね。……私は必要とあらば時機を捉えて積極的に事態に関与するかも知れません(笑)。最大戦速即時待機宜候。あとは「戦闘!左反航砲雷戦!」の命令が下るのを待つばかりです。
 
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