日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





「上」の続き)


 抜擢人事にも注目株がいます。先ごろワニが洪水に紛れて大挙脱走した遼寧省、その党委書記の
李克強(50歳)が中央入りし、それも党中央弁公庁主任に就くのではとの見方があります。

 実はこの人は
胡錦涛の後釜とも目される「団派」の若手ナンバーワン。党中央弁公庁となれば党上層部の機密事項を含めた様々な実務を一手に引き受けて処理する重要な部門です。この李克強は同時に党中央政治局委員、あるいは同委員候補にも抜擢される可能性があるとのことです。

 確かに胡錦涛は次の党大会が開かれる2012年には70歳になっていますから、李克強を後継者に指名するつもりならここで大きくステップアップさせる必要があるでしょう。

 そこで中央弁公庁主任です。現職の王剛は江沢民派と目されているのですが、先の胡錦涛のカナダ・メキシコ歴訪の
随員に選ばれなかったことから、王剛更迭・李克強抜擢説が俄然強まったそうです。上海の陳宇良更迭と李克強抜擢、これが今回の人事における二大焦点で、胡錦涛の指導力を測る目安とされています。

 ……それしてもワニはどうなったのでしょう。キング君は無事だったそうですが。

 ●台湾・中時電子報(2005/10/06)
 http://tw.news.yahoo.com/051006/19/2dnnz.html

 ――――

 中央と地方の「諸侯」たちの綱引きについて前述しましたが、『蘋果日報』(2005/10/07)が興味深い指摘を行っています。

 総書記になって以来この3年間で、胡錦涛は省・自治区・直轄市など地方のトップクラスに子分の「団派」人脈をどんどん送り込んでおり、
合計31の省・自治区・直轄市のうち、少なくとも17名の「団派」がすでにトップ(党委書記)に就任、共青団人脈の急成長が突出している、というものです。地区でいえば北京、遼寧、福建、海南、浙江、内蒙古、吉林、チベットなどがそうで、さらに3名が黒龍江、広西、陜西のトップに就任するとの噂があります。

 『明報』(2005/10/07)によれば、昨年9月の四中全会終了後から現時点までの間に、省・自治区・直轄市レベルや閣僚(部長)レベルにおいて新たに11人が就任していますが、
そのうち8人は共青団で胡錦涛と仕事をしたことがあるとのこと。それに伴って辞任した面々には任期未了の者が多く、不自然な人事だと指摘しています。

 ●『明報』(2005/10/07)
 http://hk.news.yahoo.com/051006/12/1he6i.html

 当ブログでは「反日騒動」をタネに倒閣運動めいたものを起こされたり、あるいは軍部にダメ出しされたりと弱そうなキャラにみえる胡錦涛も、やることはやっているじゃないか、さすが総書記だ。……と思う方も多いでしょうが、確かに胡錦涛派による地方への浸透ぶりは目を見張るものがあります。

 ただ胡錦涛が党中央軍事委員会主席になった=軍部を掌握した、とはまだ言えないように、省のトップに就任してもそこを自分の地盤にするのには時間がかかるでしょう。そもそも
真の意味で地方を動かしているのは市や県レベルの党幹部(汚職が多いのもこのレベルです)。中央から来た雇われトップに心服するとは限らないのです。その地区に大いなる経済的繁栄をもたらすことができれば別ですが、いまは持続的・安定的成長が鉄則とされている時期です。胡錦涛に引き立ててもらった「団派」ならいよいよそれを遵守することでしょう。

 この点でいえば江沢民派も衰弱傾向にあるとはいえ軽視できません。地方政府における真の実力者たる市・県レベルの党幹部を過去の高度経済成長期に甘い密を吸わせて配下に従えていたりするほか、上海市や江西省などではいまなお胡錦涛派の浸透を許していないのです。また
中央省庁の有力者や閣僚クラスにも江沢民派がかなり残っており、中央から各地方への資源配分などでは侮れない影響力を持っています。「胡錦涛派の躍進」の確率が高いとしながらも、香港メディアがそれを断言できずにいる理由のひとつと言っていいでしょう。

 ――――

 結局、フタを開けてみなければわからない、ということで。「それで仰天人事ってのは?」なんて聞かないで下さい。香港紙の真似をして扇情的にしてみただけのことですから(笑)。

 他に留意するものがあるとすれば、第一に
軍部の動向ですが、これは最近の礼讃記事攻勢から軍主流派は胡錦涛を支持しているとみて間違いないと思います。

 あとは派閥で括るほど団結しているのかは疑問ですが、二世グループである
「太子党」に対する処遇がどうなるかでしょう。党長老や物故した国家指導者の子女ですから、胡錦涛も粗略には扱えないと思います。

 それから本当のビッグサプライズとして、会期中に小泉首相が靖国神社を参拝したらどうなるか、というのを見てみたいです(笑)。会議が紛糾するわ軍部が突っ走るわで筋書きが大きく変わる可能性もあります。まあ今月参拝なら秋季例大祭(10/17-10/20)に合わせる方が自然でしょうけど。

 ――――

 最後にひとつの目安を示しておきます。これは人事というより胡錦涛の指導力を測るものですが、現在の胡錦涛政権は常に、

「以胡錦濤同志爲總書記的黨中央」(胡錦涛同志を総書記とする党中央)
「以胡錦濤同志爲總書記的領導集團」(胡錦涛同志を総書記とする指導グループ)

 と表現されており、江沢民時代のように、

「以江澤民總書記爲核心的黨中央」(江沢民総書記を核心とする党中央)

 とは呼ばれていないのです。

 ●「新華網」(2005/10/07)
 http://news.xinhuanet.com/politics/2005-10/07/content_3590934.htm

 
要するに胡錦涛はまだ「核心」扱いされておらず、その点で党内における指導力は「核心」時代の江沢民にまだまだ及ばないということです。五中全会で胡錦涛も「核心」に昇格するのかどうか。人事や「十一五」の内容を含め、まずは成り行きを見守ることにしましょう。



コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )



« 当たるも八卦... 密室会議なん... »
 
コメント
 
 
 
私も期待してるのですが (arere)
2005-10-08 22:05:51
御家人さま、いつも楽しく拝見しています。私も小泉首相の靖国参拝が会期中にあればなあ、とわくわくしていますが、恐らく無いでしょうね。ついでに普天間基地を尖閣諸島に移転すれば尚グッドなんですけれど(ついでに自衛隊基地も兼ねた巨大なやつ)。中共の誰かは怒りのあまり憤死するかもしれませんね。いやあ、見てみたいものです。

それではこれからもご健筆お願いします。
 
 
 
尖閣 (すれ違い)
2005-10-08 22:27:40
そうしたら中国結構ショックだと思うけど、ただあそこ、確か岩に毛のはいたやつで飛行場なんてできない気が、、、、
 
コメントを投稿する
 
現在、コメントを受け取らないよう設定されております。
※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。