銀幕大帝α

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イーグル・ジャンプ

2017年02月10日 13時56分55秒 | 洋画コメディ
EDDIE THE EAGLE
2016年
アメリカ
106分
コメディ/スポーツ
劇場未公開



監督:
デクスター・フレッチャー
製作:
マシュー・ヴォーン
出演:
タロン・エジャトンマイケル・エディ・エドワーズ
ヒュー・ジャックマンブロンソン・ピアリー
クリストファー・ウォーケンウォーレン・シャープ



<ストーリー>
エディ・エドワーズは幼い頃からオリンピック選手に憧れていた。だが、近眼で運動音痴なエディには到底無理な話だと周囲からは馬鹿にされていた。そんなある日、イギリス国内にスキージャンプの有力選手が誰もいないと知ったエディは、スキージャンプのイギリス代表選手になるため練習場があるドイツの雪山へと向かうのだった。
そこでエディが出会ったのは、過去には天才スキージャンパーと称されていたが、傲慢な態度と素行不良が原因でスキージャンプ界を追放され、今では練習場の整備係にまで身を落としているブロンソン・ピアリーだった。エディはピアリーに自らのコーチになってほしいと頼み込むが当然相手にされるわけはなく、彼は冷たくあしらわれてしまう。だが、スキージャンプに本気で打ち込み大怪我をしてまで練習に臨むエディの姿を見て、かつての情熱を取り戻したピアリーは彼のコーチを引き受けるのだった。
こうして二人のオリンピックへの挑戦が始まった。


-感想-

割と地味な方のスポーツドラマだが、心が温かくなる人間ドラマでもある。
冬季オリンピックにて70mジャンプを成功させ、人生初のぶっつけ本番で挑んだ90mジャンプを奇跡的に飛んだ瞬間の輝き、又それを見届けた家族・コーチ・他国選手・実況者達等の驚きと喜びの表情をスローモーションで捉えたハイライトシーンには不覚にも目頭がじーんと熱くなってしまった。

主人公は思い立ったら即行動に移す良い意味で怖いもの知らずの好青年。
そんな彼を支える周りの環境が凄くいい。
夢を追い続ける息子の姿を常に温かく見守り続けてきた母親は協力も惜しまない。
父親の口癖は「オリンピックなんて行けるものか。俺の仕事を受け継げ!」だが、心の片隅では密かに応援しているんだなと伺えるものがあるし、いざ飛ぶ時になるとそわそわしてTVをじっと観ていられない心配性な部分も見受けられる。
とても可愛らしい両親で、決して嫌いにはなれない。
表向きでは非協力的な顔を見せていても、オリンピックを終え空港で出迎えた際には「お前は俺の誇りだ」と力強く息子の体を抱き締める。
接し方が不器用なだけであって、これが本心だったんだろうな。

又臨時コーチを成り行きで引き受けたヒュー様も主人公に対して献身的に支え、スキージャンプのノウハウを彼流の考えで持って厳しく、優しく教えていく。
無茶だと言っても本人は「出来る」の一点張り。
半分諦めも入っているが、もしかしたら本人が言うようにやってしまうんじゃないかと僅かな望みに掛ける事で、自身が経験した過去の確執を払拭しようとしたのかもしれない。
だから余計に主人公が有言実行した時は他人の目を気にせずあれだけの大喜びをしてしまったのだろう。
無茶振り選手と酔いどれコーチとの硬く結ばれた絆を垣間見れて、2人の素敵な間柄には素直に賛辞を贈りたくなった。

感謝しなければいけない人達が周りに居てくれている。
無謀な挑戦に打ち勝てたという事実も主人公一人の力では成し得なかったかもしれない。
性格が真っ直ぐで純粋な人間には思い遣りのある者が自然と集まってくる。
主人公を真ん中に置いてぐるりと囲み込んだ協力者達という構図がラストで盛大に感動を生み出していた事は明確。
始まりの挑戦から終わりの達成まで、無駄な演出を極力省き(トレーニングシーンも殆どない)トントントンと一気にオリンピック本番へと到達させた展開の見せ方も秀逸で、視聴者が求める「観たいもの」をギュッと凝縮させている事が引き込ませる役割を果たし、感情移入を大きく持たせた上で一気に感動を呼び込む務めをも果たしていると感じた。

製作にはマシュー・ヴォーン監督の名が連ねてあるが、彼の持ち味である画の撮り方がスキージャンプの場面で活用されおり、映像に勢いとリアリティ、時にはユーモア(ヒュー様がタバコ吹かしながらスキー台をジャンプするシーン)も与え、高い完成度を誇っているのも見所となっている。
こうすれば臨場感のある映像が撮れるよ、そんなアドバイスを無名に近い本監督に指南したんだろうなぁ。
良い映画だった、うん。

評価:★★★★
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