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Ochrobactrum anthropi菌血症の臨床的特徴

2013-05-16 | 微生物:細菌・真菌
Clinical characteristics of Ochrobactrum anthropi bacteremia
Journal of clinical microbiology
Hideharu Hagiya et al

85歳男性、transcatheter arterial chemoembolization (TACE)を受けるために入院した。 
彼は肝硬変(Child-Pugh score A), 肝細胞癌を罹患していた。 
TACE後、39℃の発熱、悪寒、戦慄を認めた。 
WBC 17700, CRP 4.5
2セットの血液培養でグラム陰性桿菌が検出され、Walkaway (Siemens)でRalstonia pauculaと同定された。患者の状態は良好であり、day16に退院した。(感受性は使用抗菌薬に対して耐性であったが経過は良好であった。)
高知大学で菌株同定を行い、16S r RNA領域を解析、BigDye Terminator v3.1でシークエンスを行った。 
→解析の結果、Ochrobactrum anthropiと同定された。

Ochrobactrum; 臨床的には3菌種(O.anthropi, O.intermedium, O. pseudintermedium)が同定されている。
Ochrobactrum anthropi: 以前はAchromobacter group Vdとして知られていた。 
CV感染が多いが、感染性心内膜炎、膵膿瘍の報告もある。又骨髄炎、眼内炎、尿路感染症、髄膜炎、骨盤内膿瘍、椎体炎も報告されている。15例集めた報告においては免疫不全者に多く菌事態はlow virulenceとされている。
Raltonia pauculaとは生化学的性状が似ているため今回の同定で誤認定された。 
鑑別は16S rRNAで行うがpartial sequencing では,Brucella sppとmisidentificationする可能性があり注意が必要である。(rec A領域の解析が必要である)。今回16S r RNA領域の解析だけではO.lupiniと区別ができなかった。(rec A 解析により区別) 

Ochrobactrum anthropiはAmpCを染色体上にもつため多くのβラクタムに耐性 

教授指導
ブドウ糖非発酵菌;recA が分類によく使われる。


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