monologue
夜明けに向けて
 



1965年5月12日、ハリウッドのサンセット通り6363 番のRCA(レィディオ・コーポレーション・オブ・アメリカ)のスタジオでローリング・ストーンズが「サティスファクション」をレコーデイングしていた。キース・リチャードがチャック・ベリーの「Thirty Days」をコピーしてイントロを模して弾いてもに満足できず煮詰まっているのを見てピアニストで様々な問題の解決にあたる役目のロードマネージャー、イアン・スチュワートがスタジオを出てサンセット通りを東に向かって歩いて6300番あたりまで来てヴァイン通りとの北西の角にあるウオリックス・ミュージックシテイ(Wallichs Music City)楽器店に入った。店内で面白いものを探していると、ギブソンのエフェクターの新製品、マエストロファズトーン(Maestro FUZZ-TONE FZ-1)を奨められてすぐ購入してスタジオに戻った。RCAスタジオで待っていたキース・リチャードはそのわけのわからない新製品をギターにつないでイントロのリフに使用してみた。それがロックギターの歴史を変えた。それまでアンプでは音は大きくなってもきれいな音しか出なかったがついにエレキギターにファズをつなぐだけでロックにふさわしい歪んだ迫力がある音が出るようになったのだ。めでたしめでたし。
fumio


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ある日、息子がロックライヴ大会のフィナーレにそれぞれのバンドが得意な曲を弾くだけではあまり盛り上がらないのでみんなで演奏するのにいい曲がある?と尋ねた。
わたしは少し考えて普通バンドが集まると最後にジョニー・ビー・グッドを一緒に演奏するよと答えた。
映画バック・トウ・ザ・フユーチャーでジョニー・ビー・グッドという曲を知った人が多いだろう。
それはチキン踊りをしながら歌いギターを弾くので有名なチャック・ベリーの名曲でロックギタリストにとっては基本のブルース進行なので譜面なしで好き勝手に延々とギターバトルを繰り広げて盛り上がることができるのだ。ヴォーカルは大変でどこのコンサートで突然ジョニー・ビー・グッドといわれても勝手に歌詞が出てくるように練習しておかなければいけない。それでわたしも忘れないように時折歌ってメンテナンスしている。
fumio


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わたしの渡米した最初の年1976年、アソシエイテッド・テクニカル・カレッジのスピークイージーランゲージセンターの講師たちはわたしがヒットソングの歌詞をいつもテレコを聞いて書いているのをみて今度のクリスマスのパーテイにライヴ演奏をやってくれと依頼してきた。アメリカのクリスマスパーテイがどんなものか知らなかったがOKした。アルコール類はなかったがダンスしたりパンチを飲んだり談笑しているとパーテイの最後あたりにしつらえられたにわかステージでギターを抱えて、リクエストに応えて当時のヒット曲を歌った。一番受けたのはヒットチャート1位を走るロッド・スチュワートの「トゥナイツ・ザ・ナイト」 だった。ヒット中の歌なのでみんな知っていて歌い始めるとどよめきが沸いた。先生達も一緒に手拍子して首をふりコーラスした。楽しいパーテイだった。
fumio


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マスタリングラボの名エンジニア、ダグ・サックス氏にすればピンク・フロイドのギタリスト、デイヴィッド・ギルモアの個人アルバムのマスタリングをやっと仕上げてほっとする暇もなく日本からやってきた若者のデジタル変換機というわけのわからない最新機器を使用したシングルをエンジニアリングするのは大変だっただろう。丁度アナログからデジタルへの転換期でカンサスというバンドにもデジタル変換機を使用したアルバムのマスタリングを頼まれているという。マスタリングラボの再生システムは音がいいのでわが家のステレオシステムよりはるかによく聞こえてわたしは何回目かの試聴でマスタリングが早くも終わったのだと思って、サウンズ・グレイトといってOKを出した。するとサックス氏はグレイトということばをこの程度で使うなという。グッドといえばいいのかどうかわからなかったけれどわたしはとにかくOKしたかった。サックス氏の職人気質にとってグレイトはかなりハードルが高いことばだったらしい。
fumio

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ラボ  



昨日、グーグルアースでわたしがシングル盤「カリフォルニアサンシャイン」をマスターリングしたハリウッドの有名ラボラトリーThe mastering lab (マスタリングラボ)を検索すると、レコードの時代が終わったので閉鎖されていた。マスターリングの際の職人気質の伝説的技術者ダグ・サックス氏との真剣なやり取りを思い出す。多くのミュージシャンのアルバムを手掛けているので気に入るまで仲々OKを出さず厳しかった。そういう人々がレコードの時代を支えていたのである。
fumio

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熱い  


ロサンジェルタイムスによれば熱波は火曜日から金曜日まで続き電力不足の危機に陥っているという。
妻は妹がサンタモニカの家にはエアコンがないというのでわが家のパナソニックエアコンの写真を撮ってこんなエアコンをつけたらいいよとラインでサジエストした。すると妹は販売店に行くとパナソニックはなくて三菱しかなかったという。今のヒートウエイヴが治まっても11月はインデアンサマーで暑すぎてエアコンなしでは大変。
fumio

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「水面に書いた物語プロジェクト」の一曲ときめきフォールインラヴ

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 <ときめきFALL IN LOVE>詞 曲 山下富美雄

1.Look out !
  Get down get down 
  月の魔法にかかって fall in love
  Get down get down 
  星の迷路で迷ってfall in love

  やめてはかない夢ならば 離れられなくなる
  会えば慰めあうことが くせになっちゃいそう
 
  ああ、あなたなしで もう暮らせない
  ああ、おさえきれずに 胸の炎 闇を焦がし メラメラ揺れる

  Get down get down 
  薔薇の奇跡にふるえてfall in love
  Get down get down 
  時の歯車狂ってfall in love

2.月の青さのせいにして 肌がとけあう夜
  そうよ どちらもいけないの いっそ会えなきゃいい
  
  ああ いつのまにやら 重ねた愛 ゆくえ知れず どうどうめぐり
  Get down get down 
  罪な男に つまづき fall in love
  Get down get down 
  熱い吐息に 
  嬌(なま)めきfall in よろめきfall in
  ときめきfall in love 

 shoo!
  shoo-shabadabadabashoo-shabadabadaba
shoo-shabadabadaba shoo-shabadabadaba
shoo

3.ああ こんなさだめ どうしょうもない
  ああ 息もつかず かわした愛 うねりの中 ぐるぐるまわる
  Get down get down 
  月の魔法にかかって fall in love
  Get down get down 
  星の迷路で迷ってfall in 
  ふるえてfall in 狂ってfall in love 
  嬌(なま)めきfall in よろめきfall in
  ときめきfall in love    
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fumio

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昨日のロサンジェルタイムスにカリフォルニアが記録的熱波に襲われているという記事が載ったので
妻が当地でレストランを経営している妹にラインで連絡をとった。すると39度ほどあって大変という。
フーヴァーダムの水位が下がったので芝生の水やりを週2回に制限されて枯れてきて困っているらしい。
今日のロサンジェルタイムスの紙面では熱波で草むらの中で二人が死に毎年9月の最初の月曜日のレーバーデイにはサンダーストームが発生して停電の怖れがあると警告している。いかに南カリフォルニアのヒートウエーブのなかで安全に暮らすかということを話題にしている。地球温暖化がいよいよ実際に目に見えてきた。
fumio

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AT40  


1976年11月、憧れのポピュラー音楽の都アメリカを目指して日本を出発したわたしはなんと高校時代に「9500万人のポピュラーリクエスト」を録音するのに使用したナショナルテープレコーダーまでも荷物に入れていた。そんなものまでも持ってゆく人はあまりいないだろうがわたしにとってそれは大切な相棒だった。アメリカでもその使い込んだテレコを愛用した。アメリカにはアメリカントップ40(AT40)という、伝説的DJケイシー・ケイセム(Casey Kasem)が毎週カウントダウンする人気ラジオ番組があった。それは3時間もあったけれどケイシーの口調が心地良くてその時間には音楽ファンでなくともが多くの人々が聴いているのでよその家からも同じ番組の音が聞こえた。"Join me next week our weekly countdown. 'til then, keep your feet on the ground and keep reaching for the stars.”というケイシーのお決まりの最後の締め台詞(フレーズ)が実に格好良くて次の週の放送をわくわくして待った。わたしはその番組を録音して何度も聞き返して気に入った曲の歌詞を書き取ったものだった。当時わたしが通っていたアソシエイテッド・テクニカル・カレッジという学校のスピークイージーランゲージセンターという英語学校の先生にテープを再生して何度聴いてもらってもわからない部分があったので、学校の帰りに乘ったバスをサンセット通りとヴァイン通りの角で降りてバス停の丁度前にある有名楽器店ウォリックス・ミュージック・シティに入って歌詞を確認した。さすがポップス音楽の都らしく、店の中に入るとその週のビルボードベストテンの譜面が1位から10位まで棚に並べて置いてあった。ありがたかった。おかげで意味のわからない歌も少しは意味が分かって歌うことができるようになった。感謝。
fumio


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高校時代に作った一曲
月とラクダ
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♪月とラクダ♪ 詞 曲 山下富美雄

赤い月が のぼる砂漠に 涙をためた ふたこぶラクダ
ゆらりゆらり ゆれては なにを思いたたずむ
人間だったころ見た夢見たこと思い出しては立ち止まる
人間だったころ愛した人のこと思い出しては振り返る
でも、今ともに行くのはラクダ
赤い月が 浮かぶ砂漠に 涙をためた ふたこぶラクダ
ゆらりゆらり ゆれては あてもないままさまよう
人間だったころ苦しかった時どうしょうもない時、
人間だったころ落ち込んだ時いっそ砂漠を行くラクダにでもなりたいと願ったっけ
赤い月が 沈む砂漠に 涙をこぼす ふたこぶラクダ
ゆらりゆらり ゆれては あてもないままさすらう
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fumio

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中学時代のある日、向かいの家の離れでなにやら作っている父の友人の技術者おマーちゃんに呼ばれた。テープレコーダーというものを作ったのでこのマイクに向かってなにか言えという。わたしはそれがなにやらわからず、その時ガムを噛んでいたのでただクチャクチャと音を立てた。父が帰ってくるとおマーちゃんは録音したテープを再生してくれた。わたしがまともなことばを発することもなくただ呆けたようにクチャクチャとガムを噛む音だけが流れてくるのをみんなで鑑賞するとは思わなかった。わたしはとても恥ずかしかった。おマーちゃんにとってはそれでも十分だったらしい。どんな音でも録れていれば成功。
それから何日かして父がわたしのためにとナショナルの新製品だったオープンテープレコーダーを買ってきた。おマーちゃんの作ったテープレコーダーに感化触発されたらしかった。その時は気づいていなかったがわたしはそのテープレコーダーによってミュージシャンになるべく育てられたのである。それはミュージシャンになるには最も必要な機器だった。ギターを練習する時にはアンプ代わりに使ったり、好きなラジオ番組を録音して何度も聞いて気に入った歌を繰り返し練習したりずいぶん世話になった。高校時代には学校に持って行って生徒が自由に運営するホームルームの時間にラジオ番組のようにリクエストを募って黒板に10位まで書き出してその曲を順にかけたりしたものだった。
ある日の京都市立塔南高校のわたしのクラスの洋楽ランキング
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1位ワシントン広場の夜はふけて/ヴィレッジ・ストンパーズ
2位悲しき雨音/カスケーズ
3位ポエトリー/ジョニー・ティロットソン
4位内気なジョニー/ジョニー ・ソマーズ
5位ブルー・ヴェルヴェット/ボビー・ヴィントン
6位悲しき悪魔/エルヴィス・プレスリー
7位涙のバースデイパーテイ/レスリー・ゴーア
8位北京の55日/ブラザースフォー
9位スピーデイ・ゴンザレス/パット・ブーン
10位ミスター・ベースマン/ジョニー・シンバル
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今の耳でユーチューブを聴き直してもいい曲が多かったと感心する。楽しい時代だった。
fumio




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一時盛り上がったダンスアニメブームにのって作った、ひとりのヒロインが様々なシチュエーションで演じる一連のドラマ的なヴィデオのひとつオーロラの町から

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   <極光(オーロラ)の町から>
                 詞、曲、山下富美雄

1. 恋に疲れて 果てしない旅
   たどりつくのは オーロラの町よ
   
   冬枯れの駅 夕映えの海
   ちぎれ飛ぶ雲 肌を刺す風よ
   
   忘れられない くちづけの日々
   あの人の胸 明日こそ帰る

   アア アア アアー
   オーロラの瞳
   
2. 波の飛沫(しぶき)に 濡れ飛ぶカモメ
   薔薇の花束 届けておくれ
  
   オーロラの下 身じろぎもせず
   故郷(ふるさと)の人 思い出す夜よ

   アア アア アアー
   オーロラの瞳
   オーロラの瞳
   オーロラの瞳   mmmn mmmmn  
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fumio

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わたしは1963年、昭和38年に始まった「9500万人のポピュラーリクエスト」という洋楽カウントダウンラジオ番組で小島正雄が毎週番組中におまけのように全米キャッシュボックス誌ヒットチャートを10位まで読み上げるのをテープレコーダーに録音して何度も聞き返して小さいノートに記録したものだった。初めて書き取ったのは1963年7月 27日号の週のキャッシュボックストップ10。こんなランクになっていた。
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July27
1SURF CITY ジャンとデイーン
2 SO MUCH IN LOVE タイムズ
3 EASIER SAID THAN DONE エセックス
4 FINGERTIPS  リトル・ステイーヴィー・ワンダー
5 WIPE OUT サーファリーズ
6 (You’re The) DEVIL IN DISGUISE エルヴィス・プレスリー
7 MEMPHIS ロニー・マック
8 TIE ME KANGAROO DOWN, SPORT ロルフ・ハリス
9 BLOWIN’ IN THE WIND ピーター・ポール &マリー
10 PRIDE AND JOY  マーヴィン・ゲイ
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聴いたことのない曲ばかりで題名が合っているかどうかもチンプンカンプンだったけれどそのノートは放送の翌日、高校の授業中にクラスの洋楽ファンの間で回すと洋楽ファン以外も一応目を通しておくべきものとして当然のようにみんなで回して読んで最後にわたしの手に帰って来たものだった。たったそれだけのことだったけれどアメリカの最新の文化に触れたような気がした。そんなわたしが将来現地のラジオでアメリカントップ40を毎週聴くことになろうとは…思いもよらぬことだった。
fumio





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