教育のヒント by 本間勇人

身近な葛藤から世界の紛争まで、問題解決する創造的才能者が生まれる学びを探して

不可能性の時代の終わり

2008-06-23 04:42:17 | 
不可能性の時代 (岩波新書 新赤版 (1122))
大沢 真幸
岩波書店

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☆日経の書評ページ(2008年6月22日)で、東浩紀さんが書評を掲載していた。大澤真幸さんの戦後の時代区分と東さんの区分は、表現こそ違うが、共振している。

☆ただ、大澤さんは団塊・断層の世代、東さんは新人類の次の世代。分析対象である社会現象の受けとめ方が違う。同じ問題意識の表現でも、とっつきやすさは読み手のジェネレーション層によって違うかもしれない。

☆両者の地平は、しかし、ホッブスあるいはルソーの人間の在り方の現代版であると言ったら、お叱りを受けるだろうか。神との契約→社会契約→個人間の契約へのシフトは、大きな物語→物語の終焉→データベース人間=動物化に対応するし、理想の時代→虚構の時代→不可能性の時代のシフトも対応する。

☆東さんの動物化の影の部分を解決する仕方は、結局共感というルソー的共和制へ、大澤さんの解決への希望は、中村哲さんのようなペシャワール会の実践に象徴されている。つまり社会的起業活動。それぞれの小さなネットワークがインターネットの中で起こるように、グローバルなネットワークにもなるというフラット論。

☆もちろん、そこには常に法の問題がある。法律の問題の前に。動物化されたポストモダンの影の部分の解決は、その影の部分を増幅できるツールによって解決されるしかない。このパラドックスを解決するには、ショートを防ぐ法の問題が横たわる。

☆しかしそれが法律問題になるや、パラドックスの解決策は不完全性定理によって、迷宮入りしてしまうのだ。

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