経済成長という病 (講談社現代新書) | |
平川 克美 | |
講談社 |
☆本書のように、経済成長に対する批判、あるいはネガティブな指摘は
☆多くの論者が語っている。
☆しかし、格差社会も、少子高齢化社会も、その危機は
☆GAPを表すスコア、人口減少率のスコアなど、
☆比較相対的視点でのみ煽るスタイルのものが多い。
☆サイバースペースやネット社会の危険性も
☆その闇の部分のみを指摘して、どうだ怖いだろう
☆というストーリーで煽る。。。
☆その点、本書は、物の見方を変えてみようという
☆描き方だから、自分たちが各領域・分野で強迫観念に縛られていたことを
☆気づかされる点において共鳴できる。
☆しかし、なぜこんなに経済は不安定なのか、経済成長を欲望しなければ
☆ならないかの、基本的な視点が確認されていない。
☆それについて、丁寧に論じているのが
☆ジャック・アタリである。
☆民主主義と市場は表裏一体でありながら、どこにズレがあるのか。
☆しかし、民主主義自体の闇もそのズレの前に既にある。
☆経済の暴発は、自由主義に問題がある。だから法の整備だと
☆いうことでないことがおもしろい。
☆自由主義は、本当は自由が貫徹できていないから、問題であり、
☆そこがインサイダーになっているから、経済は暴発する。
☆暴発することで得をするのは、資本家ではもはやないと・・・。
☆しかし、さらにその点をわかりやすく描いているのが
☆マックス・ヴェーバーの「宗教社会学論選」。
☆世には膨大な経済分析の本があるが、
☆本当にテクニカルで、ファンダメンタルズの部分は
☆軽視されている。それも考えてみれば当たり前だ。
☆ファンダメンタルズの視点は、ヴェーバーがすでに
☆語り、そこは普遍的で、あとは変奏曲でしかない。
☆商売は、日々新たなものを生み出す必要がある。
☆それを可能にするのは、表層部分。
☆ここで一喜一憂するからこそ市場はなんとかなる。
☆ジャック・アタリのすごいところは、
☆テクニカル領域とファンダメンタルズ領域を
☆結びつけて世界を描けるところだ。
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