先日、夏休みを利用してブルガリアに旅行に行って来ました。海辺のリゾートに行って日常を忘れてのんびりと過ごす旅行も魅力的ですが、未知の国に行って色々な刺激を受けるのもまた旅行の醍醐味であると思います。ヨーロッパで行ってみたい国はたくさんあるのですが、今回はヨーグルトとバラ以外にはあまり馴染みのないブルガリアに行って見る事にしました。
今回の旅行行程は以下の通りでした。
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8/2 ロンドン⇒ソフィア
8/3 ソフィア⇒サンダンスキ
8/4 サンダンスキ⇒カザンラク
8/5 カザンラク⇒ソフィア⇒ロンドン
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ブルガリアは共和制国家であり、正式国名はブルガリア共和国です。2007年1月にEUに加盟したものの、加盟に際しては改革が不十分であるとして欧州理事会に再審査をされたという経緯があり、現在もEU内ではGDPの水準が2番目に低いそうです。宗教はブルガリア正教が国民の約9割を占め、公用語はブルガリア語、通貨はレフとなっております。ブルガリアは旧ソ連の影響を強く受けた国です。ブルガリアは14世紀から19世紀にかけてオスマン帝国の支配下に置かれ、そこからの独立運動である四月蜂起が弾圧された事が発端となって露土戦争(1877-1878年)が起きました。その時にそれを支援する形で介入したのが旧ソ連であり、戦争に旧ソ連が勝利したのを契機にブルガリアはオスマン帝国から解放されました。露土戦争の講和条約によってブルガリアにはロシアの影響を強く受けた第3次ブルガリア王国が成立し、第二次世界大戦後も旧ソ連の衛星国としてブルガリア共産党による一党独裁の社会主義国家であるブルガリア人民共和国が成立しました。その後民主化要求が高まった結果、共産党による独裁は終焉し、ブルガリア共和国が成立しました。近年は旧ソ連や共産党に関する建物や銅像は撤去され、名実共に民主化が進んでいるそうです。
まずは首都のソフィアを訪れました。街を歩いていて良く目に付くのが教会です。ブルガリア正教教会の聖ネデリャ教会やキリストの教会である聖ソフィア教会、それ以外にも教会をよく目にしました。
ひときわ目立つこの建物はアレクサンダル・ネフスキー寺院です。ブルガリアがオスマン帝国から独立するきっかけとなった露土戦争で戦死した約20万人の旧ソ連兵士を慰霊する目的で建立されたそうです。ブルガリアにとって非常に重要な意味を持つ存在であると言えるでしょう。
ソフィアの中心街に到着すると、とても威圧感のある建物が見えました。それは社会主義時代の旧共産党本部でした。現在は一体何に使用されているのかが気になります。また、その向かい側にある立派な建物は大統領官邸です。
ソフィア唯一の百貨店であるツムです。旧共産党本部および大統領官邸の目と鼻の先にあり、社会主義を彷彿とさせる外観です。高級ブランドを多く取り扱っているのですが、とにかくお客さんがいないのです。私達以外に1組いるかいないかと言った感じで、店員さんは皆暇そうでした。また、閉まっているお店もありました。ツムに入店した直後にちょうどお店にいたブルガリア在住の日本人男性に「こちらに住んでいる日本人の方ですか?」と声を掛けられました。その人曰く、この百貨店は最近はお客さんが本当に少なくなってしまったそうなのです。
ツムの向かい側にあるセントラル・ハリというショッピングセンターに向かいました。食料や雑貨などを扱うお店がひしめき合い、庶民の生活を垣間見る事ができます。「あっ、豆腐がある!」と思って良く見ると、それはチーズでした。ブルガリアではよくチーズを食べるようで、チーズのお店がとても多かったです。2階にはフードコートもあるので、ちょっとした食事をする事もできます。
夜はクラチマ・プリ・ヤファタというブルガリア料理のレストランでブルガリア料理を楽しみました。タラトールは冷製のヨーグルトスープです。中にきゅうりが入っていてさっぱりした味わいです。カヴァルマはブルガリアを代表する料理だそうで、お肉と野菜をキャセロールに入れ、オーブンで焼いたものです。キョフテはブルガリア風のハンバーグです。ひと口食べてみると、ボスニア・ヘルツェゴヴィナで食べた料理と同じ味がしました。ボスニア・ヘルツェゴヴィナもブルガリアも同じくオスマン帝国に支配された経緯があるので、これは恐らくトルコの料理なのでしょう。
翌日はブルガリアの温泉の町であるサンダンスキに向かいました。途中でブルガリア正教の僧院であるリラの僧院に寄って行く予定だったのですが、とにかく道が悪くて予想外に時間がかかり、それに加えてとても暑くて(気温38度!)結局は断念せざるを得ませんでした。リラの僧院のフレスコ画を見るのを楽しみにしていたので、ちょっと残念でした。。。サンダンスキではインターホテル・サンダンスキというリゾートホテルに泊まり、温泉を楽しみました。このホテルは1980年代にオーストリアの会社によって建てられたホテルという事で外観はちょっと古めでしたが、中はリフォームしてあってきれいで、何よりも夕食のブルガリア料理のバイキングがおいしくて大満足でした。
翌日はバラで有名なカザンラクに向かいました。今回の旅行は移動が多くて大変です。。。サンダンスキからカザンラクまでは4~5時間を見込んでいましたが、途中で色々なアクシデントに見舞われ、また途中まで高速道路がないという事も災いし、かかる事何と7時間!せっかく旅行に来たのに終日車にいるのはかなりのストレスでした。何とか気を取り直してカザンラクのバラ博物館へ。バラの香油の蒸留釜や製造過程などが展示されていました。また、バラ祭りで選ばれたバラの女王であるミス・バラコンテストの優勝者の写真も飾られていました。ブルガリアの女性にはヨーロッパながらエキゾチックな魅力があり、とてもバラが似合う顔立ちだなと思いました。
続いては世界遺産であるトラキア人の墳墓へ。紀元前4世紀後半から紀元前3世紀頃のトラキア人の戦闘場面や葬送儀礼の様子などが描かれたフレスコ画を見る事ができます。トラキア人とはバルカン半島東部の歴史的地域名であるトラキア(西トラキアがブルガリアの南東部とギリシャ北東部の一部、東トラキアがトルコのヨーロッパ部分)に住んでいた民族を指すそうです。紀元前の物とは思えない程の繊細なフレスコ画でした。
3泊4日のブルガリア旅行は移動が多くて大変でした。ブルガリアは道が悪く、舗装がまるでパッチワークのよう!?になっている事も多く、ガタガタとかなり走りにくかったです。また、高速道路が少なく、一般道も所々で工事中で迂回をする必要があったりと予想以上に時間を要する事が多かったです。
初めて訪れたブルガリアはヨーロッパというよりもアジアに近いような印象を受けました。それはオスマン帝国に長らく支配され、アジアの影響を多分に受けたと言う事もあるでしょうが、ヨーロッパの大国と比較するとまだまだ発展途上であるという事も挙げられると思います。ブルガリアを歩いていてどこかで見た景色に似ているなと思ったのですが、それはベトナムでした。大通りのショップのディスプレイもどこか懐かしさがあったり、大量生産大量消費というよりも手作り感に溢れる物が多かったり、まだまだこれから発展する町なのだと思いました。これまで未知の国であったブルガリアですが、今回の旅行を通してまた親近感を持つ国が1つ増えました。