夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

ソフトな色彩の「夫婦善哉」

2005年03月17日 21時06分38秒 | Weblog
 「夫婦善哉」は何度も舞台化されてきた名作だが、今回は藤山直美・沢田研二の人気の顔合わせ。 「しっかり者の妻が夫を養ってお尻をたたく話だと思われるのは嫌なんです」。上演前、藤山はそう話していた。確かに夫婦善哉は大阪の「強い女と頼りない男の物語」だとシンプルに説明されがちだ。だが、織田作之助の原作はもっと複雑な色合いを帯びている。
 今回の蝶子・柳吉が残す印象は、もっとソフトだ。沢田が演じる柳吉は、ぐうたらだが蝶子への愛情をきちんと表現する。そこには、世間体や競争から自由な男の素直さが漂う。藤山が演じる蝶子にも柳吉への愛情がにじみ、2人はやがて落ち着いた夫婦像へと成熟していく。
 愛情物語の色彩が強まれば、悲哀の部分はどうしても薄まってしまう。だが、現代では2人をそのように造形しなければ、夫婦を維持する意義が理解されにくいかもしれない。原作は同じでも微妙に色彩を変えていく舞台は、さまざまなことを考えさせてくれる。
―毎日新聞3月17日夕刊、~畑 律江の舞台はおもしろい~より抜粋。


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