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夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

『片思い世界』

2025年04月23日 09時34分17秒 | Weblog
広瀬すず、杉咲花、清原果耶のトリプル主演作。『花束みたいな恋をした』の

脚本は坂元裕二、監督が土井裕泰のコンビで贈る。不思議で温かい世界観を作

り上げている。

現代の東京の片隅にある古い一軒家。

ここで、美咲(広瀬すず)、優花(杉咲花)、さくら(清原果耶)が三人が暮ら

す。朝早く起きてお弁当を作り、仕事、学校、バイトとそれぞれに出かけ、夕

飯をともにする。楽しいおしゃべりも、グダグダいるのも、同じ寝室に寝るも

の一緒だ。そんな、穏やかな楽しくて気ままな日々。

だが、美咲にはバスで一緒になる男性が気になっていて、その人のことが好き

なのだと二人は気づいてしまう。

あれから12年が経つ。家族でも同級生でもない三人に起こっていたこと。それ

ぞれが抱える思いに寄り添えた時、“飛ぶ”ことはできるのだろうか。

子どものころからの家族関係がほぼ明らかになるのは、杉咲花が演じる優花だ

け。広瀬すずの美咲は何となく、清原果耶のさくらについては、その関係が全

くわからないままだ。だが、それは関係なく、主演三人の演技ですべてを物語

る。飛べなくても、三人の関係は変わらずに彼女たちなりの日常は続く。

杉咲花は目の演技がうまく、強くて、優しい。まるでその役が現に存在してい

るかのようである。広瀬すずは、末っ子のイメージが強いがこの役では長女的

存在だ。泣くシーンでは、涙を流すだけでなく、唇が細やかに震えていて“う

まいな”と感じる。清原果耶は妹ポジション(実際にも妹らしい)でのびのび

演じている。いい関係の姉妹感が伝わる。

出演は他に横浜流星。小野花梨、伊島空、moonriders、田口トモロヲ、西田尚

美など。

エンドロールに、松田龍平と土居志央梨(虎に翼のあの人)を見つけて驚き。

たぶんあのシーンだったはず。フライヤーに名前がないので、気になる人はお

見逃しなく。

坂元裕二らしい優しい人間関係に、土井監督の美しい映像が加わる。


東京サンシャインボーイズ 復活公演「蒙古が襲来」

2025年04月12日 15時35分13秒 | Weblog
東京サンシャインボーイズと聞いて、三谷幸喜が主催する劇団だと知る人は、

もしかしたら、ある一定の世代になってしまったかもしれない。三谷幸喜は、

日本大学藝術学部演劇学科在学中の83年に、劇団東京サンシャインボーイズを

結成。95年以降は充電期間に突入している。その期間、三谷幸喜がお茶の間に

も知られる脚本家となるのは言うまでもない。大学が土台になっている劇団で

はなく、俳優を志す者の寄せ集め。その彼らが、今最もチケットの取れない劇

団となるほど大きく成長させたところでの充電期間となっていた。

最終公演の「罠」のパンフレットには次回公演の告知が載っている。

2024年9月、新宿シアタートップスにて『リア玉』を上演予定と。そして、

30年ぶりの復活。舞台はパルコ劇場からとなった。『リア玉』でもなかった

が。

どちらかと言うと、テレビでよく見る脇役の俳優さんたち。しかし、主演を張

る人たちではない。顔は見たことはあるが、名前が出てこない人もいるかもし

れない。主演を食う俳優演技で話題になる人たち。その人たちが集結すると、

一つの力として圧倒的な存在となる。

鎌倉時代。対馬の漁村は昨日と変わらず穏やかな日常を過ごす。が、そこに異

国の襲来があるかもしれないとの噂が流れる。鎌倉から役人がやってくる中、

オンゾ(西村まさ彦)は見なかったことは見なかったこと。見たことも見なかっ

たことにするということで、口裏を合わせようとする。

登場人物

ニラブ(漁師)       梶原善→最初に登場する

カメ(ニラブの妻)     宮地雅子

トラジ(カメの兄)     相島一之

おばば(歩き巫女)     吉田羊

タマオ(トラジの幼馴染)  小林隆

オンゾ(トラジの父)    西村まさ彦

ましら(傀儡師)      阿南健治

きんば(傀儡師)      西田薫

ウツボ(オンゾの妻)    谷川清美

ウンジ(隣村の村長)    野仲イサオ

ジンタ(カメの元恋人)   甲本雅裕

ゴングージ(権宮司)    近藤芳正→待ってましたの拍手で迎えられる

サカザキ(鎌倉武士)    小原雅人


九条実実(くじょうさねざね・
  太宰府からきた客人)  伊藤俊人

どんちゃん(たぶん鶏)

劇中によくでてくる言葉「いつか、いつか」、「いつかやろう」のいつかはな

い。今、やるということを大切に。喜劇だけでなく悲劇を交え、事実を変えな

いのが三谷幸喜の脚本。そのメッセージはしかと、受け止めよう。

抱腹絶倒の喜劇、だが、そこに戦争や平和へのメッセージが隠されている。

平和な時代を願って皆が踊るラスト。その曲は「どんちゃん」、甲本ヒロトが

担当している(甲本雅裕については、生まれる前から知っているそうです😊

 )。この曲がめっちゃ甲本ヒロトで「おーーーやっぱり」と思う。

キャストが楽しく踊って、大団円を迎える。吉田羊はおばばから解放されて、

キレキレで踊る!!


それにしても、この芝居のチケット本当によく取れたと思う。会場にいて、つ

くづく思った“奇跡”であると。小劇場系の芝居で会場はそれほど大きくはない

Sky劇場。何十年も気になっていて仕方なかった人たちに会えて、楽しい素敵

な時間でした。

吉田羊は劇団員ではなく、客員の立場だが、“研究生”として参加。今後、正式

団員としての公演に出演できるかどうかは不明だ。そしてこの吉田羊が出演者

の中で一番若いが、老婆を演じていて、舞台上ではずっと腰が曲がっている役

柄だ。そこもまた立ち位置としておもしろいところ。

カーテンコールでは、今は亡き伊藤俊人がいると思われる場所を少し開けられ

ている。劇団東京サンシャインボーイズの仲間であることは誰も忘れていな

い。この作品では九条実実を演じているがその登場の仕方、させ方に愛を感じ

る。

開演前のアナウンスは山寺宏一、開園後のアナウンスは戸田恵子であったこと

を記しておきます。二人とも、劇団とは関係がありません。三谷幸喜脚本・

演出で戸田恵子主演の作品は鑑賞したことがあるので、全く関係がないわけで

はないが、これも含めて、贅沢な時間であったことを改めて😉 戸田さんから

は、次の公演は80年後であることが告知されました!!皆さんお元気で!!

追記
公演パンフレットを購入した(1800円)。それを読むと、甲本ヒロトとの流れ

もわかるし、このメンバーが集まるきっかけになったある俳優などが登場する

対談が掲載されていているので、劇団に対する理解が深まる。

東京、岡山、京都、長野、宮城、北海道、大阪を経て、愛知、福岡、沖縄公演

と続く。沖縄は大型連休での公演となる。

舞台『やなぎにツバメは』

2025年04月07日 20時26分53秒 | Weblog
大竹しのぶ、木野花、林遣都、松岡茉優、浅野和之、段田安則という魅力的な

キャストたち。これはもう、行くしかなかった。作・横山拓也(2024年鶴屋

南北戯曲賞受賞)、演出・寺十吾のシスカンパニー公演である。


母がリビングをカラオケスナックに改装した家。そこに、いしだあゆみの「ブ

ルーライトヨコハマ」。柳下美栄子(大竹しのぶ)の母で店のママが亡くなっ

たお葬式の日から物語は始まる。

常連客の仁藤佑美(木野花)、浜坂洋輝(段田安則)、美栄子の娘・花恋(松岡茉

優)とその恋人で洋輝の息子・修斗(林遣都)。そして、美栄子の別れた夫・

鳥野賢吾(浅野和之)が集まった。ママの思い出話をする佑美と洋輝、結婚す

る報告をしたい花恋と修斗。賢吾に早くそこから出ていってほしい美栄子。そ

れぞれが、思い思いにその日を迎えていた。

このあと、家をどうするのか、誰と誰が暮らすのか、そこに料理人である修斗

の独立話が持ち上がりと日常の中での会話劇が繰り広げられる。いろいろあり

ながらも人生は続き、悩みは尽きない。そんな大人たちの話…。

時にはしんみりと、時には大笑いして。観客は引き込まれていく。至極のコメ

ディ。

賢吾となぜ離婚するに至ったか、その理由を突き詰めていくあたりから、美栄

子の心の内がせつなくなっていく展開となる。

大竹しのぶ、木野花、浅野和之、段田安則のベテラン勢がずらりと並んで語り

合う場面。その絵面がとてつもなく、重厚。台詞のやりとりも痛快だ。大竹し

のぶの間合いに明石家さんまを感じてみたり、も。そして、松岡茉優と林遣都

はこのメンバーと出演できた経験は大きいと思う。

東京公演のあと大阪公演が4月3日から6日まであり、当方が観劇したのは大

千穐楽となる6日。カーテンコールがおそらくこれまでと違ったと思う。場面

移動の時に流れていたカーペンターズの曲。「ずっと歌いたかったの!」とい

うことで大竹しのぶが歌った😀 のである!!最後の最後まで、会場も舞台上

も大盛り上がりで幕となった。

今度は、大竹しのぶのミュージカルを…観たい。チャーミングな人である。

『侍タイムストリッパー』

2025年03月22日 21時11分55秒 | Weblog
当方の周りが、『侍タイムストリッパー観たよ、観たよ』と報告をしてきてい

た。当方はかなりインディペンデント系の映画が好きだと周りに思われている

ようである。そのため、かなり切羽詰まった感じで鑑賞することになってしま

った。もちろんこの映画の噂は存じ上げておりました😥 


幕末の京都。会津藩士の高坂新左衛門(山口馬木也)は、家老から長州藩主を

討つように密命を受けるが、標的となる男を刃を交えた瞬間、落雷があり、気

を失う。目を覚ますと、そこは現代の時代劇撮影所だった。新左衛門は戸惑

い、行く先々で騒動を起こしながら、140年前に江戸時代が滅んでいたこと

を知る。一度は死を覚悟するが、やがて、磨き上げてきた剣の腕だけを頼り

に、斬られ役として行くことを決意する。

テレビドラマ「剣客商売」シリーズなどで時代劇に出演してきた山口馬木也が

主演。『ごはん』『拳銃と目玉焼き』の安田淳一が脚本と監督を務めた。自主製

作作品でありながら、東映京都撮影所の特別協力により完成させた。そのため

か、当方が思っていたよりもというより、大真面目で本格的な時代劇だった。

2024年8月17日に池袋シネマ・ロサの1館のみで封切られたこの作品が、口コ

ミで広がったことから、同年9月13日からはギャガの共同配給がついた、それ

を機に、全国100館以上で順次拡大公開されることとなり、インディペンデン

ト映画として、異例の大ヒット。ついに、第48回日本アカデミー賞では最優秀

作品賞を受賞する大快挙を成し遂げた。

映画が大好き! 時代劇を残そう!

という時代劇愛が深く深く伝わる映画。そして、タイムスリップものを続けて

鑑賞して思うのは、タイムスリップをした主人公がその時代に適応する能力の

高さ。この作品も、この時代にうまくなじんで生きていく。


人気時代劇俳優である風見恭一郎を演じるのは、冨家ノリマサ。脚本家を目指

しているアシスタントディレクター・山本優子には沙名ゆうの。殺陣師・関本

を峰蘭太郎、撮影所所長・井上を井上肇、斬られ役俳優・安藤を安藤彰則が演

じた。

『TSURUBE BANASHI 2025』

2025年03月15日 08時49分35秒 | Weblog
笑福亭鶴瓶による恒例の、漫談とも言えず一人語りとも言えない“噺”。

人の観察が好きで、だからこそ周りにおもしろい人がこの人のところに集まる。

約2時間、おもしろエピソードを話しっぱなし。そして最後はほっこりできる演

出が待っている。今年は、出身の大阪市平野区からの縁を映像化している。

マネージャーをいじりながらも、本当にかわいがっているからこその、小ネタ

のオンパレードです。

お腹抱えて笑う。この人の噺のポイントは“間”である。←落語家なので当たり

前かもだが。

(森ノ宮ピロティホールにて)



『35年目のラブレター』

2025年03月10日 19時10分58秒 | Weblog


ようでけた映画のような話だが、これが実話だというのだから、人生はおもし

ろい。人の巡り合い、出会いは捨てたものではない。舞台は奈良。関西的なネ

タと笑い、涙が散りばめられている。

西畑保(笑福亭鶴瓶)は、65歳になるまで文字の読み書きができずに生きてき

た。そのそばには、妻の皎子(きょうこ・原田知世)が寄り添っていた。

定年を迎えた帰り道、保は夜間中学校入学の手続きをして帰宅する。娘夫婦も

集まったその場所で、保は入学手続きが済んだ用紙を皎子に見せる。保は、ク

リスマスに皎子へラブレターが書けるようにすると宣言する。

保は貧しい家に生まれ、ほとんど小学校にも通うことが出来なかった。そのた

め、生きづらさを抱えていきてきたが、思いやりのある寿司店の店主(笹野高

史)と出会い、人生に救われた。そこで皎子と運命的に出会い、結婚。だが、

幸せを手放したくないがゆえに、読み書きができないことを言い出せずにい

た。半年後、ついにひた隠しにしていた秘密が露見し、別れを切り出す。だ

が、皎子はこう告げる「今日から私があなたの手になる」と。

どんな時も寄り添っていてくれた皎子へ感謝のラブレターを書きたい。担任の

谷山恵(安田顕)先生もじっくりと、ゆっくり教えてくれる。年齢、国籍も異

なる同級生とともに学ぶ保だったが、学び方も身についておらず、老齢の保は

もの覚えも悪かった。気づけば5年以上の月日が経過したころ、一字また一字

と書いては消すひたむきな保と、それを見守る皎子は結婚35年目を迎えてい

た。

そして、ラブレターの形がようやく見え始めたころ、皎子に異変が起こる。

若いころの保は重岡大毅、皎子を上白石萌音が演じる。

添付した写真は、去年の大阪公演での上白石萌音のラストメッセージ。

「ありがとうさん」

この言葉が、映画と関連している。大切なメッセージの前振り。上白石萌音

は、朝の連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」でそうであったように、昭

和の時代が合う。半纏姿と縁側がしっくりくるのが、この人の強みだろう。原

田知世とともに、関西ことばのイントネーションに違和感はない。二人とも歌

手をしている分、耳からの聞き取りがいいのかもしれない。関西人でも気にせ

ず鑑賞できるのが有難い。笑福亭鶴瓶は演技も笑福亭鶴瓶なのだが、何といっ

ても「間」がいい。

台詞と台詞の行間。そこは流石に、落語家としての真骨頂なのだと思う。ラス

トは笑福亭鶴瓶が演じる西畑保さんによる卒業式でのあいさつ(ひとつネタば

らし😓 )。ここはその「間」が生きたワンシーンだ。普通に、独演会で使えそ

う。

出演は他に、徳永えり、ぎい子、辻本祐樹、本多力。また、皎子の姉を江口の

りこが演じている。また、夫婦の隣の家に変わらずに住み、若い頃から老年の

主婦をすべて演じるのは、くわばたりえである。重岡大毅と笑福亭鶴瓶の保が

似て見えるから不思議である。この二人と、皎子役の二人のシンクロした演技

がお見事👏

エンドロール前の、保と皎子の名前の入り方がええのよ😉 

監督は塚本連平が務めた。秦基博の主題歌とともにご覧のほどを。

『知らないカノジョ』

2025年03月07日 08時50分15秒 | Weblog
映画館でこの映画のチラシを見たとき、ホラーなやつ?怖いやつ?と思ってし

まった当方だが、当然のことながら全く違った。時空を超えるファンタジッ

ク・ラブストーリー。監督は、ラブスートリー作品を多く生み出してきた三木

孝浩が務めた。主題歌は、今作でヒロインを演じるmiletの『I still』。

小説家志望の神林リク(中島健人)は、大学時代に出会った歌手を目指す前園ミ

ナミ(milet)と出会う。それから8年。リクはベストセラー作家に。ミナミは

夢を諦め、リクを支える妻となっていた。リクの作品を最初に読むのはミナ

ミ。だが、最近の二人の関係はギクシャクし、ろくに口もきいていない。

ある日、ミナミとけんかをした次の日の朝リクが目覚めると、なぜかミナミは

大スターに。リクは出版社のイチ編集者となっていた。しかも、二人は出会っ

てもいない。困惑するリクだが、何とか元の世界を取り戻そうと奔走する。何

とかミナミに近づくが、彼女のそばには愛する人がいた。

miletはこの作品で女優デビュー。初めて本格的な演技と向き合った。タイトル

バックではmiletに対しての演技トレーナーがついている表記が出る。歌う時

と、演じる時の差がはっきりと出ていて自然に見える演技ができていた。違和

感なく鑑賞できたので、これから俳優も仕事が増えていくであろうことが予測

できる。

現在とは違う軸の世界を経験していく物語(最近この手の作品連続してる😉 )だ

が、戻ることも戻らないこともできる。そのキーパーソンはミナミの祖母を演

じる風吹ジュンである。普通に記憶がおぼろげになっているわけではないとい

う。。。ことか。

また、予告編では一切出ていなかった冒頭のシーン。これが、まさにすべての

物語の始まりとなるので見守りたい。

出演は他に、桐谷健太、中村ゆりか、八嶋智人、円井わん、坂ノ上茜、野間口

徹、眞島秀和。特別主演として小手伸也。

「中之島 香雪美術館 大原美術館所蔵20世紀美術の巨匠たち」

2025年02月21日 20時30分00秒 | Weblog

 20世紀の絵画は抽象的でわかりづらいと思いがち。大きな戦争が二つあった

時代に、移住を余儀なくされたアーティストたちは、抽象表現主義、ポップア

ート、ミニマルアートと新たな表現を開拓した時代でもあった。

 それを踏まえて、本展は、大原美術館所蔵の戦後のアメリカを軸に、20世紀

をふりかえる特別展であるとしている。異邦の地での孤独と疎外感は、自分と

は何者か、美術とは何か、という簡単には答えの出せない大きな問いを投げか

ける。

 大量生産、大量消費の資本主義社会で独自の制作方法を生み出したアンデ

ィ・ウォーホルは、マリリン・モンローの死後、彼女を主題に多くの作品を制

作している。彼は「もしアンディ・ウォーホルのすべてを知りたいのなら

(・・・)表面だけを見てくれたまえ。そこに僕はいる。裏側には何もないんだ

よ。」と言う。まずは「表面」と向き合うことから始める。

 これらの理由で今回は展示されているという趣旨であるとのこと。大原美術

館所蔵の20世紀美術35点と香雪美術館所蔵の薬師如来立像(特別出品)が展示

されている。

 大きくはない会場だが、線の動きや、ポスターに使えそうなユニークな絵画

などや写真が展示されている。興味深かった。

写真を撮れるのは、この美術館の象徴的な“玄庵”に展示されたイヴ・クライン

の「青いヴィーナス」のみ。かなり幻想的である。

(開催期間は1/18から4/6日まで)

「ショウタイムセブン」

2025年02月21日 08時22分48秒 | Weblog

韓国で大ヒットしたソリッドスリラー『テロ.ライブ』を原作だが、オリジナル

展開も盛り込まれた本作もなっている。

犯人の本当の目的は何なのか?

マスコミに働く人間の性を阿部寛が表現する。


午後7時、折本眞之輔(阿部寛)のラジオ番組にその日のテーマとは違う1本の

電話が入る。しつこい話しぶりで対応に苦慮。直後に発電所で爆破事件が起こ

る。

電話をかけてきた謎の男が交渉人として指名してきたのはラジオ担当に左遷さ

れた元・人気キャスターの折本。

この危機を番組復帰のチャンスと捉え、自らキャスターとして犯人との生中継

を強行する。だが、そのスタジオにも爆弾がセットされていた。

自分の父が働いていた発電所事故を隠し、ないものとした当時の発電所の所長

や首相に謝罪を求める。

一歩出たら即爆発という状況にある。そして、とうとうスタジオで爆発。新人

アナウンサーの結城千晴(生見愛瑠)が巻き込まれる。

二転三転し、エスカレートする犯人の要求。折本の発言で生死を分ける緊迫状

況が続いていく。その極限状況がリアルタイムで全国に放送される。

折本が降板したあとの「ショウタイムセブン」のキャスター安積征哉を演じる

のは竜星涼。折本の上司・東海林剛史は吉田鋼太郎、同僚の記者・伊藤さくら

を井川遥が演じる。出演は他に、前原瑞樹、平原テツ、安藤玉恵、平田満な

ど。監督・脚本は渡辺一貴が務めた。

出演する人物は折本の敵か味方か。それぞれの立場で折本に向き合う。汚職、

癒着、抱き込みなどなど。マスコミも政治も暗い部分はあるのでしょうね、と

思う作品。


『ファーストキス 1ST KISS』

2025年02月10日 22時59分07秒 | Weblog

映画『花束みたいな恋をした』で人気を博した脚本家・坂元裕二→この人が脚

本というだけで絶対鑑賞する当方である←と、映画『ラストマイル』の大ヒッ

トも記憶に新しい塚原あゆ子監督。この二人がタッグを組み、人気と実力を兼

ね備えた松たか子と松村北斗が共演する。

結婚して15年、事故で夫・硯 駈(すずりかける 松村北斗)が事故で亡くな

る。夫とは長い倦怠期で、不仲なままだった。第二の人生を歩もうとしていた

ある日、3年待たないといけない“餃子”がカンナ(松たか子)の元に届き、いき

いきと焼き始めるが、夫の部屋に入って気が滅入ってしまったことろ、餃子が

焦げてしまう。せめて、餃子が焼ける前に戻りたい…そう思ったときに職場か

ら電話が入る。急いで車を入らせていたその時!!車ごとタイムトラベルして

しまう。

到着したのは2004年の時代。夫とカンナが知り合った夏だ。

タイムトラベルの術を手に入れたカンナは「私と知り合わなければ夫は死ぬこ

とはなかったかもしれない」。駆が事故に遭わないように、生存する可能性を

考え出し、何度もタイムスリップを試みて実行していく。戻った過去には、彼

女が出会う前の駆が若い時代の姿があった。

そして彼女は「やっぱり私は、彼が好きだった」と。こうして夫と再会したカ

ンナは、もう一度彼と恋に落ちる。だが、二人を待ち受ける未来には…。

松たか子は20代を演じる。40代になった彼女だが、その姿はその頃の頬がぷっ

くりしていて健康そうだ。あの時代に出ていた人気ドラマの雰囲気のまま。そ

の見かけだけでなく、本人のままだ。当たり前とも思えるが、ありえないほど

似せてきている😄 瑞々しさのある、素晴らしい演技。過去と現在をいったり

来たりしながら、見事に演じ分ける。そして、その逆が松村北斗。彼は、現在

で(役からすれば未来で)40代になった本人を演じている。その姿と声は、

20代のそれではなくなっていて、ハツラツ感はない。後ろ姿も中年男性のそれ

だ。

こうして、20代から40代を二人は演じ切った。お見事としかいいようのない世

界観を作り上げている。

過去パートで何度も登場する、人気かき氷店の行列に並ぶシーンでは、会話が

それぞれに違い、後ろに並ぶ女性二人は同じ。だが、二人のツッコミはそれぞ

れで違うので、それもこの映画の行方を左右するテイスト。

坂元裕二の作品にいくつも出演し、親和性の高い松たか子がここでも名演。松

村北斗も普段のアイドル性は一切なく、会話劇を繰り広げていく。

出演は他に、リリー・フランキー、吉岡里帆、森七菜、YOU、竹原ピストル、

神野三鈴など。個性的で実力派が揃ったキャスト。普通にはありえないが、コ

ミカルに、時にはウルっときて、テンポ良く進む。

蛇足になるが、全てを受け入れていく松村北斗の後半の演技に注目だ。