東京サンシャインボーイズと聞いて、三谷幸喜が主催する劇団だと知る人は、
もしかしたら、ある一定の世代になってしまったかもしれない。三谷幸喜は、
日本大学藝術学部演劇学科在学中の83年に、劇団東京サンシャインボーイズを
結成。95年以降は充電期間に突入している。その期間、三谷幸喜がお茶の間に
も知られる脚本家となるのは言うまでもない。大学が土台になっている劇団で
はなく、俳優を志す者の寄せ集め。その彼らが、今最もチケットの取れない劇
団となるほど大きく成長させたところでの充電期間となっていた。
最終公演の「罠」のパンフレットには次回公演の告知が載っている。
2024年9月、新宿シアタートップスにて『リア玉』を上演予定と。そして、
30年ぶりの復活。舞台はパルコ劇場からとなった。『リア玉』でもなかった
が。
どちらかと言うと、テレビでよく見る脇役の俳優さんたち。しかし、主演を張
る人たちではない。顔は見たことはあるが、名前が出てこない人もいるかもし
れない。主演を食う俳優演技で話題になる人たち。その人たちが集結すると、
一つの力として圧倒的な存在となる。
鎌倉時代。対馬の漁村は昨日と変わらず穏やかな日常を過ごす。が、そこに異
国の襲来があるかもしれないとの噂が流れる。鎌倉から役人がやってくる中、
オンゾ(西村まさ彦)は見なかったことは見なかったこと。見たことも見なかっ
たことにするということで、口裏を合わせようとする。
登場人物
ニラブ(漁師) 梶原善→最初に登場する
カメ(ニラブの妻) 宮地雅子
トラジ(カメの兄) 相島一之
おばば(歩き巫女) 吉田羊
タマオ(トラジの幼馴染) 小林隆
オンゾ(トラジの父) 西村まさ彦
ましら(傀儡師) 阿南健治
きんば(傀儡師) 西田薫
ウツボ(オンゾの妻) 谷川清美
ウンジ(隣村の村長) 野仲イサオ
ジンタ(カメの元恋人) 甲本雅裕
ゴングージ(権宮司) 近藤芳正→待ってましたの拍手で迎えられる
サカザキ(鎌倉武士) 小原雅人
九条実実(くじょうさねざね・
太宰府からきた客人) 伊藤俊人
どんちゃん(たぶん鶏)
劇中によくでてくる言葉「いつか、いつか」、「いつかやろう」のいつかはな
い。今、やるということを大切に。喜劇だけでなく悲劇を交え、事実を変えな
いのが三谷幸喜の脚本。そのメッセージはしかと、受け止めよう。
抱腹絶倒の喜劇、だが、そこに戦争や平和へのメッセージが隠されている。
平和な時代を願って皆が踊るラスト。その曲は「どんちゃん」、甲本ヒロトが
担当している(甲本雅裕については、生まれる前から知っているそうです😊
)。この曲がめっちゃ甲本ヒロトで「おーーーやっぱり」と思う。
キャストが楽しく踊って、大団円を迎える。吉田羊はおばばから解放されて、
キレキレで踊る!!
それにしても、この芝居のチケット本当によく取れたと思う。会場にいて、つ
くづく思った“奇跡”であると。小劇場系の芝居で会場はそれほど大きくはない
Sky劇場。何十年も気になっていて仕方なかった人たちに会えて、楽しい素敵
な時間でした。
吉田羊は劇団員ではなく、客員の立場だが、“研究生”として参加。今後、正式
団員としての公演に出演できるかどうかは不明だ。そしてこの吉田羊が出演者
の中で一番若いが、老婆を演じていて、舞台上ではずっと腰が曲がっている役
柄だ。そこもまた立ち位置としておもしろいところ。
カーテンコールでは、今は亡き伊藤俊人がいると思われる場所を少し開けられ
ている。劇団東京サンシャインボーイズの仲間であることは誰も忘れていな
い。この作品では九条実実を演じているがその登場の仕方、させ方に愛を感じ
る。
開演前のアナウンスは山寺宏一、開園後のアナウンスは戸田恵子であったこと
を記しておきます。二人とも、劇団とは関係がありません。三谷幸喜脚本・
演出で戸田恵子主演の作品は鑑賞したことがあるので、全く関係がないわけで
はないが、これも含めて、贅沢な時間であったことを改めて😉 戸田さんから
は、次の公演は80年後であることが告知されました!!皆さんお元気で!!
追記
公演パンフレットを購入した(1800円)。それを読むと、甲本ヒロトとの流れ
もわかるし、このメンバーが集まるきっかけになったある俳優などが登場する
対談が掲載されていているので、劇団に対する理解が深まる。
東京、岡山、京都、長野、宮城、北海道、大阪を経て、愛知、福岡、沖縄公演
と続く。沖縄は大型連休での公演となる。