夢千代日記

SHIMAちゃんの徒然日記・雑記

『カラスの親指』(試写会)

2012年10月31日 10時46分49秒 | Weblog
タイトルのカラスとは黒。黒は、詐欺を指す。

まず冒頭から、わかる人にはわかる詐欺。その場所も、なかなか興味深い。
阿部寛と村上ショージの軽妙なやりとりは長回し。最初は、最後につながる場面なので、目を凝らして見ることをオススメする。

辛く、重い過去を背負い、サギ師になったタケ。成り行きでタケの相棒となったテツ。二人は、新たなサギを働こうと日々を暮らしている。そんなとき、二人が住んでいたアパートが火事となり、引っ越しを余儀なくされる。そして、ひょんなことから美人姉妹とその姉のカレという背の高い男が同居することになる。

タケが過去に関わった事件が絡んで起こる、一発大逆転劇。巧妙に仕組まれた種とキャラクター。タケたちは、悪党たちから、お金を奪うことはできるのか?

ラストを見てホッとしたのも束の間、更なるラストが待ち受ける。『親指』というのは、お父さん指のこと。これが、キーワード

直木賞作家の道尾秀介のミステリーが原作。主人公のタケを演じるのは、映画やドラマで欠かすことができない存在となった阿部寛。タケの相棒で新米サギ師を演じるのは、コメディアンの村上ショージ。この迷コンビぶりが、この映画のキモである。タケたちと同居することになる美人姉妹の姉・やひろに石原さとみ、妹・まひろには来年のNHKの朝のドラマのヒロインが決定している能年玲奈。そして、これまでは真面目な青年の役が多かった小柳友が、体重を10キロ増やして、姉の恋人である貫太郎を演じている。石原さとみは、映画の中に溶け込み、絶妙な演技を見せている。変わり者の役なのに、しっくりきていて違和感なし。

たくさんの伏線は張られているが、コミカルでスリリングな展開で飽きさせない。2時間40分という長めの上映時間も突っ走る

他の出演は、ユースケ・サンタマリア、戸次重幸、なだぎ武、鶴見辰吾など。脚本・監督は伊藤匡史が務めている。

(11月23日公開)


『のぼうの城』(試写会)

2012年10月27日 18時12分27秒 | Weblog
09年本屋大賞2位を受賞。スケールの大きさを求められる題材なため、映画化実現までに8年を要した。

監督は、ヒューマン作品に定評がある『ゼロの焦点』の犬童一心と、『日本沈没』などCG作品に強い樋口真嗣が務めている。

天下統一を目前にした豊臣秀吉。残された敵は、小田原城をもつ北条軍のみ。その小田原城には、周囲を湖で囲まれた「浮き城」と呼ばれる支城・忍城(おしじょう)があり、難攻不落と言われていた。

忍城では、温厚な人柄で〝のぼう様〟と呼ばれる成田長親が城を治めることになった。そんなとき、秀吉は家臣の石田三成に忍城を攻めるように命じる。長親軍はわずか500の兵。一方、三成は2万の兵を率いていた。

圧倒的に違う兵の数。長親は、どのように戦うのか・・のぼうの本領が発揮される。


野村萬斎による、野村萬斎のための映画。
一番の見所は、船で歌い、踊る場面。楽しくて、ちょっとエロいその踊りが、必見だ。振り付けも野村萬斎が担当している。

出演は、長親を演じる野村萬斎の他に、長親の幼馴染みで戦に強い腹心の丹波に佐藤浩市。豪傑さがウリの和泉に山口智充、自称・軍略の天才靭負(ゆきえ)に成宮寛貴が配された。長親に密かに想いを寄せる城主の娘・甲斐姫に榮倉奈々。一方、敵方である石田三成は上地雄輔、大谷吉継を山田孝之が演じている。

時代劇でありながら、難しい内容ではない。簡単でわかりやすいというのが特徴と言えよう。まさに、痛快娯楽劇

本当の〝のぼう〟は誰?という疑問を抱きつつ…。そして、意外と上地が頑張っているのが、目につく。

(11月2日公開)

『ツナグ』

2012年10月13日 21時52分13秒 | Weblog
『鍵のない夢を見る』で第147回直木賞を受賞した辻村深月の『ツナグ』が原作
高校生の歩美は、祖母を手伝って、ツナグをしていた。死んだ人との再会を叶えてくれる、ツナグ。
その仕事は、人の人生に関わり、その人生を受け止めることだった。

依頼者が死者に会えるのは、生涯に一度だけ。死者も、生者と会えるのは一度だけで、死者からの依頼はできない。会える
のは、月の出る夜の夜明けまでの時間。それが、ルールだ

ガンで亡くなった母と会いたいという、中年男性の畠田。喧嘩別れした親友に会いたいという、女子高校生の嵐。プロポーズ
直後に行方不明になった恋人に会いたいという、土谷。それぞれが、それぞれの思いを抱えて、死者との再会を果たす。

歩美を演じるのは、朝のドラマでブレイクし、今、大注目の松坂桃李。歩美の祖母には、大ベテランの樹木希林。他に、佐
藤隆太、桐谷美玲、橋本愛、大野いと、八千草薫、仲代達矢など。脚本と監督は、平山雄一朗。
話がたくさん詰まって、でき過ぎ感がある。反面、清涼感もあり、スッキリする面もあるだろう。そして、考える。自分が会い たい人は誰だろう、と。

『鍵泥棒のメソッド』

2012年10月02日 12時24分45秒 | Weblog
 脚本・監督を務めるのは『アフタースクール』の内田けんじ。切り口が独特で、舞台作品かのような雰囲気を醸し出す。
 小気味よいテンポと展開。サスペンスのように思わせながら、シャレが効いていたり、ラブな部分があったり。端々に、面白さがあるのがミソ。
 今や、映画にドラマに欠かせない存在となった堺雅人と、一段と円熟味を増してきた香川照之、そして、広末涼子がメインキャスト。

 闇の仕事屋コンドウ(本当の名前は、山崎信一郎)。彼は、また人を刺し、その人物をトランクへ入れる。逃げる途中、体についた血を洗い流そうと、コンドウは銭湯にやってきた。

 一方、売れない役者で、現在無職の桜井武史。元来の浪費癖もあり、所持金が少なくなるばかりの毎日である。しかし、ようやくのことで銭湯の無料券を見つけ、銭湯へ向かう。脱衣場で、コンドウの財布が分厚いのを目にした桜井は、洗い場にやってきても落ち着かない。そこに、コンドウが洗い場入ってきて、不運にも石鹸を踏み、転倒。救急車で病院に運ばれることに。その騒動のさなか、桜井は銭湯の鍵をコンドウのものと入れ替える。
 
 そして、救急車で運ばれたコンドウは、記憶喪失となっていた。

 やがて、所持品の判断から、コンドウは桜井武史となり、桜井はコンドウとなる。ふたりは、それぞれの人生を一旦は生きることとなるが…。
 雑誌編集長を勤める水嶋香苗は、相手もいないのに、会社で結婚することを宣言。何事も計画的に行動をする、生真面目な香苗だが、ひょんなことから、コンドウと知り合う。
 
 入れ違った人生。また、3人それぞれの人生が絡み合う。堺雅人と香川照之の距離感がなかなかいい。離れたり近づいたり…。“うまいなぁ”という感想が全て。

 出演は他に、森口瑶子、荒川良々など。森口瑶子も、いい味出してます。