25時間目  日々を哲学する

著者 本木周一 小説、詩、音楽 映画、ドラマ、経済、日々を哲学する

Boyhood, 三つの月

2015年10月05日 | 映画

 アメリカの現代映画「Boyhood」 日本名タイトル 「6才のボクが、大人になるまで」 はよい映画だった。字幕を読んでいるだけで感心した。セリフのうまさが際立っていた。この映画をとるのに、6才の主人公がそのまま18才になるまで俳優の交代なしに撮ったらしい。母役、父役、姉役も。だから12年撮影にかかったわけである。アメリカ社会の現代事情もよくわかった。主人公ももちろん主人公の父も僕より歳下である。だから余計おもしろかった。若者も歳下の父も母も生活のスタイルが違う。個人主義に根ざし、その深化の世界が描かれている。

 これは相当おすすめ映画である。なんてことはない成長物語なんだけど、「優れている」

 子供の顔って、こんな風に変わっていくんだ、と思ったし、僕も中学生のころ、似顔絵を描く美術の時間があって、相手方が描いた僕の顔はだんだんと骨ばってきていて、いつも写真などで見ている小学生のころと人相が違ってきていて、僕は妙に恥ずかしかったことを憶えている。

 セリフがとにかく全部おもしろく、いつも思うのだが、フランスの映画もイギリスの映画にももちろんアメリカの映画にもとにかくセリフがよく練られているということがある。

 原田知世が好きなので、「三つの月」というドラマを見た。北川悦吏子が脚本している。この人のドラマもセリフドラマだ。会話だけで、ドラマが成り立つような脚本である。

 ダメな夫に癌で入院している義母。妻役が原田知世。音楽大学を出て、白川郷に嫁いだ彼女は食堂をやっている。夫は土産物店をしている。土産物店は赤字が続いている。唯一妻の楽しみはコーラスグループのピアノ伴奏をすることだ。近くに高校はないから一人息子は遠いところの高校で下宿生活をしている。そんなある日、校歌を作るためにやってきた作曲家と出会う。彼は実は、曲が作れなくなって逃げるように白川郷にやってきたのだ。しかし原田知世演じる繭と会い、繭に好かれることで、自信を取り戻し、東京に帰っていく。そんな話なのだが、これも優れた脚本だった。谷川章介も好演している。いやらしさがない。原田知世もいやらしさがない。夏目漱石は I love you. という言葉を「月がきれい」と訳したそうだ。初めて知った。「愛してる」という言葉になじまない頃だったのだろう。

 日曜日は「情熱のシーラ」もあるし、テレビ漬けだった。