パンと珈琲日記~整形外科じゃなくて成形~

パン焼きと珈琲を趣味とするある整形外科医の日記

KKK (Ku Klax Klan)  東京新聞の記事から

2007-09-24 08:00:56 | Weblog
「アーカンソー普通のオヤジが差別」 
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/worldtown/CK2007092202050806.html

-----------------------------------東京新聞の記事------------------------------------
【世界の街から】
アーカンソー 普通のオヤジが差別
2007年9月22日

 米南部アーカンソー州で白人至上主義団体クー・クラックス・クラン(KKK)を取材した。米メディアはKKKをほとんど話題にしない。黒人差別を正当化する彼らの主張を取り上げること自体が汚らわしく、報道する価値もないという判断だろう。

 全米に残るKKK団体の中で最も非暴力的といわれる団体だったが、日本人による取材を当初、拒否した。

 「あなたにも不愉快な思いをさせたくない」。言葉はやさしいが、日本人が来れば、メンバーが何をするか分からないと暗に脅しをかけてきた。

 その一方で、団体代表はインタビュー後、写真を一緒に撮ろうと持ちかけてきた。黒人やアジア人らによって米国が侵略されていると嘆くオヤジが、日本人を物珍しがって写真を撮りたがる。差別主義者が「普通の人」だったことに、恐ろしさを覚えた。

 (小栗康之)


-------------------------------------------------ここまで引用---------------------------

「アーカンソー」はテネシーとテキサスの間の州。アメリカ南部の最西の州だ。私は南部にいたことがあったので見出しに興味をそそられ、読んでみた。が、読んでみてこの記事は稚拙な記事であり、失敗作だと感じた。
その理由は後述するとして、、、、
(誤解されるといけないのではじめに書きますが、私このKKKの主張を擁護するつもりはありません)

アーカンソーのハリソンという所には全米でもかなり大きいKu Klax Klan (以下KKK)の組織がある。The Knights of the Ku Klux Klan という組織だ。この記事の中のでは明らかにされていないが、そのKKKとはたぶんその組織であろう。そのリーダーはThomas Robbという男性だ。リンク先を見ていただければわかるが、彼はバプテスト教会(福音主義派)の牧師だ。「普通のオヤジ」ではない。また、彼は他のKKKの長に比べインターネットによる広報に積極的でブログも持っている。(私はじっくり読んだことはない)

何で牧師がKKKの指導者???という疑問がわくかもしれないが、彼らによればKKKは白人のクリスチャン団体なのである。彼らの主義の根幹は「北ヨーロッパ人は聖なるイスラエルの正統な後継者であり、反キリストである『ユダヤ人』は悪魔の末裔である。」そして、「アメリカ合衆国は白人のキリスト教徒(つまり、イスラエルの正統な後継者)のために神が天から与えられた約束の地であり、それを変えようとする勢力(白人以外の移民)からアメリカを守らなければならない」最右翼の愛国者で白人中心主義のキリスト教原理主義者と言えばわかりやすいかもしれない。

裏の活動があるのか、あったらどういう活動をしているのかはわからないが、少なくとも表の活動としては中絶反対のキャンペーンを行ったり、ドラッグ、飲酒運転に対する啓蒙活動や、学校からの落ちこぼれ対策、またハイウエイの清掃活動などをやったりしている。これだけ見れば一見して別に問題なさそうに見える。

また、公式的にはこの団体は人間は全て平等だとも主張し、一部の過激な差別主義者である他のKKKの団体は自分たちとは関係ない、といっている。そして、自分たちの活動は黒人、ヒスパニック、アジア人その他の人種に対して差別をすることではなく、移民政策や少数人種の優遇政策によって本来ならば多数派である白人たちが逆差別で不利益をこうむったり白人が少数派に追い込まれたり、しないようにすることである、と主張している。過激な言動は決して公式の場では出さない。それが、KKKと称しながらもこの団体がこれまで生き残り、全米で最大のKKKの団体になった所以であろう。

日本の「Tokyo」と名のつく新聞なのでインタビューに応じたのであろうが、公式的には「自分たちは差別主義者ではない」と一貫して主張している団体の長である。インタビューアーがよほどうまくなければ、彼らが「差別主義者」であるという裏づけにいたるインタビューはとれないに違いない。たぶん、東京新聞のインタビューは通り一遍等のあたりさわりのない、「記者の意図」に沿わないインタビュー内容であったろうし、その意味では記者的には失敗に終わった可能性が高い。
なぜそう感じたかと言うと、この東京新聞の記事は残念ながらインタビューの内容は一切掲載されていないし、ほぼ記者の主観だけで書かれている、からだ。客観的事実があるとすれば

1)「あなたにも不愉快な思いをさせたくない」と言って日本人による取材を当初、拒否した。
2)インタビュー後、写真を一緒に撮ろうと持ちかけてきた。

という事実だけだ。
これだけ見れば自分の主張が他人を不愉快にしているということは自覚しているようで、気を遣っているようだし、人懐っこさもある。気遣いと親しみやすさ、その点で言えば、Southern Hospitalityを地でいくような典型的な南部人である。が、KKKの長がいい人だった、なんて記事は書くわけにはいかない。

インタビューにわざわざアーカンソーまで行ったので仕方なく記事を作らなければいけなかったのかもしれないとしても、あまりにも稚拙な記事だ。プロのジャーナリストなんだから彼らの差別主義的側面を浮き彫りにするもう少しうまいインタビューの方法があったのではないか?

もっとも「米メディアはKKKをほとんど話題にしない」と記者も書いているが、それは彼らの広報があまりにもうまく、話題にすれば結果として彼らの主張をPRすることになってしまうからだ。その意味ではこのThomas Robbは頭がよく「普通の人」ではない。並みの日本人記者にそのようなインタビューを要求することは無理なのかもしれない。

最後に誤解をされるといけないのであらためて述べますが、私は別にこの団体をはじめとするKKKの主張を擁護するつもりはないし、また、クリスチャンに対して悪意もありません。(何かこのKKKのような事を言っていますが笑)


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