木全賢のデザイン相談室

デザインコンサルタント木全賢(きまたけん)のブログ

中小企業のデザインのお悩み、なんでもご相談ください!!

人は物語が好き(1)

2007年01月09日 | 工業デザインとは(相談室)
<ブラウンとフィリップスのシェーバー>


◆人は物語が好き その1
35:【デザイン相談室】考え方14


 こんにちは!「工業デザイン相談室」木全(キマタ)です。デザイナーの実像・デザイナーとの付合い方・デザイナーとのトラブル回避法など書いていきます。御相談がありましたら、コメントをくださいね。

 新書「デザインにひそむ<美しさ>の法則」 12月16日発売開始 好評(?)発売中 

 記事の目次
 デザイン相談室の目次    デザインの考え方と運用について
 デザインのコツ・ツボの目次 商品企画とデザインワークについて
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【宣伝】新書まだ平積みされてます

 私の新書が、書店で平積みになっていられる期間もあと半月です。その間は、紹介させてくださいね。

 題名「デザインにひそむ<美しさ>の法則」

 ソフトバンククリエイティブ新書

 価格 700円

 アマゾンで予約 できます。


 大手書店に新書コーナーには、まだ、たぶん平積みされています。皆さん、お手にとって、ご興味がありましたら、是非ご購入ください!!!

 新書が出たり、お正月があったり、バタバタしていましたが、久しぶりに、【デザイン相談室】を更新しますね。


愛着を感じる製品とは?

 人は製品のデザイン自体に愛着を持つことがあります。

 例えば、乗用車のビートルやミニクーパー。これらのデザインは、たぶん、どこの会社が製造していようが、ブランドを超えて愛されます。現にミニクーパーは、モーリス・オースチン・ローバー・BMWとメーカーは変わっても四十一年間生産され続け、総出荷台数は五三〇万台を数えました。製品のデザイン自体が愛され、経営資源となったよい例です。

 それらの製品は、ほかの製品とどこが他と違うのでしょう?

 ビートルやミニクーパーの話は次回に回して、今回はもう少し身近な例で考えてみます。

 男性なら、電気髭剃りを買おうとしたとき、お店で必ずブラウンかフィリップスのシェーバーを手にするでしょう。日本の製品にもよいものがありますが、この二社の製品には独特の雰囲気があります。

 ブラウンとフィリップスはそれぞれ髭剃りに関して独自の技術理論を持っています。ブラウンは髭を剃るには刃の往復運動が最適だと考えており、フィリップスは円運動がよく剃れると考えています。そして、互いにその技術理論を頑なに守り続けています。

 外観形状も、刃の形状に合わせブラウンは直線的で機械らしい信頼感があり、どんな握り方でも確実にホールドできるシンプルさが売りであり、かたやフィリップスは、三つ並んだトラックヘッドを包み込む柔らかいボリューム感のある造形が売りです。

 それぞれの製品を買われた方は、きっと、ブラウンなり、フィリップスなりの製品への「こだわり」に魅力を感じ、愛着を感じていると思います。


人は物語で世界を理解する

 確かに、どちらも甲乙つけがたい魅力を持っています。ブラウンの製品は「日常に使うものは質実剛健であるべきだ」という主張を、かたや、フィリップスの製品は「一日の始まりの髭剃りという小さな儀式にはそれなりの演出があってしかるべきだ」という主張をそれぞれのシェーバーが外観デザインで表現しています。

 外観デザインを通して、技術理論や製品コンセプトに共感するとき、人はその製品自体に愛着を覚え、使い続けます。そして、技術理論や製品コンセプトが発売以来何十年も変わらないということも大きなポイントです。そこに人は、製品開発に係る企業の「こだわり」を感じ、信念の「物語」を感じます。

 「ハイ・コンセプト 『新しいこと』を考え出す人の時代」の中で著者のダニエル・ピンクは、

 『人は世界を「物語」で理解している。人は物語が大好きで、物語があるから親しみを持ち愛着を感じるのだ』

 と書いています。

 NHKの「プロジェクトX」はまさに製品や物事の隠れた物語だったから、ヒットしました。技術理論や製品コンセプトや外観デザインに、誰にでもわかりやすい「物語」を感じるとき、人はその製品に愛着を感じるのです。



 新書「デザインにひそむ<美しさ>の法則」 12月16日発売開始 

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