<ニュービートル>
◆人は物語が好き その2
36:【デザイン相談室】考え方15
こんにちは!「工業デザイン相談室」の木全(キマタ)です。デザイナーの実像・デザイナーとの付合い方・デザイナーとのトラブル回避法など書いていきます。御相談がありましたら、コメントをくださいね。
新書「デザインにひそむ<美しさ>の法則」 12月16日発売開始 好評(?)発売中
記事の目次
デザイン相談室の目次 デザインの考え方と運用について
デザインのコツ・ツボの目次 商品企画とデザインワークについて
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【宣伝】新書まだ平積みされてます
私の新書が、書店で平積みになっていられる期間もあと少しです。その間は、紹介させてくださいね。
題名「デザインにひそむ<美しさ>の法則」
ソフトバンククリエイティブ新書
価格 735円(税込)
アマゾンで予約 できます。
大手書店に新書コーナーには、まだ、たぶん平積みされています。皆さん、お手にとって、ご興味がありましたら、是非ご購入ください!!!
■人は物語で世界を理解する
前回、 人は物語が好き その1 で、ダニエル・ピンクの言葉を引用し、
『人は世界を「物語」で理解している。人は物語が大好きで、物語があるから親しみを持ち愛着を感じるのだ』
そのため、技術理論や製品コンセプトや外観デザインに、誰にでもわかりやすい「物語」を感じるとき、人はその製品に愛着を感じるのだと書きました。
■フォルクスワーゲン・ビートル
フォルクスワーゲン・ビートルにも偉大な物語があります。
ビートルはナチツドイツの国民車構想とスポーツカーメーカー・ポルシェの創始者であるフェルディナント・ポルシェ博士のアイデアから生まれました。
世界中に親しまれ、大戦直後の一九四五年から二〇〇三年まで五十九年間継続して生産され、総出荷台数は二一〇〇万台を数えます。これは、四輪自動車における世界最多販売記録です。
ビートルの特徴は他の小型車とは大きく異なる丸っこく可愛い空力学的ボディです。性能も優れ、なおかつ可愛いという二つの要求を見事に満たし大衆車としてのあるべき姿を示しています。フォルクスワーゲンという会社自体が、このビートルから始まっています。
何から何まで物語ずくめのビートルは、世界中を走り人々の印象に残り、これからもきっと語り継がれていくはずです。
このような壮大な物語を持った製品はめったになく、真似しようにもできませんが、物語がいかに人の心をとらえ、愛着を生み出すのか。そして、製品の物語が企業の資産やレゾンデールにまでなることをまざまざと教えてくれます。
■ミニクーパー
ミニクーパーは設計思想が革新的な自動車でした。
一九五〇年代後半のオイルショックで求められたのは、小さなボディと大人四人と荷物が納まるエコノミーカーでした。
設計者のアレック・イシゴニスは、小型化のために、モノコックボディと、横置きエンジンをミッションと二階建てにした史上初のFF(フロントエンジンフロントドライブ)を採用し、四隅ギリギリに設置されたタイヤレイアウト・四輪独立懸架サスペンション・十インチホイールタイヤで安定性と重心の低下を実現し、自動車工学の奇跡と言える画期的なスモールカーを生み出しました。
ミニクーパーで実用化されたFFは現在では乗用車の標準になっています。
ミニクーパーの良さはそれだけではありません。小さなかわいらしい車体に、まるで押し込まれたよう大人が乗っている風情は、ユーモアがあり懐かしさを誘う温かさを感じさせました。映画やアニメで活躍するのも無理ありません。
■物語があり美しい製品は愛される
ビートルもミニクーパーも愛されているのは企業の物語ではなく、製品の物語です。
確かに、ブランドマークにも物語を込めることはできます。ルイ・ヴィトンのようなブランド製品を買うときに、人はそこにヨーロッパの文化の歴史という物語を感じるからでもあります。
しかし、身近で役に立つ製品に込められた物語のほうが、人に伝わりやすく、人は愛着を感じます。
最後に、ビートルとミニクーパーの後継車の話をして、この話を終わろうと思います。近年相次いで、ニュービートルと新型ミニクーパーが発売されました。どちらも今風にアレンジされて魅力的ですが、どちらも賛否両論があります。皆さんは如何でしょう?
私は、物語と言う視点から見て、ニュービートルに軍配を上げています。だって、新型ミニクーパーはスモールカーではないですから。結果は、時間が教えてくれるでしょう。十年後に生き残っているほうが、物語の正当な後継者です。
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■人は物語で世界を理解する
前回、 人は物語が好き その1 で、ダニエル・ピンクの言葉を引用し、
『人は世界を「物語」で理解している。人は物語が大好きで、物語があるから親しみを持ち愛着を感じるのだ』
そのため、技術理論や製品コンセプトや外観デザインに、誰にでもわかりやすい「物語」を感じるとき、人はその製品に愛着を感じるのだと書きました。
■フォルクスワーゲン・ビートル
フォルクスワーゲン・ビートルにも偉大な物語があります。
ビートルはナチツドイツの国民車構想とスポーツカーメーカー・ポルシェの創始者であるフェルディナント・ポルシェ博士のアイデアから生まれました。
世界中に親しまれ、大戦直後の一九四五年から二〇〇三年まで五十九年間継続して生産され、総出荷台数は二一〇〇万台を数えます。これは、四輪自動車における世界最多販売記録です。
ビートルの特徴は他の小型車とは大きく異なる丸っこく可愛い空力学的ボディです。性能も優れ、なおかつ可愛いという二つの要求を見事に満たし大衆車としてのあるべき姿を示しています。フォルクスワーゲンという会社自体が、このビートルから始まっています。
何から何まで物語ずくめのビートルは、世界中を走り人々の印象に残り、これからもきっと語り継がれていくはずです。
このような壮大な物語を持った製品はめったになく、真似しようにもできませんが、物語がいかに人の心をとらえ、愛着を生み出すのか。そして、製品の物語が企業の資産やレゾンデールにまでなることをまざまざと教えてくれます。
■ミニクーパー
ミニクーパーは設計思想が革新的な自動車でした。
一九五〇年代後半のオイルショックで求められたのは、小さなボディと大人四人と荷物が納まるエコノミーカーでした。
設計者のアレック・イシゴニスは、小型化のために、モノコックボディと、横置きエンジンをミッションと二階建てにした史上初のFF(フロントエンジンフロントドライブ)を採用し、四隅ギリギリに設置されたタイヤレイアウト・四輪独立懸架サスペンション・十インチホイールタイヤで安定性と重心の低下を実現し、自動車工学の奇跡と言える画期的なスモールカーを生み出しました。
ミニクーパーで実用化されたFFは現在では乗用車の標準になっています。
ミニクーパーの良さはそれだけではありません。小さなかわいらしい車体に、まるで押し込まれたよう大人が乗っている風情は、ユーモアがあり懐かしさを誘う温かさを感じさせました。映画やアニメで活躍するのも無理ありません。
■物語があり美しい製品は愛される
ビートルもミニクーパーも愛されているのは企業の物語ではなく、製品の物語です。
確かに、ブランドマークにも物語を込めることはできます。ルイ・ヴィトンのようなブランド製品を買うときに、人はそこにヨーロッパの文化の歴史という物語を感じるからでもあります。
しかし、身近で役に立つ製品に込められた物語のほうが、人に伝わりやすく、人は愛着を感じます。
最後に、ビートルとミニクーパーの後継車の話をして、この話を終わろうと思います。近年相次いで、ニュービートルと新型ミニクーパーが発売されました。どちらも今風にアレンジされて魅力的ですが、どちらも賛否両論があります。皆さんは如何でしょう?
私は、物語と言う視点から見て、ニュービートルに軍配を上げています。だって、新型ミニクーパーはスモールカーではないですから。結果は、時間が教えてくれるでしょう。十年後に生き残っているほうが、物語の正当な後継者です。
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