木全賢のデザイン相談室

デザインコンサルタント木全賢(きまたけん)のブログ

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性能とデザイン

2005年10月13日 | デザインのコツ・ツボ
  <写真>アルファロメオ159
       アルファロメオ オフィシャルサイト


◆性能とデザイン
201:【デザインのコツ・デザインのツボ100連発!】第1発 商品企画

 商品デザインの「無料なんでも相談室」は本気ですよ。その証拠に無料でノウハウをお教えしちゃいます。とりあえず、連載100回を目指して、毎週更新します。いつまで続くか?なるべく、専門用語や横文字は使わないつもりです。

 では、早速『デザインのコツ、デザインのツボ』始めさせていただきます。



速そうな車は速くないと嫌!

 どう頑張っても、デザインはその対象となる製品がないと成り立ちません。(ここが、芸術とは違うところですね。)

 そして、製品の性能が良くないとデザインをする意味がありません。

 と言うわけで、1発目は「性能」と「デザイン」のお話です。

 たとえば、物凄く速そうな格好いい自動車があったとします。でも、乗ってみると乗り心地はヒドイし、エンジンはウルサイ。これでは、あまり嬉しくない。なんだか騙された様な気になります。

 「乗り心地なんか関係ない!格好良ければいい!」と言うカーマニアもいるでしょうが、それはまた別の話。

 やっぱり、速そうな格好いい車はちゃんと速くて、乗り心地も良く、いいエンジン音を聞かせてくれなければ納得できません。


性能とデザインの関係

 上の例を見ても、商品の性能とデザインは切っても切れない関係にあります。表にすると下表のようになります。


┼──────┬───────────────┼
│ デザイン │ 良い   普通   悪い  │
┼──┬───┼───────────────┼
│  │ 良い│ A◎   B○   C△  │
│  ┼───┼───────────────┼
│性能│ 普通│ D△   E○   F△  │
│  ┼───┼───────────────┼
│  │ 悪い│ G×   H×   J△  │
┼──┴───┴───────────────┼


 では、それぞれについて簡単に説明してみましょう。評価の基準は以下の2つです。

1)使用者が商品に感じる好感度
2)使用者が商品を通じてメーカーに感じる好感度



A「性能/良い デザイン/良い」の場合
  (評価:◎)


 性能もデザインもいいのですから、使用者は商品に満足しますし、メーカーにも良い印象を持ち、愛着を感じてくれます。きっと、そのメーカーから新製品が発売されたら、興味を持って見てくれるでしょう。従って、評価は◎です。


●B「性能/良い デザイン/普通」の場合
  (評価:○)

 使用者は商品の性能には満足していますが、普通のデザインなのでメーカーまでは覚えてくれません。たとえメーカーを覚えてくれても愛着までは感じていませんので、買い替える時、他社の製品に乗り換えてしまうかも知れません。従って、評価は○です。


●C「性能/良い デザイン/悪い」の場合
  (評価:△)


 性能には満足していますが、デザインが悪いのでメーカーにはいい印象を持って貰えません。従って、評価は△です。


●D「性能/普通 デザイン/良い」の場合
  (評価:△)


 デザインが良く目を引いたのに、使ってみたら性能が普通なのでメーカーにはあまりよい印象を持ってもらえません。評価は△。


●E「性能/普通 デザイン/普通」の場合
  (評価:○)


 性能も普通、デザインも普通。メーカーへの印象はほとんどありません。可もなく不可もなく、メーカーへの好印象も悪印象もないく、性能に不満もないので、評価は○。


●F「性能/普通 デザイン/悪い」の場合
  (評価:△)


 多分、売れ残って価格が安かったのでしょう。買う理由は他にありません。上のEに比べ、メーカーにいい印象を持ってもらえないので、評価は△。


G「性能/悪い デザイン/良い」の場合
  (評価:×)


 このタイプが一番タチが悪い。使用者はデザインに惹かれて買ったのに、全く性能が良くない。使用者は詐欺にあったと思い、二度とそのメーカーを信用してくれません。人は一度嫌いになったら、なかなか好きにはなってくれません。これは最悪です。従って、評価は×です。


H「性能/悪い デザイン/普通」の場合
  (評価:×)


 この場合も、上のGと同じです。一般的なデザインなのではずれはないと思っていたのに、使ってみたら性能が悪い。Gほどタチが悪いわけではありませんが、メーカーには悪い印象を持ちます。従って、これも評価は×です。


●J「性能/悪い デザイン/悪い」の場合
  (評価:△)


 デザインも良くないし、安かったので購入しただけ。メーカーに対して何も期待していないので、好印象も悪印象もない。今後、性能とデザインをよくすれば、また買ってもらえるでしょう。従って、評価は意外と△です。


総合評価

 『デザインのコツ、デザインのツボ 100連発!』第1発「性能とデザイン」の関係、如何でしたか?

 まず、理解していただきたいのは、使用者にとって、商品はとにかく性能が良くなくては駄目だということです。

 その上でデザインが良ければ、メーカーの印象が良くなリ、リピーターになってもらえます。

 その逆に、デザインが良かったり普通だったりするのに、性能が悪いと、使用者は詐欺にあったようなものです。これは最悪です。

 商品の性能をカバーしようと過剰なデザインをすることは、決してやってはいけないことなのです!

 デザイナーとしても詐欺の片棒を担ぐようなことはしたくありませんし、メーカーとしても決してやるべきではありません。

 使用者にとってもメーカーにとっても、デザインがいいのに性能が悪いのは、最悪の結果しか残さないのです。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (つうくん)
2005-10-14 13:06:17
早速面白い分析ですね。

性能悪いがデザイン良いが最悪というのは、ナルホドという感じです。



 ところで、横文字や専門用語は使わないと書かれていますが、それも場合に応じて併記していただけませんか。ある概念と、それが実際にどう呼ばれているかが解ったほうが、色々ためになると思うので。
専門用語について (木全)
2005-10-15 00:35:37
コメントありがとうございます。



専門用語について併記した方が良いとの御意見、了解です。これから、併記することにします。

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