DEEPLY JAPAN

古い話も今の話も、それでもやっぱり、ずっと日本!
Truly, honestly, DEEPLY JAPAN!

アメリカが戦争に勝たない12の理由

2015-06-14 20:44:51 | 太平洋情勢乱雑怪奇

7時のNHKニュースを見たら香港の民主化デモを長々と伝えていた。一方、日本でも昨日、今日は各地で安保法制に反対するデモやら集会があるようだ。ネット上で確認したがやはりそうだ。しかしそれはニュースにはならない。

渋谷の反安保法制デモが物凄いと話題に!宮下公園に入りきらないほど人が集まる!若者達を中心に日曜の渋谷をデモ行進!
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-6824.html

彼らの主張に賛成するしないにかかわらず、断続的に路上に出て訴える人たちがいれば報道する価値はあるんじゃないですかね。しかも安保法制の問題は日本にとって誠に大きな決断なのだし。少なくとも、香港で何度もやってるデモよりも、日本国にとっては重要ではありますまいか。

まぁその、もうちょっと前から、NHKはつまり「大本営発表」ってのをやってんでしょと友達と笑っている状況なので、もう怒ったりする気はないんだが、世の中って簡単にこんな風になるんだなぁと歴史好きの視点から記録を残しておこうと思ってあえて書いておく。

さてさて、どのみちこの安保法制なるものは通って、日本は元気よくまたまた外に乗り出す積極的な国となるらしい。積極的に、見ず知らずの言葉を話す、見ず知らずの、なんの罪もない女子供、青年、少年たちを殺すことがこの国の支配層にとっては非常に尊い日本ができる世界への貢献なのだそうだ。

しかし一方で、そういうことをやり尽くして疲れ切ったアメリカでは、もうこの見解を支持する人たちは劇的に減っている。

私が再々引用している The American Conservative(TAC)の昨日のトップ記事は、アイゼンハワーの大きな写真と共に、「アメリカが戦争に勝たない12の理由」というものだった。

12 Reasons America Doesn’t Win Its Wars
http://www.theamericanconservative.com/articles/12-reasons-america-doesnt-win-its-wars/

 

前にも書いたけどTACは共和党の穏健派グループのサイト。保守派、孤立派とも呼ばれる。私が思うにむしろこっちが共和党の本流ともいうべき流れというべきでしょうね。Republican、つまり共和国であるアメリカを志向してるわけだから。それに対して民主党は世界政府志向のある方で、こことウォールストリート・リパブリカンというつまり大金持ちグループが世界を股にかけたアメリカってのを作ろうとする。リパブリカンは常にそれに抗してきたはず・・・だった。

今現在、民主党の積極的介入主義者と共和党のネオコンに垣根がなくなっている状態になってるけど、考えてみれば過去100年ずっとそうだったともいえるでしょう。

それはともかく、記事の内容は、アイクが出てることからもわかる通り、要するに軍産複合体の力が大きすぎるアメリカというのを嘆いているわけ。で、それに加えて、シンクタンクもテレビ等のメディアも始終戦争があることによって、敵の分析だのなんだのかんだのというイベントを抱えることになるので(戦争にあおっていくための嘘、捏造を含めてやることは多い)、活況を呈する。もう、みんなこの体制に慣れ過ぎて離れられない、と。

で、こういう状態なので戦争は勝つ必要がない、勝ったらそれで終わっちゃうからという話にもなる。

まぁその、逆に考えらればそれはつまり、別に敵でもなんでもない国をターゲットにして、ただひたすら誰だかわからん人たちを殺して、傷つける状況をアメリカ国内が産業化してるということもできる。主要な産業:戦争作り、みたいな(笑)。

また、別の味方をすれば、これはつまり、カオスを積極的に作り出しているのだろうともいえる。Empire of Chaos(カオス帝国)と揶揄される。

さらに、もう一つ別の味方をすれば、これはつまり、永久戦争論者になっているともいえる。そこで、ロシアまわりを見ている人たちはもう既にだいぶ前から、アメリカのこういう傾向を「トロキスト」的だと指摘していたりする。

私もこの指摘に賛成で、そうなんですよ、アメリカはトロキストだと考えるとパーフェクトだな、と。と前にも書いたような気がするけど。で、使える時までは表紙に「自由と民主主義」とかつけてたんだけど、これは要するに「近代主義」の一側面を言ってるんだから、共産主義だって似たり寄ったりなんですよ。いずれにしても旧来の社会を持ったところを破壊して、新しい社会にしろ、って話なんだから。そしてその積み重ねの結果として世界政府を作るという構想。つまり、一極支配ね。

■ 半分成功、半分失敗

たぶん、この試みは半ば成功した。清朝、ロマノフ朝ロシア、ハプスブルク帝国を崩したことはとりわけ大きな出来事だった。ソ連とか中共というのは中継ぎの体制にすぎない。

しかし、世界中すべてをアングロ・アメリカンが仕切るようにする、いわゆる一極支配は、おそらく無理だったっすね、って感じなんじゃないんですかね。

そのあたりはこのへんで考えた通り。

ドイツ、NATO欧州司令官のコメントは危険なプロパガンダ

肝はこういうことじゃないかと私は思ってる。

一国だけが優位である場合、その一国が他国にとって安心できる、ある種のmoral authority(道徳的な権威)が付いている場合、誰にとってもそんなに問題がない。

しかし、その一国が過激で不道徳であった場合、それは誰にとっても問題、というより地球の破滅的な何かさえあり得る。(ハルマゲドン志向などもっての外なんだがそういう発想をする人たちは世の中には必ず存在する)

で、アングロ・アメリカン(または、人によってはアングロ・ユダヤ・アメリカンとか言うわけだけど)は、あまりにも不道徳が目につきすぎたため、下の「その一国が過激で不道徳であった場合」に該当しちゃったってことではないかと思う。

なんで、不道徳がダメなのかというと(いやダメなんだが、というトートロジーは置いておいて)、不効率だからともいえると思う。

軍事覇権モデルというのは恐怖支配モデルで、アメリカは戦争をやめないでこの恐怖モデルを鋭意推進中なわけだけど、このモデルでは、支配側は常にリソースを投入して、不同意の大量の人々を抑えなければならない。全員殺すか、全員拘束しないと安心できない状況ってどうよ、って話。

この不効率性を補うために、帝国はある程度すると法制度作ったり教育したりして、帝国内のかつての不同意者にもベネフィットを与えることによって、まぁなあなあにしていくとかいろいろやるんだけど、アメリカはこれに失敗したんだろう。英語支配してるやん、と言いたいところだけど、英語ってBritsの言葉なわけで、それなら英連邦各国の方がよほどルーツ的に正しい。

そう、なんとなく、アメリカは英連邦の繁栄のための汚れ仕事だけやらされているような恰好だなぁとか思う今日この頃。インドあたりは、英語のみならず文学、法学もイギリス由来だし・・・。

でもまぁ、一極支配モデルなどという過激思想の看板を下ろして、自分たちの持ってるリソースを生かして、徐々に共和国的なアメリカを再構築していけばいいんじゃないの、と思う。もう力仕事いらないから、みたいな。

そう。アメリカこそレジーム・チェンジが必要なんですよ。

■関連記事

共和党はどうやってイスラエルの党になったのか


帝国以後 〔アメリカ・システムの崩壊〕
石崎 晴己
藤原書店

 

「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告 (文春新書)
堀 茂樹
文藝春秋

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 安倍政権と日本会議について... | トップ | 安保法制を開けたら日本会議... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

太平洋情勢乱雑怪奇」カテゴリの最新記事