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いつか歩み寄れる日もあるだろう by プーチン

2016-04-14 23:53:57 | 太平洋情勢乱雑怪奇

ロシアの外相が来日するにあたって、妙に「脈あり」みたいな記事が日本で出回った。2日ぐらい前だっけか。

で、そんな感じには全然見えないんですけど、私は・・・と思っていた。
状況的にも、彼らの言語表現からも。

前にも書いたけど、日本の政府の現状はほぼ完ぺきに、濃度100%で反ロシアなポジションを取ってますよね? 

ウクライナ危機以来日本政府はキエフ政権を正当なものとして扱って金までだすし、北方領土とクリミアは同じなのだとかいう謎の言明をEUで行った外務大臣もいた。あ、制裁を課してみたりもしてるね。

報道は100%どころか、150%ぐらいの勢いで反ロシアのプロパガンダ揃い。

サード問題もある(一石二鳥のサード?

さらには、ロシアの接続地域というか、元は一緒の国家だった中央アジアに多額の金を持って行って出かけてる。これはつまり、ロシアの方に倒れないように金でアメリカ or EU/USA/NATOの方に引っ張ってるっていうこと。(中央アジアで何をするつもりなのか

安全保障的に言えば、不安定化の方に頑張って寄与してるといえる可能性もある。なぜなら、その地域でカラー革命もどきをやってロシアを南から不安定化させるというのはEU/USA/NATOの長年の戦略だから。まぁ、旧日本軍もそうですが。

そういうわけで、それにもかかわらず日本とロシアが多少なりとも接近するとしたら、それは単に、ドイツとロシアがそうであるように、政府レベルが喧嘩しても個人とかビジネスとかいった関係を絶やさないことによって、大きな戦争への道を開かないようにしたい、という話だろうな、というのが私の一般的な観測。
 

■ プーチンの今日の発言

とか思っていたら、今日、ロシアで行われていた恒例のプーチンが一般人の雑多な質問に答える長時間番組で、プーチンは日本との交渉についてこんなことを言っていた。

原文はここ。

http://tass.ru/en/politics/869814

安倍ちゃんの訪ロシアについて歓迎の意を表した上でこんなことを言ったらしい。以下はTASSにあったプーチン発言の引用を拾ったもの。即答の会話だから、文としてちょっと乱れてるところもあるけどそのまま訳してみました。

「もちろん私たちはあらゆる問題について語ることになるでしょう」

「私たちは第二次世界大戦後ずっと問題解決に失敗してきました。私たちが絶えず作ってきたあらゆる手段、方法を見ていくことが必要です。歩み寄りはいつかできるようになるだろうし、いつか見つけられるだろうと思います。」

歩み寄るためには常に対話が必要であるが、

「ある段階において、日本は私たちとの接触を制限する決定をしました。」

「私の考えでは、これは日本国の利益とも、日本の人々の利益とも矛盾しています。」

「しかし、同時に、私たちはまた別のものを見てもいます。他のパートナーたち、特に米国からのプレッシャーにもかかわらず、私たちの日本の友人たちはまだこれらの関係を維持しようと模索しています。」

 

だそうですよ。
私としては、
「歩み寄りはいつかできるようになるだろうし、いつかそうなるだろうと思います。」
I think a compromise can and will be found one day,

ってのが重要だろうと思います。

つまり、今じゃない、ってこと。

安倍ちゃんと会うのはもちろん歓迎するが、大きなところで変化が起こるとは期待できないだろうと、少なくともプーチンは考えてるってことでしょう。


■ なぜロシアなのか

私がとても疑問に思うのは、ロシアの態度の方じゃなくて日本の方なのね。

上で説明したような状況から考えて、どう考えても一昨年の夏あたりで、とりあえず交渉は暗礁に乗り上げて(日本が反ロシアに舵を切って、100%、EUとアメリカに従うことにしたタイミングはここらへんだろうと思ってます)、それ以降アジア諸国に金をばらまいてたんだから、対ロシアでいえば日本は引き続きEUとUSAこそ我が命、ロシア死ね、の路線をひた走ってる。

それにもかかわらずなぜ現政権はロシア、ロシアと言うんでしょう? これがわからない。

無理やり考えてみるに、これは中国包囲網の話なんだろうか?

つまり、ロシアと中国の間を離すために、ロシアと日本は親密だ~と、空手形でもいいから降り出したい、とか?

しかし、そうであれば、中国とすれば、ロシアに対し、あんた日本のプロモーションに載らないでね、面倒だから、でしょう。(言わないにしても)

ロシアは国防から考える国だから、まず現状を考えてみるでしょう。

今欧州方面はステルスの戦争状態であることを考えれば無理はできない。

シリアで行われている宴の始末的状況にあって、中国、イラン、ロシアが緩く連携していることが重要で、それは従ってロシアの国防に役に立っている。

そこから考えると、ロシアとすれば、何を言い出すのかわからない、何をディールのネタにしようとしているのかわからない日本政府と何をしろというの、ではないのかと私は考えますです。


■ ビジネス方面は別のことを考える動機があるような

とはいえ、政府は勝手に1920年代の日本みたいになってますが、ビジネス関係はロシア圏市場は地味に大事にしていくんじゃないでしょうか。だって、もったいないでしょ?

あと、おそらくイランに食い込むためには、日本政府情報に頼るよりも実はロシア側から見てた方がリアルかもな、できれば接近してみるのもいいもな、ってのもあるような気がする。

フェアな競争である限りこういうのはいいと思う。ただなぁ、それで結局のところ過去25年間が物語るように、西側方式だと地域のニューリッチを作って短期的にその地域を金まみれにして公共的制度をぶち壊すってのがオチなので、そっち方面に寄与しないことを祈るばかり。

(別にソ連をほめたいわけではないが、しかし、中央アジアに教育やら近代的な制度をもっていったのはロシア人なので、中央アジアや東欧あたりでロシア人の悪口ばっかり言ってると、実は信用されない、こいつは歴史を知らないんだなと踏まれるだけってのがリアルなところだと私は思う。)
 

■ オマケ

恒例の妄想ですが、上のように中国包囲網をちらつかせながら中国が孤立しているかのような絵をかきたいという話は、ロシアを孤立化させる絵ともなり得るわけですよね。

そうすると、近い将来、日本と中国が、日本と韓国がそうであったように妙に劇的な(安全保障的に考えれば大した中味のない事案を媒介に)「仲直り」が成立して、やっぱり日中こそ大事、とかいう話になってロシアと中国の間に楔をうつ、というのもありなんじゃないですかね。

日中友好って、要するにこれでしょ? 冷戦時代、中国とアメリカは事実上の同盟関係になってソ連を敵視した。で、日本はそんなことを国民にはあんまり知らせず、やっぱり隣国同士は仲よくしないとですよ、ええ、日中友好です、(キックバックもありますし)、儲かりますし、これからはアジアの時代ですよ、わはは、となっていったたわけですね。

これがまた来るのかもしれない。ロシアが慎重なのは、こういうやり方が来た時に個人ベースで築いた信頼関係が崩れることを回避したいからかもなぁ。回復に時間かかるし。

しかし、日中友好が来たら、日本のネトウヨって何なのって話。多分、ネトウヨらの論調を作ってるハンドラーたちは、ロシアは悪なんだ、だから仕方ない、で行くでしょうね。ソ連は悪なんだ、ってのと同じ。じゃあ共産党一党独裁批判はどこに行くんだろう。う~ん。あれだ! チャーチルだってヒトラーを倒すためにはスターリンと組んだ、ってやつ。まぁ理由なんてなんとでもなる。

いずれにしても、あんたら騙されてるんや~、うよちゃん、ってのが私の考えではありますが。


 

日米同盟の正体 迷走する安全保障 (講談社現代新書)
孫崎享
講談社

 

戦後史の正体 (「戦後再発見」双書)
孫崎 享
創元社

 


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2 コメント

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『文革中国は親米』 (ローレライ)
2016-04-15 06:42:04
『文革中国は親米』だった事は忘れがち。日本の左翼も忘れてる。
そもそも (ブログ主)
2016-04-15 17:29:45
アメリカは中国をライバルだ、とは思っても「敵」とは思ってないってなこの違いがわからん人が多いと思う。

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