田の神様のつぶやき

歳とともに憂国の情深まり、日本の将来を政治経済の在り方から見つめていきたい。

参院選で日本の安全、外交は憲法と関連づけて議論させよ

2019-07-13 12:46:24 | 歴史に生きる

 

 私は、政権が変わろうとも国の安全や外交の基本姿勢は大きく変えるべきではないと考えている。ところが日本では、平和憲法・憲法9条に対する各党のスタンスが違っているため、外交方針が与野党で大きく分かれることになる。冷戦終焉とともに、日米安保体制も変わりつつあり、やっと参議院選挙で憲法が議題に上がっている。参議院選挙は選挙区が広いこともあり立候補者の声を聞くことはなく、テレビで各党の掛け声は流しているが、こと憲法に対する考えが分かりにくい。

  昨日12日の日経新聞の“政治欄”「憲法論議 関心低い世論」にあるように、与野党各党は公約でも改憲への姿勢を示しながらも、世論調査を分析すると全体の3割を占める無党派層を含め関心は乏しいようだ、とある。確かに選挙戦の始まった時の世論調査でも、国民の関心事は社会保障(年金や医療)が一番で、経済政策・財政、その後安全や外交、憲法の順だったように覚えている。しかし安全、外交と憲法問題を関連づけると国民の関心は高いはずだ。日経新聞から安全、外交と憲法の欄をひらってみた。

  9日の“オピニオン”「真に受けるべき安保批判」の見出しで、トランプ米大統領は、日米安保条約は不公平(ただ乗り)だ、と述べたと書いている。この言葉はトランプさんの軽口でなく、米国の底流にある発想だとしている。コメンテーターは、安保関連法にもとづき、自衛隊は何をどこまで協力するのか詰めておくことが大切だ。そうすれば、ただ乗り批判に対抗しやすくなる、と。

  7日の“風見鶏”「人手不足や空母も議論を」の見出しで、参議院選で海外からも注目される3つの政策変更を語れと書いている。その1つ、安全保障政策の転換、なぜ議論しないのか、と。政府は集団的自衛権の行使を可能とし、護衛艦「いずも」と「かが」の事実上の空母化を決めた。「攻撃型空母は保有できない」との憲法解釈は変えず、戦闘機が搭載できても多用途運用護衛艦と呼ぶらしい。だが、事前に国会で踏み込んだ論戦はなかった、とある。

  4日の新聞には、3日の党首討論会の論戦で、「憲法」、「年金」、「安保」で各党の考え方を示している。

 安倍首相は憲法改正に向けて野党も含めた合意形成を目指す考えを示した。

  共産、社民両党は改憲議論に応じない考えを示した、とある。両党の主張は明確、平和憲法は絶対いらってはならない。特に、9条の戦争放棄の条文で、日本は外国に戦争を仕掛けることはもちろん、外国もこのような平和憲法を擁する日本を攻めるはずがないとしている。従って、自衛隊も日米安保も憲法違反であり廃止すべきである、としている。

  ただ、立憲民主党と国民民主党の日本の安全、憲法の考え方が分からない。立憲民主党の枝野代表は、集団的自衛権の行使を一部容認した安全保障関連法について「野党(除く維新)は安保法廃止で一致している」とも主張した、とある。このことから、国民民主党も安保関連法は認めておらず、廃止するか別の法律を作ろうとしているのだろう。枝野氏は民法のテレビ討論で、日米安保は推進すると言ったうえで、アメリカに対して強く言うべきことは言っていくと述べていた。

  すべての野党(除く維新)は、集団的自衛権はもちろん安保関連法そのものを認めないことから、日経新聞が日本の安全、外交と憲法を絡めて「安保関連法にもとづき」とか「護衛艦の空母化」についても議論せよと促したことはとんでもないことになる。また日本の憲法学者(東大系)の多くは今でも共産、社民両党と同様、自衛隊や日米安保を違憲と言っており、ほとんどの憲法学者は安保関連法を認めていないはずだ。しかも政治学者でさえ、日本の安全、外交の議論で憲法に当たれば思考停止するそうだ。

  最近アメリカは、ホルムズ海峡での取り締まりは各国が連携してあたろうと言い出している。政府が今自衛隊を派遣しなければならない状況ではないと言っているのは、法(安保関連法)的には可能でも政治的判断だとしているのと、野党の言う憲法解釈上法的にできないと言うのとは大きな違いだ。野党は安保関連法廃止を前提に、地球の裏側での自衛権の発動や集団的な安全対策を認めない、としながらどのような対策を考えているのか。

  我が国を取り巻く安全保障環境は急速に不安要素が高まってきており、国民は国の安全、外交に関心を寄せながらも、それが憲法問題と結びついていようだ。日経新聞が“風見鶏”の〆で「空母という言葉は確かに刺激的だが、そういう実態を見極めて議論する政治家がもっと増えてもらわないと困る。“良識の府(?)”を自任する参院からまず変ってほしい。」と結んでいる。

 見出しで「議論させよ」と書いたのは、メディアは各党に「日本の安全、外交問題に絡めて憲法を問え」と言いたかったからだ。特にNHK,明日の“日曜討論”では、具体的な課題をあぶり出し「お宅の党の対策を出せ」と迫る討論にしてほしい。

 

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