今日のアゴラ・言論プラットフォームに「いずも型護衛艦の改修と運用の課題(6/6安全保障委質疑より)」が出ている。(以下アゴラ文流用)
質問した長島昭久氏は、地域政党「未来日本」代表・元民主党政権の防衛副大臣をされた方だ。長島氏は、岩屋防衛大臣に3点の質問をしているが、その1点目の「いずも」(の改修)は“中途半端”ではないかがすべてだ。つまり「『いずも』は帯(おび=空母)に短し、襷(たすき=護衛艦)に長し」じゃないかと聞いている。
防衛大臣は、いずもは元々多機能な艦であるが、改修してSTOVL機も運用できる機能を付け足したと答えている。
長島氏は、我が国の防衛戦略はこうだ、そのための海上防衛戦略はこうだ、だから「いずも」型の改修が必要だときちんと説明すれば、国民は納得するだろうと述べている。
防衛大臣は(中国が空母を建造するなど軍事力を急激に増強する中で)我が国の太平洋側の守りが不十分であり、硫黄島しか運用できる飛行場がないから、「いずも」を改修しSTOVL機の運用できる型にしたと解説している。
長島氏は、民主党が「いずも」や「かが」を建造したのは、“「戦略打撃力」を持たないという憲法解釈があるので”米軍の来援を待つ基盤を確保するため、従来の護衛艦に積んでいるヘリコプターの倍以上を搭載できるよう“空母のような”形状にした。 その頃、2009年、10年、11年の頃には、こういった戦闘機の運用は考えていなかった、と述べている。
防衛大臣は、民主党政権下において(空母に改修できるような護衛艦を)建造にかかられたことに敬意を表したい、と述べている。
長島氏は、中国側の活動が活発化してきている中で、哨戒活動も防空活動も同時に重要となっており、今回のF-35Bの運用が必要となっていると考えているのか、と質したうえで、ぜひバランスの良い装備を取得して運用してもらいたい、と結んでいる。
さて、長島氏は民主党政権下の防衛副大臣であり、岩屋氏は現自民党政権下の防衛大臣であることから、両氏とも日本の安全についての専門家であり、質疑応答からその政策はほとんど一致しているように感じられる。
一方、長島氏が良識ある野党議員であったから、あれだけ日本の安全について、特に空母のような護衛艦「いずも」について議論が出来たのだろう。おそらく、自民党議員であればあのような質問のやり取りは出来なかったのではないか。ただ、長島氏に聞きたいのは、「国民の皆様にご理解いただける説明」とは防衛大臣にどのような答え方を期待されたのかだ。しかも“「戦略打撃力」を持たないという憲法解釈がある”とクギをさした上でどう説明すべきなのか聞きたい。野党議員だからこそ、そのような質問が出来るとすればいただけない。
長島氏は、この問題について継続して安全保障委員会で取り上げていきたい、と述べている。
この議論の次に来るのは、田の神様が前回(5月3日)のブログで述べた日本の安全論議は憲法9条の範囲内での安全保障でなく、日本の安全の在り方を議論した上で日本の基本法・憲法の規定を論じなければならない。自民党が憲法改正を選挙公約にあげるのなら、単に9条改正を唱えるだけでなく、国民の前で今回の安全保障委員会のような議論を深め、それこそ長島氏の言うように“国民の皆さんが(ああ、そうであれば憲法を改正しなければダメだと)納得するような丁寧な説明をしたうえで”憲法9条の改正に踏み込むべきである。