かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

渡辺松男の一首鑑賞 2の110

2018年09月27日 | 短歌一首鑑賞
  渡辺松男研究2の15(2018年9月実施)
    【〈ぼく〉】『泡宇宙の蛙』(1999年)P75~
     参加者:泉真帆、岡東和子、A・K、T・S、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
      レポーター:渡部慧子   司会と記録:鹿取未放


110 おかあさんが開けては閉じるコンパクトに一万個の目がしまわれている

      (レポート)
 コンパクトにお母さんの目が一万個しまわれているという。お母さん自身の自己愛、社会人・家庭人としての意識、そばの子どもの目を感じているときなど、お母さんの様々な内面を写す目がしまわれているのだろう。てのひらにつつめるほどのコンパクト、それを開けて閉じるお母さんの行為に、お母さんの世界を感じているのだろう。(慧子)


            (当日意見)
★お母さんがお化粧しているのを子どもは見ている。お母さんは楽しそうな時もあるし、不機嫌
  そうな時もある。そういう表情がコンパクトの中に一万個の目として仕舞われている。(T・S)