動画で楽しむDano(424)

2024-02-22 18:49:09 | Dano Movies(邦)
特にスピッツのファンというわけではないが、ここのところ草野マサムネがパーソナリティーをつとめているFM東京の「ロック大陸漫遊記」をよく聞いている。先日、というのは2月18日だが、この日は「シタールで漫遊記」ということで、シタール(エレクトリック・シタールも含む)が使われた楽曲の特集がなされたのである。エレクトリック・シタールといえば、ヴィニー・ベルがダンエレクトロと共同開発してコーラルブランドで製造・販売した楽器なので、このブログでもエレクトリック・シタールが使われた楽曲をとりあげてきたし、今回の漫遊記で流れた曲も全部ではないがもちろん紹介している。この番組では、草野マサムネがダンエレクトロと口にしたり、エレクトリック・シタールをカレーうどんに例えたりと、なかなかに面白いものだった。

今まで知らなかったのだが、スピッツにもエレクトリック・シタールを使用した楽曲があり、それは7枚目のシングル「君が思い出になる前に」で、プロモーションビデオではギターの三輪テツヤがジェリー・ジョーンズのエレクトリック・シタールを弾いている。

スピッツ / 君が思い出になる前に


この他にスピッツとダンエレクトロとの関りというところで何かないかと動画を色々漁っていると、14枚目のシングル「渚」のプロモーションビデオで草野マサムネがダンエレクトロではないものの、ジェリー・ジョーンズのロングホーンを弾いているのを発見した。この「渚」という楽曲だが、「渚は陸海空のどれでもなく、しかしその全てが関係しているエリア」という話を聞いて書いた楽曲とのこと。

スピッツ / 渚
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動画で楽しむDano(423)

2024-02-17 18:53:47 | Dano Movies(洋)
Johnnie Carwash - I'm A Mess


Johnnie Carwash は2018年にフランスのリヨンで結成されたガレージ・ポップ・トリオである。ギター&ボーカルがマノン、ベースがバスティアン、ドラムがマキシムで、彼らはジャムセッションを通じて知り合い、バンドを結成した。ファーストアルバムをレコーディングするためにアルコールを違法に売りさばいて、費用を捻出したそうだ。

Johnnie Carwash という、ちょっと変わったバンド名のためか、その由来については幾度となくインタビューでも質問されているようだが、ジョニーという響きがクールに思えたということ、そこからジョニー・アリディ(Johnny Halliday)を連想、フランキー・コスモス(Frankie Cosmos)が好きだったこと、女性らしくしたかったということで、ジョニーの綴りが Johnnie となったようだ。そして、いつもリハーサルをしていた場所が洗車場の隣だったことから Carwash となったそうだ。

影響を受けたミュージシャン、バンドとしてはフランキー・コスモスのほかにフィドラーやニルヴァーナ、あとはよくわからないが、ジョニー・マフィア、サテライト・ジョッキー、ケヴィン・モービーといった名前が挙がっている。サウンドはローテクでガレージであり、何曲かはシューゲイザー風もあるといった感じ。

上の動画は「I'm a Mess」のプロモーションビデオで、マノンがダンエレクトロのDC3、ベースのバスティアンがロングホーンベースを弾いている。彼らがダンエレクトロを使うのはやはりフランキー・コスモスがダンエレクトロのU1をメインに使っているからだろうと思う。

マノンのダンエレ女子ぶりを示す画像がある。彼女がリック・ニールセンばりにダンエレクトロのDC3、67HEAVEN、DEAD ON 67の3本を肩から下げている。



DC3は2000年頃に発売されたモデルで、ショートホーンボディに3つのリップスティックピックアップが搭載され、その組み合わせを Select-O-Matic で選ぶことができるのが特徴である。

67HEAVEN は2013年に発売されたモデルで、オリジナルで言えば Hawk とか Dane A と呼ばれるモデルのリイシューである。フレット数が21まであるのと、サドルが各弦毎に調整できるタイプになっているのが特徴である。

DEAD ON 67 は2009年に発売されたホーネットシェイプのギターで、一見するとコーラルのホーネットに忠実に見えるが、細かいところを見ると、ボディエンドにくぼみがあったり、コントロール・ノブが4つだったり、ピックアップ切替のトグルスイッチの位置だったりがシルバートーンの1452の仕様になっている。
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動画で楽しむDano(422)

2024-02-09 18:56:27 | Dano Movies(洋)
John Mellencamp Love and Happiness


ジョン・メレンキャンプといえば、私の世代では、彼がまだジョン・クーガーを名乗り、「ジャック&ダイアン」で全米№1ヒットを獲得し、大ブレイクした頃を思い出すだろう。1982年のことだ。後になって、この曲のアレンジをミック・ロンソンが手伝っていたこと、レコーディングにもギタリストとして参加していたことを知り、あのギターはなるほどミック・ロンソンか、と思った次第。

ギターをかき鳴らし、シンプルでストレートに激しくロールする、彼のようなスタイルが「ハートランド・ロック」としてカテゴライズされていたことを私は後になって知るのだが、これは、労働者にフォーカスした、シンプルにしてルーツ・ミュージックに根ざしたロックであり、失業や町の衰退、困難な人生における幻滅や郷愁を歌い、単なる娯楽を超え、音楽には社会的、共同体的な目的があると考えるロックなのだそうだ。そのカテゴリーにはボブ・シーガーやブルース・スプリングスティーン、トム・ペティといったミュージシャンたちが含まれていて、なるほどメレンキャンプはウィリー・ネルソンやニール・ヤングとともに「ファーム・エイド」を企画し、現在も支援活動を続けているわけだから「ハートランド・ロック」の理念に忠実と言えるだろう。「ファーム・エイド」とは、ボブ・ディランの発言「アメリカにいる農家の人たちに対しても(ライブエイドと)同じことができたら素晴らしいと思わないか?」を一つのきっかけとして、経済的に危機的な状況にあるアメリカの農民たちを支援するチャリティー・コンサートで、1985年から現在まで続いている。

そんなメレンキャンプであるが、彼は1951年に生まれ、14歳の頃には最初のバンドを結成した。1972年にビンセンズ大学に入学するも、薬物とアルコールに溺れる日々を過ごしたという。大学を卒業する前に薬物とアルコールを断ち、ミュージシャンを目指しニューヨークへ向かう。1976年にジョニー・クーガー名義でアルバムをリリースしたが、商業的には失敗。以後、紆余曲折ありながら1980年頃から少しずつ楽曲が売れるようになり、1982年5枚目のアルバム「American Fool」で大ブレイクした。その後、1983年からはジョン・クーガー・メレンキャンプとして活動するようになり、オルタナティブ・カントリーの始まりと言われる8枚目のアルバム「Scarecrow」をリリースした。1991年からは本名のジョン・メレンキャンプとなり、11枚目のアルバム「Whenever We Wanted」をリリースした。このアルバムでは彼の原点であるロックンロールに立ち返ることをテーマにしていたそうだ。

上の動画はこのアルバムの最初の曲「Love and Happiness」のプロモーション・ビデオで、バックバンドのギタリストがダンエレクトロのショートホーンらしきギターを弾いているのが見える。このギタリストが誰かといえば、長年メレンキャンプのバンドで活動していた Mike Wanchic だろう。この映像ではヘッドの部分がはっきり見えないので判断が難しいが、1991年頃であれば、ダンエレクトロではなく、ジェリー・ジョーンズかもしれない。



実際 Mike Wanchic はジェリー・ジョーンズのUシェイプの12弦ギターを弾いている画像もあることから、その可能性は高いと思われる。

Mike Wanchic で検索してみると、楽器のオンラインマーケットプレイスである Reverb でショップを立ち上げ、彼がレコーディングで使用した機材を販売しているとのことだったが、現在そこには何も出品されていなかった。

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動画で楽しむDano(421)

2024-01-31 19:31:14 | Dano Movies(邦)
山口冨士夫 ATMOSPHERE promotional film


山口冨士夫がダイナマイツのギタリストとして「トンネル天国」でデビューしたのが1967年のこと。その頃日本ではグループサウンズが一大ブームになりつつあり、以降、100を超える数多のバンドがそれこそ雨後の筍のごとくデビューすることとなっていくのである。とはいえ、ビートルズのように自分たちで作った楽曲を自由に演奏することが許されるわけもなく、レコード会社の意向に従い、職業作家による楽曲を演奏しなければならないケースがほとんどだったという。日本人で初めてギターの弦をベンド(チョーキング)したと言われている山口冨士夫を擁したダイナマイツでさえ、デビュー曲の「トンネル天国」は作詞が橋本淳、作曲は鈴木邦彦という、グループサウンズに多くの楽曲を提供した作家たちによるものであった。ロック的な要素と青春歌謡がないまぜになってしまうこの曲は日本のロックがまだ確立される前の過渡期のサウンドとして、今となってみれば面白いものではあるが、当時のバンドでは、例えばゴールデン・カップスのように、いやいやながらもお仕事でレコーディングしたシングル曲はライブでは演奏しないことにして、このジレンマを乗り越えていたのであった。

グループサウンズも末期になると一方ではどんどん歌謡曲化が進み、パープル・シャドウズに代表されるように、後年ロス・インディオス&シルヴィアにカバーされるような(「別れても好きな人」)、ほとんどムード歌謡になってしまったグループもあれば、他方には日本のロックの確立に大きな功績を残したグループやミュージシャンがいた。スパイダースのかまやつひろし、ルイズルイス加部らのゴールデン・カップス、鈴木ヒロミツや星勝らのモップス、そしてこの山口冨士夫などである。

山口冨士夫は1970年代に入ると京都において柴田和志らと村八分を結成、このバンドは1973年までの短い活動期間ながら、日本のロックの確立に大きく寄与した。ローリング・ストーンズに影響を受けた山口冨士夫のギターサウンドは当時の日本において際立っていたと言えるだろう。

村八分解散後は1974年にソロアルバム「ひまつぶし」をリリースするも、それ以降の活動は断続的なものになっていく、1980年代中頃からタンブリングス、1987年からティアドロップス、1991年にティアドロップスの活動を停止したあと、1992年にソロアルバムの「ATOMOSPHERE-I」、「ATOMOSPHERE-II」をリリース。上の動画はそのプロモーションとしてインタビューに応じたときのものである。鎌倉の材木座海岸で撮影されたようだ。

インタビューの合間に気ままに爪弾かれているギターはダンエレクトロのコンバーチブルである。このモデルは1959年から1969年まで、1966年頃にヘッドシェイプが変更されながらも生産が続けられた。アコースティックギターのように真中にサウンドホールが開いており、アンプにつながなくてもそこそこの生音が出る。ブリッジとテールピースの構造上の問題により、弦の振動がボディに十分に伝わらず、コードを弾けばガシャガシャ、単音を弾けばサスティン不足でペンペンとした音となる。これを味ととらえるか、単にショボい音ととらえるかは好みの分かれるところだろうが、ブルースなどを弾き語るのにはいい感じのいなたさがあろうかと思われるし、この動画で山口冨士夫が弾き語る「錆びた扉」も悪くないと思う。インタビューの合間に聞こえてくるちょっとしたフレーズにも彼の年季が入っている感じ。

2013年、福生駅で知人の女性が男にからまれていると勘違いしたアメリカ人男性がその男に殴りかかっていったところに止めに入って突き飛ばされ、後頭部を打ったことにより、山口冨士夫は死去、64歳だった。
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2024年のダンエレクトロ

2024-01-28 15:21:15 | Dano Info
毎年恒例のNAMMショー、今年は1月25日から28日に開催された。ダンエレクトロも出展し、2024年のニューモデルがお披露目となった。



今回はギターとペダルの両方に新作があった。ギターは FIFTY-NINERS というモデル名である。昨年登場した DIVINE の外観に2ピックアップ、片方にだけfホールがあるというもので、ヘッドのロゴが復活した。カラー展開はレッド、ゴールド、グリーンの3色。ショートホーンシェイプなので、FIFTY-NINERS なのかと思ったが、画像を見るとロングホーンシェイプのものもある。

ペダルは Nichols 1966 と名付けられたが、これは、現ダンエレクトロの社長であるスティーヴ・ライディンガーがまだティーンエイジャーの頃に、自宅ガレージで手作りしたものを再現したペダルなのだそう。独自の3トランジスタ回路により、ファズとディストーションの中間的なサウンド、あるいは「ガラスを砕く」ようなサウンドになるとのこと。ギター側のボリュームとの追従性も高いそうで、ストック/ミッドカットスイッチも搭載され、多彩な音作りが可能だとされている。

両方ともすでに試奏動画がアップされているので、それを見てみよう。

DANELECTRO™: FIFTY NINER™


Danelectro Nichols 1966 Fuzz Drive | NEW for 2024 #NAMM
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動画で楽しむDano(420)

2024-01-26 19:47:46 | Dano Movies(邦)
Superfly 『How Do I Survive?』Music Video


Superfly はボーカルの越智志帆とギターの多保孝一が2004年に結成したユニットである。

このユニット名 Superfly は、「カッコイイ」とか「イケてる」といった意味の俗語であるが、カーティス・メイフィールドの楽曲のタイトルでもあり、この曲を高校時代に聴いた多保氏が衝撃を受けたその体験がユニット名の由来なのである。

彼らは大学のサークルで知り合い、2007年にメジャーデビューするが、その後すぐに多保氏が作曲やプロデュースに専念するために脱退することとなり、Superfly はユニット名はそのままに越智志帆のソロプロジェクトに移行していく。



デビュー当初は「ジャニス・ジョプリンの再来」として1960~70年代のロックやファッション、アートワークに影響を受け、そこにこだわりを見せており、2008年にリリースされた6枚目のシングル「How Do I Survive?」のジャケットはローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズへのオマージュであり、ここでテーブル代わりにコーヒーカップとソーサーが置かれているギターがダンエレクトロのDC3である。このギターは同曲のプロモーションビデオにも登場する。

現在はロックというスタイルに過度にとらわれることなく、より自然体の音楽になっているようで、NHKの朝ドラの主題歌になった「フレア」のように、優しくつつみこむような歌がなかなかに素晴らしい。
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動画で楽しむDano(419)

2024-01-17 19:02:23 | Dano Movies(洋)
The Move | I Can Hear the Grass Grow (Live, 1966)


ザ・ムーヴは1965年、バーミンガムで結成された。中心となったメンバーは「目にした楽器はすべてマスターする」こととした男、ロイ・ウッドである。彼はマルチ・プレイヤーとして知られているが、彼以外のメンバーである、カール・ウェイン、トレヴァー・バートン、エース・ケフォード、ベヴ・ベヴァンらも、バーミンガムですでにバンド活動をしていて、全員がすぐれた演奏能力を持ち、リード・ボーカルを担うことができた。

ザ・ムーヴは結成当初はザ・フーのようなグループになることを目指していて、モータウンやロックンロールを演奏し、その後、バーズのようなアメリカ西海岸の音楽を演奏するようになっていった。そんな彼らは同じバーミンガム出身のバンドであるムーディー・ブルースのマネージャーをしているトニー・セクンダとマネジメント契約をし、ロンドンへ進出、ザ・フーの後釜としてマーキークラブで毎週演奏する仕事を得ることとなった。トニーはロイ・ウッドにもっとオリジナリティのある楽曲を書くよう要求し、その結果生まれたポップでキャッチーな楽曲の数々はイギリスのヒットチャートを賑わすこととなった。しかし、どういうわけかアメリカでは受け入れられず、アメリカでの、さらには全世界的な成功はザ・ムーヴ解散後の発展形としてのエレクトリック・ライト・オーケストラを待たねばならない。もっとも、そのときにはロイ・ウッドはバンドを去っていたのだが。

さて、上の動画は、「X」のタイムラインに流れてきたもので、私はザ・ムーヴがダンエレクトロを使用していたことなどまるで知らなかったので驚いてしまった。おそらくはトレヴァー・バートンらしき人物がダンエレクトロの3021を弾いている。トレヴァーさんはザ・ムーヴに加入する前はダニー・キング・アンド・メイフェア・セットというグループに在籍していたそう。このバンドはシングルを数枚リリースしたが、それらはバーミンガム以外で知られることはなかったという。

この動画で演奏されているのは「I Can Hear the Grass Grow」という楽曲で、これは彼らの2枚目のシングルである。このタイトルの由来が興味深いのだが、トニー・セクンダとも交流のあった写真家でフランク・ザッパやローリング・ストーンズ、デヴィッド・ボウイといったロックスターを撮影したこともあるロバート・デヴィッドソンが見知らぬ男から受け取った手紙に書いてあったというのである。「私がラジオでポップ・ミュージックを聴いているわけは、私の住んでいるところが草が伸びる音が聞こえてくるくらいひっそりと静かだからなんだ」

この曲はドラッグソングだと言われることが多く、本人はそれを否定していたそうだが、そう言われるのも無理はないと思うけどね。
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ギターと木材をめぐって

2023-12-22 17:38:22 | Dano Column
現在発売中のギター・マガジン2024年1月号の特集は「エレキ・ギターと木材の話」である。それほど目新しい情報はないけれども、量的には充実した特集となっているし、さらに付録として、約50種類のトーンウッドを網羅的に掲載した「ギター用木材ハンドブック」もついてくる。

エレキ・ギターと木材の、その歴史をさかのぼれば、当然のことながらアコースティック・ギターがあり、中世・ルネサンス期のリュートやウードといった撥弦楽器にまで至るのだが、弦の振動を共鳴させる部分(棹や胴)に木材が使用されてきたことから、エレキ・ギターという、音を電気的に増幅させる機構を備えた楽器においても、木材がそのサウンドに与える影響については、果てしない探求と議論が続いているというのが現状だろう。そのため、ともすれば議論が過熱してしまうことがあり、ギターマニアの間では、木材の話になると場が「荒れる」と言われたりもするのだが、それゆえに今月のギター・マガジンが「売れる」のならば、それはそれでまことにめでたいことではあるまいか。

とはいえ、この特集においては、木材に関する様々なテーマについて、56個のQ&A形式で記事にしてはいるものの、センシティヴな内容にはなるべく踏み込まないように配慮されているようではある。

極端に言えば、エレキ・ギターを構成する一つ一つの材すべてがそのギターの出すサウンドに影響していると考えられるならば、アコースティック・ギターなどに比べればその影響は小さいかもしれないが、使われている木材が違えば音も違うはずだし、同じ木材でも部位が違う、いや、そもそも全く同一の木材などないわけだから、個体差はあるはずだ、同じギターでも温度や湿度、弾き込みや経年変化によって音も変わるはずだ、といったようにどんどん議論がひろがっていってしまう。そのような音の変化、違いが人間の耳によって識別できるものなのか、周波数などを計測しないとわからないものなのか、そもそも、その違いが音の良し悪しの判断に関与するほどのものなのかどうか。いずれにせよ、木材の違いによる音の違いをいったん語りだすと、そうそう簡単にはいかなくなってしまうのである。

その一方で、木材ではない素材を使用したギターというのも、エレキ・ギターの歴史には登場する。「Dano研」的にはどちらかといえばこちら側が本領となるわけだが、今回の特集でもそれらについては若干触れられている。これまでのエレキ・ギターの歴史においては、レゾグラスと呼ばれるFRP樹脂やアクリル、アルミニウムやカーボンなど、実に様々な素材が使われてきた。ここには、さほど遠くない未来に到来するだろう森林資源の枯渇を見越しながらの新素材の活用という側面があり、また、加工のしやすさや低コスト化を追求するといった側面もあったわけで、そのなかで、ダンエレクトロのギターについても記事の一つとして触れられているのだが、ダンエレクトロといえば、もちろんその素材はメゾナイトということになる。とはいえこれは木材チップを圧縮した材なので、木材といえば木材ということになってしまうため、新素材の話とは別枠での記事になったのだろうと思われる。



ダンエレクトロついでに蛇足を言えば、その最初期のモデルにおいてはネックの一部にアルミが使われていたことがあったし、また、通常の木材の使用ということで言えば、ネックにはポプラ、ボディにはパインが使用されていた。そして指板には今では希少材となったハカランダが使用されてもいた。このことからわかるように、ハカランダは、1950年代、60年代にあっては、通信販売で売られているような廉価なスチューデントモデルにも使用されるくらいありふれた木材だったのであり、そんなにありがたがらなくてもいいようなものだったのである。
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動画で楽しむDano(418)

2023-12-21 21:23:27 | Dano Movies(洋)
Sponge - "Molly (16 Candles)" - official video


オルタナティブ・ロックなどという呼称がいつごろから確立されたのかは不明にして知らないのだが、私の記憶が確かなら、あのニルヴァーナも出てきた当時は「メタルの新しい形、新種」として伊藤政則あたりが紹介していたような気がするので、そもそも日本では、そんな曖昧模糊とした状況だったかと思う。

そんなわけで、スポンジなのだが、このバンドのことは私は全く知らなかった。90年代はロックから遠ざかっている時期だったせいもあるが、このスポンジというバンド自体、日本ではほとんどプロモーションされていなかったようなので、私が知らなくても不思議はないといったところ。

スポンジは、ギターにマイク、ベースにティムのクロス兄弟とヴォーカルのヴィニー・ドンブロスキーによって1992年、デトロイトで結成された。彼らのサウンドについては「うわべは薄いメタルの、クラシックなハードロックとパンチの効いたオルタナティヴ・ポップの多彩なブレンド」と評されたことがあるらしいが、何が言いたいのかよくわからない。いわく言い難し。それがオルタナティヴだということか。このバンドについていろいろ調べていたら、オリジナルメンバーのマイク・クロスが2022年の3月に57歳で亡くなっていたことがわかった。彼もまた私と同世代だったというわけだ。

上の動画は彼らの3枚目のシングル曲「Molly」で、そこそこヒットもしたらしい。この動画では、おそらくジョーイ・マッツォーラの方だと思うが、ダンエレクトロのコンバーチブルを弾いている。あんまりじっくりと見ることができないが、ノブが交換されているのがわかる。
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動画で楽しむDano(417)

2023-11-22 18:48:33 | Dano Movies(洋)
Listen to the Flower People


1984年の映画「This Is Spinal Tap」はスパイナル・タップという架空のバンドのストーリーを、ドキュメンタリー的な手法でもっともらしくでっちあげつつ、当時のロックスターを取り巻く業界のあれやこれやを戯画化した作品である。監督・脚本はロブ・ライナーで、これが彼の監督デビュー作となる。

さて、スパイナル・タップといえば、「目盛りが11まであるアンプ」のエピソードがとりわけ有名であるが、このバンドは一応、デヴィッド・セントハビンズ(演じているのはマイケル・マッキーン)とナイジェル・タフネル(演じているのはクリストファー・ゲスト)という二人の出会いから始まり、1964年にはビート・バンド風、1965年にはサイケデリック・ロック風、そして1980年代にはハード・ロック風といった感じで、時代により音楽性を変化させていった歴史を持っている。

そこでこの動画であるが、これはそのサイケデリック・ロック期の楽曲で「Listen to the Flower People」が演奏されている。この映像も音楽もいかにもフラワーな雰囲気がいい感じなのだが、ここでナイジェル・タフネルが弾いているのがダンエレクトロのダブルネック、3923なのである。しかしながらここで聞こえてくるのはエレクトリック・シタールの音だったりするのである。
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