ウェルター級12回戦
元スーパーライト級王者のアミア・カーン選手(Amir Khan)が元ライト級王者のフリオ・ディアス選手(Julio Diaz)に、苦しみながらも12回3-0判定で勝利した一戦でした。(体格比較)
フットワークを使って動きながら忙しく繰り出す左ジャブや左フックのリード、そこから繋ぐ右ストレートでのボクシングでペースをコントロールしていくカーン選手。強くしっかりヒットしている感に乏しいカーン選手の攻撃ではあるものの、手数はよく出ていますし、まるっきりの目眩まし攻撃というわけでもなく、またなによりディアス選手の攻撃・プレスを弾き返していて、試合序盤のペースを確実にキープしていたのはカーン選手でした。
4回にディアス選手の左フック、さらにはそこからフォローされた右左を食ってキャリア9度目となるノックダウンをカーン選手が喫してしまった場面以降でも、フットワークの比重を増やして試合の主導権を握り続けます。
しかし、なかなか入らないものの時折入るディアス選手の左フックや右クロスを危なっかしい感じで浴びてしまうカーン選手。ディアス選手のパンチを決められるとより大きく動くことでトラブルを回避していくのですが、そのことでディアス選手のプレスがより強まっていく流れの中盤戦で、カーン選手がペースを支配しているものの徐々に雲行きが怪しくなっていきます。そして10回にディアス選手の左フックを浴びてカーン選手が再び効いてしまいます。
応戦しようとするところにさらに右フック左フックを決められてさらにダメージを負ったカーン選手で、以降一気に攻勢を強めたディアス選手のアタックに晒されてあとひと押しでノックダウン、という状況に陥ります。それでもフラフラになりながらもなんとかホールディングとフットワークとで凌ぎ切って、小差ながらも確実なリードを得たカーン選手が3-0判定を掴んだ冷や冷やの勝利でした。
CompuBox Stats: Amir Khan's Jab Was The Difference
公式のスコアは114-113、115-113、115-112の3-0カーン。シロート採点115-112カーン。
ラスト3つは本当に苦しかったカーン選手でしたが、最終回にディアス選手の攻めのペースが落ちてしまったこともあってなんとかギリギリの所で踏みとどまることができた辛勝でした。
打たれた際の脆さってのは今に始まったことではないカーン選手ですが、その弱点がより悪化しているんじゃないかとの思いをも抱いてしまうほどの脆さ危うさを感じさせたこの日の試合。今後の厳しい道のりを予感させた苦しい苦しい勝利でした。
カーン選手は28勝(19KO)3敗。ディアス選手は40勝(29KO)8敗1分。
Disaster Averted As Amir Khan Edges Julio Diaz(Jake Donovan/Boxing Scene)
Amir Khan Gets Buzzed, But Beats Diaz, UD(Michael Woods/The Sweet Science)
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カーンにとっては待望のメイウェザー戦なのですが、今の状況では結果は既に見えてますな…
ウェルターに上げることにより耐久性があがるなら別ですがこれだけ脆い選手が階級上げて見違えるようにタフになった例とかってあるのでしょうか?
このスタイルでずっと行くんでしょうか?
試合をやる以上、ゲレロに負ける可能性もゼロではないわけで、今の段階で次の相手うんぬんを語るのはナンセンスな気がします。
ただメイ対ゲレロ戦の勝者が次にカーンと、ってのはある程度ありえる気もします。
>寛さん
ハーンズなんかは階級上げても脆さはそのまんまでしたね。
クラスを上げてタフになった、ってな例はちょっとすぐには思いつかないです。
>CAMAROさん
素晴らしいジャブとスピードを持っているので、もう少しフットワークを使ってのアウトボクシングに特化すれば良い
とかは思わなくないですが、傍目で見ていて考えるようにはうまくいかない気もします。難しいところだと思います。