la princesse au bois dormant

~いくつになってもお姫様 眠い姫の独り言~

ひさびさにものすごいうつがきた

2014年03月01日 | 眠り姫の独り言
 理由はいろいろありますが、きっかけは下記の記事(リンク出るかな)

 http://president.jp/articles/-/10922

 マーサ・C・ヌスバウム『経済成長がすべてか?』の書評です。
 もう社会とか民主主義とかそういうものとあんまり関わるまいと決めた(かかわると自分の生活さえも危ういので)今、よく知らないのですが、哲学者さんだか倫理学者さんだか、法律と感情のからみ(人の心は法では縛れないけどじゃあどうやって人を法で統制すればいい方向に向かうのかとか、そういったあたりでしょうか)を研究されている方のようです。認識違ってたらすみません。

『 国家による教育は、国家が指向する政策を実現するために要望される人材のイメージに従って、その骨子と内容が決まっていく。戦後の日本では、産業・経済の復興のために、工学部門に徹底して力を入れていたのだが、それは当時の国家の要請でもあった。

 本書は、「今日の世界において、民主的市民精神のための教育はどうなっているのでしょうか? 非常に貧しいものであると私は憂慮しています」という危機意識のもとに、著者自らマニフェストであると宣言している書である。』

 ああごめん、私10年以上前、なんなら干支一回り以上前、そう思ってた。
 「国は『民主主義』なんかを実現する人が欲しいんじゃなくて、言いなりになって売れるものをたくさん作ってくれる人が欲しいだけだ。自分で考える人は一握りでよくて、その一握りだけで世の中を回していければいいからみんなが民主主義を実現できるようになる必要なんかないと思ってるんだ。」
 そう思って、「でもそうはさせるか。大多数の人が利用されるだけの世界なんかにさせるもんか」と思って、がんばって、がんばった結果が「一緒にがんばってくれた仲間は軒並み倒れ、自分も倒れ、病気で生活の糧さえ得られないくらいになってしまい、しかもそこまでしても何も変わらないどころか悪化していくのをほとんど食い止められなかった」だったのさ。
 たぶんマーサさんは、そのくらいか、もっと前から思ってて、いろいろ調べて、今(というかもうすこし前かな、記事の日付からして)その本出したんだろうけど。


『「国益を追求するあまり、諸国家とその教育システムは、デモクラシーの存続に必要な技能を無頓着に放棄しています。こうした傾向が続けば、そのうち世界中の国々で、自らものを考え、伝統を批判し、他人の苦悩と達成の意味を理解できる成熟した市民ではなく、有用な機械のような世代が生み出されることになるでしょう。(中略)実質的に世界のすべての国々で、人文学と芸術が(中略)切り捨てられつつあります」』
(書評内で「著者の文」として引用されたとこだけを引用した結果よくわからないかっこくくりになりました。すみません。)

 うん、知ってた。ってか思ってた。こんなちゃんと文章化できるほど頭良くないから、「あんたがいうまでもなくわかってたよ」という気もないんだけど(文章化できないことは考えてないのと同じだし)、知ってたよ。
 ただね、日本だけだと思ってた。まさか世界的な(少なくともマーサさんが見ているアメリカを含む)ことだとは。


『民主主義を守るには、あらゆることに対し、「批判的な問いかけ」という理想への忠誠によって命を落としたソクラテス的な議論ができる市民を育てることが必要だという。しかし、経済成長の最大化だけが教育政策の基本となることにより、自分の頭で考え、議論をする能力は不必要とされた。そうして批判的問いかけの基本となる、あるいは本当の意味での創造性をつくる人文学や芸術を切り捨てた教育に堕すことが、民主主義の危機につながるのである。
最後に著者の思いを要約した文を引用しておこう。

「私たちは富の追求に気を取られ、思慮深い市民ではなくて利益を生み出す有用な人間を育成することを、ますます学校に求めるようになっています。コスト削減の圧力に押され、健全な社会を維持するのに、まさに必要不可欠な教育的努力を切り詰めてしまっているのです」』

 なんかね。
 「社会に出てすぐに役に立つことを教えないから今の日本の大学はだめだ」みたいな話にも違和感はあって、「社会に出てすぐに役立つこと」だったら専門学校で教えればいい、大学は「考える力(批判精神含む)」を育てるところで、即戦的な技術とか技能とか教えるところじゃないし、企業もそういうのが欲しいんだったら大卒なんか募集しないで専門学校卒を採用しろよって思ってたんですけど、
 まさかその話と「日本は民主主義を使える人間を育てる気なんかてんでないなぁ」が、同じところからきている問題だ(少なくともそういう理屈も成り立ち、そういう理論を展開している学者さんもいる)とは。
 いやはや、頭のいい人は違うなあ、そこまで考えられてすごいなぁ、と思うとともに、
 日本どころか少なくともアメリカ含む
 「民主主義」なんかより他のこと優先するもんね、な流れに
 なに一介の女子高生が立ち向かっちゃったんだ
 ばーかばーか

 って、思ってしまって、そのために巻き込んでしまった人のこととか考えて落ち込んだら、仕事あるにもかかわらず全然布団から出られなくなってしまったのでした。(風邪もひいてたのでそのせいもありますが、風邪自体がこの件のショックで抵抗力落ちまくったせいと言えなくもない。)

 このまま仕事いけなくなったらどうしようと思いましたが、どうにか回復したので来週からは大丈夫そうです。

 でも、この本を読む勇気はないなぁ。
 私は自分のご飯のほうが大事だ。
 民主主義が崩壊したって、知るもんか。