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所得捕捉率

2005年02月04日 13時17分57秒 | 社会保障問題
今までの社会保障制度についての議論の中で、幾つか問題になる点があった。それは、諮問機関や検討委員会のような所で出てくる、「給与所得者と自営業者の所得捕捉率が違う」というもっともらしい意見だ。一元化の議論では、最大の障害になっていると言えよう。
(以前の記事を読んで下さいね。カテゴリー:社会保障問題)


これは、既存の保険制度に依拠している限り、一元化を考慮する場合には避けては通れない問題である。確かに給与所得者はほぼ百パーセント近く捕捉される(勿論監修費のようなおいしいお金は捕捉されず、大阪のようなヤミ手当ても課税所得からは思いっきり抜けていると思う)が、自営業者は昔から収入は全て捕捉されていないと考えられてきた(所謂「クロヨン」などと呼ばれ、サラリーマン・自営・農家の捕捉率が9・6・4割ということらしい)。現在の実態がどうなのかは不明であるが、所得総額に大きく影響される制度設計を変えることを考えればよく、私が以前から提唱している年金制度は間接税方式であるから、所得捕捉率には影響されない。他は確定拠出型個人年金であるから、所得水準や個人のライフプランに応じて自己責任で行えばよいのであるから、これも捕捉率には関係がない。このように考えてもらうことはできないのだろうか。


この方式の利点は多いものの、欠点はさほど多くないはずだ。問題となるのは低所得層の負担であろう。これは、公的扶助についての制度を考えることによって、緩和されるであろうし、源泉される所得税や住民税について軽減措置をとることによりある程度カバーされる。取る分を減額したり、不足分を補う考え方でよいと思う。所得水準の非常に高い層は、直接税の課税強化によって社会的負担を多くしてもらうことでバランスがとれるであろう。保険料徴収という非効率的な制度を止める方が、メリットは大きいと思っている。


本来国民年金や国民健康保険に加入し保険料を支払わねばならない人々が、その義務を果たさず未納が非常に多くなっている問題についても、現行方式を続けてもそれが大幅に改善される見込みはないであろう。回収にかかる費用が大きくなりすぎて、効率が悪すぎなのである。現状は10億集めるのに5~6億もかけて回収し、保険料の半分を失ってしまう状況で、もし未納が40%だとしたら、全額回収しても元々の80%しか回収できないという愚かな制度なのである。これは明らかに制度の欠陥である。NHKの受信料の徴収業務も同様である。こうした無駄なシステムは改めるべきであるし、正直者が不利なだけである。きちんと収めた人のお金が、そういう無駄な費用に投入されていくのである。


厚生年金と共済の一元化を行えばよい、というのは、自分達が企業や国からお金を投入できるから、その方が有利に決まっている。国家公務員共済は受給者と加入者の比率がほぼ1:1となり、今後現状のままでは支えきれないのだ。国家公務員達は自分達が苦しんでもいいから、このまま存続させて、共済を破綻させてみたら本当の年金制度が体感できるであろう。国庫からの追加費用と雇用主負担があっても、破綻するような制度設計なんですから。自分達の責任は自分達で払うのが当然なのではありませんかね。官僚の考える自分達に都合のよいシステムは、愚かしいということだ。地方公務員共済と統合後にでさえ受給者1人につき、加入者が1.56人程度(推測値)だろうから、今後団塊世代の退職が加速していけば、こちらも1:1.5を直ぐに切ってくるだろう。今後公務員の削減は進んでも、今まで以上に増員することなど有り得ないからだ。そんな事情で、共済と厚生年金を一元化しよう、という腹なのはお見通しだ。自分たちさえお金を貰えればよいという、薄汚い利己的な思想でしかない。


自営業や農家の人には退職金などない。それに、本当に儲かるなら、みんな農家をやりたがるだろう。そんな簡単なことも判らないのか、日本の官僚や有識者たちは。所得が捕捉できるとかできないとかの議論ではなく、もっと切実な「暮らしていけるかどうか」という次元なんですよ、多くの人は。農家が減少していってるのは、国から農政族が補助金を引っ張ってきても焼け石に水で、経営的に成り立たないから辞めるんですよ。これが日本の大幅な自給率低下を招いたんですから(先進国中最低ですね)。儲かって大金持ちになれる人が続出したら、人気職業になるし、補助金もいらなくなってるでしょうが。そんなこと当たり前でしょ?八百屋や魚屋のオヤジが相当頑張っても、大企業を勤め上げたサラリーマンの生涯賃金より全然少ないに決まっているでしょ。床屋のオヤジは、息子に「床屋になれ」と言う前に、「いい大学に行け。いい会社に入った方がいいぞ」と言う方が、断然多いんだって。


儲けられる自営業者なんざ限られてるっての。普通ある一定以上の規模になったら、法人化してるから厚生年金と政府管掌だしね。諮問機関の有識者というのは、今まで給料の高い仕事しかしてこなかったような、お偉いさんばかりが集まっているんですよ。今度ね、八百屋、農家、漁師、日雇い労働者、床屋、クリーニング屋などの「実践的有識者」を集めて、率直な意見を聞いてみた方がいいですよ。お金のたくさん貰える人が、国や企業から退職金や年金を一杯貰って、それほど貰えない非給与所得者の方が圧倒的に多いんだってば。調べてみたら?市町村に実態調査してもらうんですよ。サンプル世帯を幾つか見るの。自家用車はどのようなのか、所有資産はどの位あるか、食費にどのくらいかかるか、ブランド品の総額とか、本当に見てみたら?2千世帯くらい調べればだいたいわかりますよ、きっと。


おまけに、3号被保険者の問題もある。払ってないのに基礎年金もらえるし、配偶者がまるまる2人分納めているかといえば、そうではない。共働きが損してしまう。このように、制度が複雑な割りに、矛盾点が多すぎるし不公平感ばかりが多くなる。間接税でフラットにしてしまえば、それは大幅に緩和される。社会保障一元化の障害となっているのは、所得捕捉率などではないし、生活保護でもない。自己利益にしがみついて離れようとしない、利権者たちだ。国家を省みることのない、亡国族だ。そういう連中が日本をダメにした。




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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
同感です (みや)
2005-02-06 01:40:07
初めまして。

たいへん共感したことを、ぜひ一言お伝えしたく、コメントを投稿します。

「給与所得者と自営業者の所得捕捉率が違う」を理由にしてしまう精神構造がすごいですよね。

“くろよん”や“とーごーさん”が事実で、それを是正する気はないって公式発表してるのに等しいのだから。

でも、結局このまま先延ばし先延ばしになりそうですね。

全国のサラリーマンが一揆を起こしたら少しは変わるでしょうか。
投票所に行かない人の意見を (工藤恒男)
2005-02-06 09:20:19
まさくにさんが言われるように、議論のすり替えが横行していることが問題だと思います。「税金は取りやすいところから取る」「財源を確保するためには仕方がない」と言うことしか考えていない政治家が多すぎるのです。昔は労働組合や社会党、共産党が代弁してくれていたのですが、多くの人が右よりなって、連合が自民党を支持したり、社民党や共産党が壊滅状態になったりしてしまいました。来年から再来年にかけて全国的な選挙が続きます。何とか庶民の声を代表する新党を作れないものかと考えています。現在投票所に行かない方たちはいったい何を考えているのでしょうか。是非、そうした方のご意見を伺いたいと思います。
Unknown (まさくに)
2005-02-06 13:24:48
>みやさん

初めまして。これからも宜しくお願い致します。

国民の怒りを明確に伝えないと、政治に変化がないでしょう。今の北朝鮮を見るようですね。



>工藤さん

新党結成で、今まで多くの政党がダメになっていきました。一時議員を送ることが出来ても、次の選挙では勝てなくなっていきました。この戦術は非常に難しいのです。数人の議員を送り込んでも政治を変えることは出来ません。新党そのものが政権党になるしかないのです。これは至難の業でしょう。しかし、国民世論をダイレクトに伝えたり、政治に強い圧力となるような「国民の声」増幅器・拡声器的なメディア戦略とかネット戦略とかを考える方が有効なのではないでしょうか。

投票行為の虚しさは、私もありましたので理解できます。「自分の一票」で世の中は変わらないし、大勢に影響もしないし、願いが届くわけでもない。そういう無意味さを感じると、棄権したくなります。また、いずれの政党にも反対である、という意思表示としている人もいるかもしれませんね。
所得補足率 (Takaaki Kubo)
2005-02-06 14:10:52
まあ、ある程度儲けている農業でも自営業者でも、財務会計をパソコンなどコンピューターで処理しないと競争の激しい今の日本では経営そのものが成り立たないので、そのデータは税務署がコピーするので、100%補足されているのが現状なのです。それで、昔のクロヨンとかトウゴウサンピンってドンブリ勘定の税金が課税されるので、事業者には物凄い増税と成っているのが、この未曾有の大不景気の大きな原因の一つなのです。

同感です (工藤  恒男)
2005-02-06 15:31:42
まさくにさんの言われるとおりだと思います。いずれの政党も支持しないという意思表示として投票しない人も多いと思います。ある時期私もそうでした。しかし、それならどんな政党なら支持するのかを明らかにしないといつまでたっても支持したい政党は現れないだろうと思います。その意味でまさくにさんがネット作りに励んでおられるのを見て感謝しています。

余計なことだったかもしれませんが、2月1日の「不正Gメンになれるか、共産党」の記事を共産党に知らせ、こういう意見の人にもっと対応しろと書いたのですが「貴重な情報ありがとうございました。今後も情報提供をお願いします」という決まりきった返事しかかえって来ませんでした。

現在のところ各政党はこのようにブログの意見など一顧だにしないようですが、

いずれは無視できなくなると信じています。益々のご活躍を期待します。

皆様のご意見は (まさくに)
2005-02-07 00:31:24
誠にありがたいことだと思っております。こうして、種々の意見が出されていくことで、政治にも幾らか影響を与えるようになっていると信じております。



以前無力感を感じたことを以下の記事に書きました。

http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/349d1355bcf07f0f6fb56b8bc247ba89



他の方も同じような不満、迷い、絶望といった感覚をお持ちになっているのですね。皆様に考えて頂いたり、意見を出していただいたりしながら、国政に生かせる何かを生み出せるように、記事に書いていきたいと思います。

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