いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

オール人力狙撃システム試作機

続・言葉の創造と理解

2005年02月14日 18時32分02秒 | 社会全般
ご質問がありましたので、少し追加したいと思います。

前の記事中に、新語については「定義付けや注釈は、使用する時にあった方が読者には親切であると言えるし、共通理解を得るのを助けるという意味はあるでしょう。」と書いています。ですから、初めて用いた言葉として、理解できなければ質問することが必ずしも不適切とは思いません。しかし、文脈中、或いは過去の文章をよく読めば既に書かれていることであり、著者の意図が判れば特別に質問することでもないように思います。


また例を出して申し訳ありませんが、「カスケード(cascade)」という言葉がありますね。これを知っておられるならば、近年用いられる「サイバー・カスケード」についても、思い至るところがあるのではないでしょうか。小倉氏も引用していたサンスティーン著の『インターネットは民主主義の敵か』で用いられる言葉です(小倉氏はこの本の中身をよく知っていたので、きっとあのような一連の記事を書いてしまったのでしょう。あくまで推測にすぎませんが)。彼はアメリカの憲法学者ですが、詳細はご自身で本をお読みになってみて下さい。「サイバー」は前の記事に書いてますから、省きますね。


この「カスケード」から「サイバー・カスケード」への言葉としての道筋を、私なりに考えてみました。「カスケード」の意味は「段々になっている滝」ですね。これに似た実験装置などで、主に化学の用語としても用いられるようになりました。その流れから、生化学に有名な「アラキドン酸カスケード」という言葉が登場しました(アイザック・アシモフは生化学者で、Ph.Dを持っていました、関係ないけど)。鎮痛剤のCMなどでも良く聞く、「プロスタグランディン」の生成などの反応が含まれます。この生成をブロックするのが「アスピリン」であることは有名ですね。

この反応過程は、段々の滝で水が次々と落ちていくさまが、似ていることから名付けられています。ある反応が次の反応を引き起こし、続いてまた次の反応がその次の反応へ・・・と反応のスタートから、最終的な生成物へと向かっていきます。このような反応形式は、血液凝固過程もよく似ています。スタートすると、途中でいくつもの反応を経ても、必ず行き着く先は「同じ」なのです。

こうして、「~~・カスケード」というのは、こうした反応形態(これと似た現象も含めて)を指して用いられるようになったと思います(あるいは、一般的に cascade effect として知られているかもしれません。英語苦手なので正確にはわからないです)。これが、ネット上での現象にも同様の過程が見てとれるので、サンスティーンは「サイバー・カスケード」と名付けたのではないでしょうか。確かに、サンスティーンの書いている内容とその現象が、ブログが「炎上」や「燃えてる」という現象に、よく似ているように思います。


正確には論評できかねますが、少なくとも「カスケード」という言葉を知っており、「サイバー・カスケード」という言葉が用いられる文脈の中から、著者の意図するところについて考えてみると、直接著者に「サイバー・カスケード」の定義付けを尋ねなくとも、自分なりの解釈は出てくるかもしれません。勿論それが、本当に著者の意図するところと一致しており、共通認識が成立しているか否かは、確かめようがないのですが。この時に、著者は必ずしも読者との共通認識について、確認する作業は義務として求められるとも思えません。また、途中から読み始めた読者について、その定義付けの根拠や解説を再び行う義務もないと思います。

単にその言葉を受け入れられない読者や異なる認識を持つ人は、別な解釈のアプローチを試みるか、その言葉を用いることなくいつか忘れるのが普通の反応ではないでしょうか。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。