いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

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米韓関係と竹島問題

2008年07月17日 18時48分01秒 | 外交問題
米国産牛肉問題に端を発した韓国のデモ騒動でしたが、どうしてここまで事態が悪化するに至ったのか、ということがあまり判らなかった。少なくとも日本において、(こう言っては失礼かもしれないが)たかが牛肉のことで、これほどの政治的危機のような状態というのは考えられないからだ。日本人と韓国人の国民性が異なるから、というようなことがあるのかもしれないが、どうもそれだけではなさそうだ、と思い始めた。それは一言で言ってしまえば、民族主義的傾向が強まったから、ということだろうと思う。裏を返せば、反グローバリズム的運動に近いものではないかと思われる。

新政権発足後まもない時期で、特別に大きな失政の責任があったわけでもないのに、ここまで問題がこじれたことの要因がいくつかあったのだと思われる。最大の要因は、経済状況の悪化だ。
民衆の怒りが頂点に達するのは、日本の過去を振り返ってみても判るように、大概は貧窮だ。打ちこわしとか米騒動なんかがその典型例であろう。今回の韓国での問題は、第一に原油高、第二に食糧価格高騰、第三にインフレだ。この現象は中国だけではなく、ベトナムや韓国においても同様に起こってしまった。経済規模がある程度大きいと吸収余地があるかもしれないが、それができない経済規模では、もろに影響を受けてしまうということだろう。そうした経済状況に危機感を抱くのは無理もない話である。

韓国は日本とは違い、過去のトラウマがある。IMF管理になってしまったという、悲惨な経済状態の経験だ。それも遠くない過去に、だ。記憶が新しい分だけ、危機意識や恐怖心がそれなりに強く現れるとしても不思議ではないだろう。かつて通貨危機に陥った時の国民生活の状況や凄惨な経験ということを考えれば、民衆の怒りはもっともかもしれない。そのキッカケを作ったのが、牛肉問題でありサミットであったのではないか、ということだ。要するに、「どうにかしろ、窮状を救え」という、国民からの強力なメッセージということに他ならない。

米国産牛肉問題は単なる誤解のような部分から始まっていったかもしれないが、グローバル化とその悪影響の結果をもたらしたことへの批判へと結びつき、グローバル化の象徴ともいうべき米国への反感が強まったものと思う。経済状況の苦しみが増したところで、丁度米国産牛肉問題が持ち上がってきた、ということだ。故に、賛同者たちが膨れ上がっていったものと思う。貧窮者たちは大勢いるからだ。韓国国内での格差が拡大し、そのことが今年の原油高・食糧高・インフレ(=物価高)という状況での貧困者たちの生活を加速的に悪化させたのだ。その元凶とは、グローバル化であり、グローバル化の権化とは米国であった、というわけだ。不満のはけ口としては、非常に判りやすい対象であった。だから、単なる牛肉の輸入基準の問題であるにも関わらず、不満が簡単には収まることなく「大炎上」(笑)へと繋がっていったのだろう。こうした反グローバリズム的な機運は排外思想(=反米)と結びつきやすく、民族主義的な心情を一層煽る結果をもたらしたのだと思われる。日程的にサミット開催が近かったことと、日本開催であったということも若干影響していたかもしれない。燃え盛るチベット関連のデモ情報がネットを通じて韓国の若年層にもたらされていたことも、何らかの影響を与えたかもしれない。要因は正確には判らないが、うまい具合に炎上に繋がったのだろう(参考:笑い事じゃない…韓国版電脳炎上(笑))。


もっと悪いことに、火に油を注いだのは米国自身であった。

<米輸入牛肉問題>駐韓米大使「韓国人、もっと勉強してほしい…」 Japanese JoongAngIlbo 中央日報

炎上が継続し更に燃え盛るには、多くの場合に「追加燃料」が投下される必要があるが、それを米国自身がやってしまったのだ。米国大使は駐日大使も同じようなものなのであるが、「余計な一言」を言う悪いクセがある(笑)。駐韓大使も例に漏れず、韓国人のハートを確実に「逆撫で」した。しかもUSTRの連中が張り切り過ぎて、かつて日本に使った手法を韓国にも使ってしまったことが、余計に事態を悪化させることになってしまった。無用な「脅しと取引」を強いたことが、韓国国民の怒りを煽ってしまったということだ。

【社説】追加交渉に米国は誠意を見せよ Japanese JoongAngIlbo 中央日報

はじめから韓国側の意見を受け入れるとか、30ヶ月以上という基準に拘ったりしなければ良かったのに、暗に韓国側輸出品への報復を匂わせたりしていたのではないかと推測される。悪名高きUSTRだからね(笑)。米国食肉団体は、30ヶ月以上は直ぐには無理だとしても、とりあえず30ヶ月以下だけでもいいから輸出したいと提案していたにも関わらず、all or nothing方式で交渉に挑んだらしい(笑)。多分、牛肉輸入再開を決めた日本にさえ撥ねられた(月齢20ヶ月以上の牛全部を)ので、日韓台のうち「どこかに割り当てねばならなかったから」という米国側の事情みたいなものがあったのかもしれない。

どうして韓国で焼肉が盛んなのかは知らないが、韓国人は牛の内臓や骨髄など全部を食べるということのようだ。ホルモン焼きとか牛モツ煮とか、そういうのと似たような食べ物なのだろうか。詳しく判らないけれども、輸入牛のうち危険部位に相当する部分も食べるということになれば、心情的には「危険なんじゃないか」みたいに言うのは理解できる。よく牛を食べるからこそ、「基準は厳しくやっておいた方がいいんじゃないか」と考えてしまう人たちが大勢いるであろうことは理解できるのである。なのに米国は、交渉場面でも大使発言でも、そうした韓国国民の感情的な部分への配慮が全くなかった。これでは、韓国国民が烈火の如く怒り狂ったとしてもしょうがない。そういう米国側の態度に、もっと腹が立つのだろう。怒りを買うようなことを、わざわざやってくるのが米国大使や交渉担当者だからだ。

こうして韓国政府がどうにか収拾できるような状態ではなくなっていった。民衆の怒りが益々過熱し、サミットに向けて不満が高まっていったのだろう。ここまで大騒ぎとなった韓国には条件を受け入れてもらえなくなり、仕方なく米国は要求相手を変えざるを得なかった。だから日米首脳会談の時に「月齢基準をなくしてくれ」と日本に言ってきたが、あっさりと断られた。レイムダック化した大統領の言葉は、その大統領に名前すら覚えてもらえない議長役で、つなぎ登板でしかない福田総理に断られたのだった。双方ともに置かれた立場の悲哀を、最もうまく表していた会談だったかもしれない(笑)。


韓国の話に戻ろう。牛肉問題から国民不満が爆発することとなり、いよいよ政権危機に陥った韓国は、「毎度御馴染みの手」を使うことにしたのだろう。それは、民族主義的な今の雰囲気に最も合致した話題、すなわち竹島問題をクローズアップすることであった。怒りに燃える国民の不満を逸らせるには、好都合の話題なのだ。
政権浮揚策という点、米国の立場に配慮しようという点、つまり米韓にとって有利に運べるということがあるので、竹島問題は一番使える話題なのである。また、福田政権は外交発信力が「ひときわ弱い」。はっきり言えば、「いるのか、いないのか誰にも判らない」というくらいに存在感がない。海外社説でも酷評されていたように、「どこへ行ったんだ?」「姿が見えないぜ」というようなことだからね。なので、一方的に痛めつけることが可能なのだ(笑)。日本はそれくらい弱いし、甘く見られているということ。

そもそも、文科省の話が出たのは5月だ。
中学社会の指導要領解説書に「竹島は日本領」と明記 ニュース 教育 YOMIURI ONLINE(読売新聞)

その後、特別にクローズアップされたわけではなかった。それ以上に、牛肉問題の方がヒートアップしていたからね。しかし、サミット後からは韓国側が意図的に取り上げてきて、大袈裟に騒ぎ始めたわけだ。それに呼応するかのように、国内メディアも一斉に書き始めた。それって、米国様の顔色伺いとかですか?(笑)
簡単にいうと、韓国で反米色がこれ以上濃くなるのはマズい、政権維持が困難になるのもちょっとマズい、という政治的判断が働いたので、いつものネタの「竹島」を引っ張りだしてきた、ということでしょうね。サミットが終わっちゃって、他にネタにする出来事もあまりない、ということなのかもしれませんが(笑)。

取り立てて現時点で問題にするような事柄でもないのに、わざわざ多くの情報を流すとなれば、これはある種の印象付けのような操作なのではないかな、とは思いますね。どこに誰の思惑があるのかは判りませんが、ちょっと臭いますね、ということ。


ところで、ブッシュ大統領はちょっと可哀想になってきたかも。会見の様子が放映されていたが、元気がなく、嫌々やらされているような
感じだった。そりゃそうだよね。新大統領への関心ばかりが高まる中で、出てくる話は「ブッシュの失敗」ばかりが取り上げられるわけだから(笑)。
「ブッシュは~が失敗だったが、あなたが大統領になったらどうするのか?」
話の軸は全てがそうなってしまうもんね。「○○を改善します」というのは、裏を返せばブッシュ政権でうまくいかなかったことばかりだから。まるで「アラ捜し」をされている気分になるだろう。そういうのを、ほぼ毎日のように聞かされるわけだから、現役でやっている大統領としては立つ瀬がないわな。権力者としての宿命なので仕方のないことだが、期限が決まっている末期というのは一番辛いかもしれない。コールド負けのない野球の試合で、7回終了時点で100対1で負けているのに、最終回まで投げ続けることを強要されるピッチャーの心境みたいなものだ(笑)。





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