1)デイトレーダーが株価を吊り上げているの?
どうしても個人投資家を悪者に仕立てたいらしい。
Yahoo!ニュース - 時事通信 - ネット取引、最高更新=05年度上期の株式売買代金-日証協
こういう記事を書く記者というのは、本当に仕組みが判っているのだろうか?株式取引の説明なんぞをしても仕方ないのであるが、このままでは、「ネットを通じて売買を繰り返す個人投資家が、株高を演出したことを改めて裏付けた」と記事中でガッチリ裏付けられてしまって、個人投資家が悪者にされると思うので、一応書いてみようと思う。
まず、株式売買の原理というか簡単な仕組みを例で示します。「マーケットX」という場があり、そこには株式が存在しているとします。通常個人はこのマーケットXに購入代金を支払うと、株式で返されます。百万円をマーケットXに入れると、その時点で百万円の価値を持つ株式が貰えるということです。売るときは株式をマーケットXに戻して、お金を返してもらえるということになります。
Aという人が過去のある時点で株式を100円で取得していたとします(簡略化するために、株数は全て1株とします。原理は同じですから)。既に持っている株式があって、その取得価格が100円ということですね。Aが110円で売りに出したらBが買い、同様に、Bは120円で売りに出したらCが買い、Cが130円で売りに出したらDが買いました。そうすると、結果的にはAが売った株がDに移ってきたことになり、ダイレクトにDに130円で売ったのと同じですね。値上がりは、30円です。
売買代金は、AがBに売り、BがCに売り、CがDに売ったので、合計110+120+130=360円となります。AがDに130円で売ると売買代金は130円に過ぎません。ですが、両方とも同じ30円の値上がりです。つまり、中間の売買は値上がり金額には直接関係がないのです。
Aの行動で見ると、Aが株式をマーケットXに戻して、マーケットから110円を引き出しました。Bはマーケットに110円を投入し、120円を引き出しました。Cは同様に120円投入し、130円引き出しました。Dは130円を投入しました。つまり、A、B、Cは引き出したお金が投入金額よりも多いので、その差額は値上がりということになります。AがダイレクトにDに130円で売った場合には利益が30円ですが、A~Dまでに経由されていると、それぞれ10円ずつ利益を分散したことになりますね。マーケットXに投入した金額はAが100円、Bが110円、Cが120円、Dが130円ですが、A、B、Cはそれぞれ110円、120円、130円を引き出していますから、マーケットX内部には最初の100円が残されているだけです。
結局、マーケット内部に提示される金額を見て、満足出来そうな時に、株をマーケットXに戻す、ということになりますね。
上の記事を書いた記者氏は、売買代金が増加すれば値上がりと思い込んでる節がありますが、売買代金は経由する取引が増えれば増加しますが、それが値上がりに直結する訳ではありませんね。上の例でAからDまで各々差額5円のマイナスで売ってしまうとすれば、売買代金は95+90+85=270円となって、AがDに130円で直接売った時よりも2倍以上の売買代金ですが、株価は85円と値下がりしています。こういう理屈なんですが、「株高演出は個人投資家」と裏付けてる訳ですね(笑)。
一応今年は外国人が相当買い越してると思いますが、個人はどうでしょうか?売り越しが多ければ、先の例で見た通り、「値上がり演出」には全く無関係であり(逆に値下げ方向への圧力ですね)、マーケットXから金を引き揚げる額の方が流入額よりも多い、ということになりますからね。
ネットで売買を繰り返す個人投資家の影響力は、株価上昇にはむしろマイナスかもしれません。何故かと言えば、容赦なく売ってくるからですね。マーケットXから直ぐに金を引き揚げてしまうからです。マーケットXに金がより多く残っている状態が「値上がり」ですから、昔みたいに長く持っていると(=マーケットに金が留まった状態)「売り方」が少ないので、早く値が上がっていくかもしれません。
ネットでの取引が増えて、売買高は昔の上昇相場とは格段に違いますね。利益も細切れにされてしまっているかもしれません。1人がドーンと儲けるのではなく、多くの人々に小さく分かれているかもしれません。先の例でみれば、Aが30円の利益を手にしていた時代から、三者に10円ずつになっているかもしれない、ということです。ただ、個人投資家の成績にも偏りはあると思いますが。やっぱり、特定の人だけが利益を手にしているのでしょうか?
まあ、いいや。また後で。
追加です。
一応資料を調べてみました。日証協の資料では、個人は今年かなりの売り越しなんではないかな?マイナスってのは、売りが多い、ってことでしょ?つまり、過去の損失を抱えていた株式をかなり売ってる、ということなのではないかな?
外国人が買い越しなのは、事実のようです。
NIKKEI NET:経済ニュース
個人が2兆円以上の売り越し、外国人が9兆円の買い越し、ということならば、買いが優勢なのだろうと思います。値上がりの主たる要因は、やっぱり外国人であり、10月単月で見ても18兆円も買っていますからね。
記者は、何をもって「裏付けられた」と判断したのでしょうかね。まさか、昨今の雑誌記事やテレビなどの情報に引っかかったのかな?
2)GDPギャップは解消された?
内閣府が試算してみたんだと。
NIKKEI NET:経済ニュース
以下に、記事より一部抜粋します。
景気回復を背景に個人消費など需要が堅調に増える一方、供給面では過剰な企業設備のスリム化が進み、日本経済の需給が引き締まってきた。需給が釣り合ってくるのに合わせ、デフレ圧力も和らいでいる。エコノミストの間では、来年にも経済は需要不足から供給不足に転じるとの見方が多い。
GDPギャップについては、この前ちょっと記事で触れました。
雇用改善とULC
ギャップほぼ解消ということで、良い方向へ向かってきているようですので、よかったですね。内閣府は経済財政担当でもありますから、きちんと調べているでしょう。少なくとも私の勝手な憶測よりも、信頼性が高いですね。でも、結構タイムリーな話題でしたのですね。いい勘してたかも、と自画自賛(笑)。
どうしても個人投資家を悪者に仕立てたいらしい。
Yahoo!ニュース - 時事通信 - ネット取引、最高更新=05年度上期の株式売買代金-日証協
こういう記事を書く記者というのは、本当に仕組みが判っているのだろうか?株式取引の説明なんぞをしても仕方ないのであるが、このままでは、「ネットを通じて売買を繰り返す個人投資家が、株高を演出したことを改めて裏付けた」と記事中でガッチリ裏付けられてしまって、個人投資家が悪者にされると思うので、一応書いてみようと思う。
まず、株式売買の原理というか簡単な仕組みを例で示します。「マーケットX」という場があり、そこには株式が存在しているとします。通常個人はこのマーケットXに購入代金を支払うと、株式で返されます。百万円をマーケットXに入れると、その時点で百万円の価値を持つ株式が貰えるということです。売るときは株式をマーケットXに戻して、お金を返してもらえるということになります。
Aという人が過去のある時点で株式を100円で取得していたとします(簡略化するために、株数は全て1株とします。原理は同じですから)。既に持っている株式があって、その取得価格が100円ということですね。Aが110円で売りに出したらBが買い、同様に、Bは120円で売りに出したらCが買い、Cが130円で売りに出したらDが買いました。そうすると、結果的にはAが売った株がDに移ってきたことになり、ダイレクトにDに130円で売ったのと同じですね。値上がりは、30円です。
売買代金は、AがBに売り、BがCに売り、CがDに売ったので、合計110+120+130=360円となります。AがDに130円で売ると売買代金は130円に過ぎません。ですが、両方とも同じ30円の値上がりです。つまり、中間の売買は値上がり金額には直接関係がないのです。
Aの行動で見ると、Aが株式をマーケットXに戻して、マーケットから110円を引き出しました。Bはマーケットに110円を投入し、120円を引き出しました。Cは同様に120円投入し、130円引き出しました。Dは130円を投入しました。つまり、A、B、Cは引き出したお金が投入金額よりも多いので、その差額は値上がりということになります。AがダイレクトにDに130円で売った場合には利益が30円ですが、A~Dまでに経由されていると、それぞれ10円ずつ利益を分散したことになりますね。マーケットXに投入した金額はAが100円、Bが110円、Cが120円、Dが130円ですが、A、B、Cはそれぞれ110円、120円、130円を引き出していますから、マーケットX内部には最初の100円が残されているだけです。
結局、マーケット内部に提示される金額を見て、満足出来そうな時に、株をマーケットXに戻す、ということになりますね。
上の記事を書いた記者氏は、売買代金が増加すれば値上がりと思い込んでる節がありますが、売買代金は経由する取引が増えれば増加しますが、それが値上がりに直結する訳ではありませんね。上の例でAからDまで各々差額5円のマイナスで売ってしまうとすれば、売買代金は95+90+85=270円となって、AがDに130円で直接売った時よりも2倍以上の売買代金ですが、株価は85円と値下がりしています。こういう理屈なんですが、「株高演出は個人投資家」と裏付けてる訳ですね(笑)。
一応今年は外国人が相当買い越してると思いますが、個人はどうでしょうか?売り越しが多ければ、先の例で見た通り、「値上がり演出」には全く無関係であり(逆に値下げ方向への圧力ですね)、マーケットXから金を引き揚げる額の方が流入額よりも多い、ということになりますからね。
ネットで売買を繰り返す個人投資家の影響力は、株価上昇にはむしろマイナスかもしれません。何故かと言えば、容赦なく売ってくるからですね。マーケットXから直ぐに金を引き揚げてしまうからです。マーケットXに金がより多く残っている状態が「値上がり」ですから、昔みたいに長く持っていると(=マーケットに金が留まった状態)「売り方」が少ないので、早く値が上がっていくかもしれません。
ネットでの取引が増えて、売買高は昔の上昇相場とは格段に違いますね。利益も細切れにされてしまっているかもしれません。1人がドーンと儲けるのではなく、多くの人々に小さく分かれているかもしれません。先の例でみれば、Aが30円の利益を手にしていた時代から、三者に10円ずつになっているかもしれない、ということです。ただ、個人投資家の成績にも偏りはあると思いますが。やっぱり、特定の人だけが利益を手にしているのでしょうか?
まあ、いいや。また後で。
追加です。
一応資料を調べてみました。日証協の資料では、個人は今年かなりの売り越しなんではないかな?マイナスってのは、売りが多い、ってことでしょ?つまり、過去の損失を抱えていた株式をかなり売ってる、ということなのではないかな?
外国人が買い越しなのは、事実のようです。
NIKKEI NET:経済ニュース
個人が2兆円以上の売り越し、外国人が9兆円の買い越し、ということならば、買いが優勢なのだろうと思います。値上がりの主たる要因は、やっぱり外国人であり、10月単月で見ても18兆円も買っていますからね。
記者は、何をもって「裏付けられた」と判断したのでしょうかね。まさか、昨今の雑誌記事やテレビなどの情報に引っかかったのかな?
2)GDPギャップは解消された?
内閣府が試算してみたんだと。
NIKKEI NET:経済ニュース
以下に、記事より一部抜粋します。
景気回復を背景に個人消費など需要が堅調に増える一方、供給面では過剰な企業設備のスリム化が進み、日本経済の需給が引き締まってきた。需給が釣り合ってくるのに合わせ、デフレ圧力も和らいでいる。エコノミストの間では、来年にも経済は需要不足から供給不足に転じるとの見方が多い。
GDPギャップについては、この前ちょっと記事で触れました。
雇用改善とULC
ギャップほぼ解消ということで、良い方向へ向かってきているようですので、よかったですね。内閣府は経済財政担当でもありますから、きちんと調べているでしょう。少なくとも私の勝手な憶測よりも、信頼性が高いですね。でも、結構タイムリーな話題でしたのですね。いい勘してたかも、と自画自賛(笑)。