現在医療制度改革の記事は途中になっていますが、いずれ医業(歯科医業)について書こうと思ってました。木村氏の記事に関係がちょっとありそうなので、少し書いてみようと思います。
今年だったと思いますが、ある大きな病院(大学とかであったような気がする)で心臓手術のような循環器系の手術だったと思うが(記憶が定かではありません)、手術の助手としてその分野では著名な外国人医師が入り「医師法違反ではないか」とニュースになっていたと思います。このとき問題になったのは、医師法第17条の「医師でなければ、医業をしてはならない」という規定に抵触する恐れがあるということであろうと思います。
専門外なので詳しくは分りませんが、「医業」の定義については法学的に諸説があるようで現在も正確に決まっているわけではありません。行政が法解釈を下す時にどの説に則って判断しているのかも不明(公表されているわけではなく、通知等でも正確な記述がないため)です。
過去の判例に見てみると、仙台高裁昭和28(1953)年1月14日判決(高裁刑事判決特報35号3頁)では、「医師でなければ,医業をしてはならない。」、「『医業』とは,医行為を業とすることであり,『医行為』とは,当該行為を行うにあたり,医師の医学的判断および技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼすおそれのある一切の行為である。」と定義している。
時代がまるで違うので必ずしも現在の法的解釈と合致しているものであるか不明であるが、この判決で見ると業というものが反復継続性の意思を持つかどうかによるので、法的にはたった一度の行為であっても「業」とみなされることが一般的解釈で利益や報酬の有無には関係なく、「医行為」をその意志を持って行えば、医業に該当するということになるようである。
従って、著名な外国人医師が特別な技術を要する手術を日本各地でデモンストレーションして回ることは許されていない、といえる。これが歯科医業であっても同様の考え方、規定であろうと判断される(因みに歯科医師法では第17条規定である)。
この法的問題をクリアするためには当然免許が必要となるが、アメリカでは各州ごとに免許が決められており、その州でしか医業を行うことが出来ない場合と、他の州の免許があればその州の試験に合格すると医業が可能な場合があり、州法で決められていると思う。国内の統一性は全く無く、外国人医師についても同様の考え方(どの国の免許を取得しているかは決まっているかもしれない)となっていることが多い(アメリカって行ったことないですが、州が違えば外国に行くのと同じような感じなんですかね)。
日本国内で特定の国(アメリカとか北欧などの医療先進国とか、インドも先進国ですね)の免許を取得している外国人に、特別な資格(デモンストレーションや講習のためだけの)を附与すると仮定して、もの凄く不都合があるかと言われたらそうでもないと思う。今までは国外でしか出来ないような手術とかを国内で出来るようになれば、患者の利益につながることもあるかもしれない(患者がそのデモンストレーション手術を希望するかどうかは不明であるが)。
法的にはいくつか問題を考えなければならないかもしれない。トラブルが発生した場合に、どの人間が責任を負うかである。デモをお願いした日本人?手術した外国人?法的責任の所在を予め決めておく必要がある。また、十分なエビデンスが確保されているとは言えないような医療をこうした外国人医師を通じて日本国内に持ち込まれるか実践されることを、どこでコントロールするかについても考えておく必要がある。実施前に内容を倫理委員会等に申請するような制度が必要かもしれない。
他の問題としては、国の行政制度についてであるので、法改正等が必要になるかもしれないことも行政側が踏み切れない理由であるかもしれない。また、外国で標準的に行われているような医療技術を獲得してきたのは、現在までは日本人医師が外国に留学や研究に行って日本に持ち帰ったものであり、そのやり方を行政が積極的に変えて、行政の責任において新たな制度をつくることに抵抗があるのかもしれない。通常医師の能力は均一ではなく、医療過誤事件などに見られるように、能力不足を指摘される事態も稀ではない。行政が見るところはそうした普遍的な問題であり、当然ながら保険制度には入っていない特殊な手技を必要とする治療法は、個人の努力で行って下さいというのが現状なのかもしれない。
歯科の治療は命に関わる問題ではないことが圧倒的に多いが、先天性心疾患などで小児の心臓移植手術は外国でしかできないなどの重大な問題もあることも事実である。行政の公平性や普遍性は大切なことではあるが、少数の国民利益も考えることもまた必要な場合もあると言える。
歯科治療については、それほどの逼迫した状態ではないと考えられるので、行政の手順としては後回しであろう。特に官僚は「前例がない」ということについて、非常に敏感な生き物であろうと推測されるからです。
今年だったと思いますが、ある大きな病院(大学とかであったような気がする)で心臓手術のような循環器系の手術だったと思うが(記憶が定かではありません)、手術の助手としてその分野では著名な外国人医師が入り「医師法違反ではないか」とニュースになっていたと思います。このとき問題になったのは、医師法第17条の「医師でなければ、医業をしてはならない」という規定に抵触する恐れがあるということであろうと思います。
専門外なので詳しくは分りませんが、「医業」の定義については法学的に諸説があるようで現在も正確に決まっているわけではありません。行政が法解釈を下す時にどの説に則って判断しているのかも不明(公表されているわけではなく、通知等でも正確な記述がないため)です。
過去の判例に見てみると、仙台高裁昭和28(1953)年1月14日判決(高裁刑事判決特報35号3頁)では、「医師でなければ,医業をしてはならない。」、「『医業』とは,医行為を業とすることであり,『医行為』とは,当該行為を行うにあたり,医師の医学的判断および技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼすおそれのある一切の行為である。」と定義している。
時代がまるで違うので必ずしも現在の法的解釈と合致しているものであるか不明であるが、この判決で見ると業というものが反復継続性の意思を持つかどうかによるので、法的にはたった一度の行為であっても「業」とみなされることが一般的解釈で利益や報酬の有無には関係なく、「医行為」をその意志を持って行えば、医業に該当するということになるようである。
従って、著名な外国人医師が特別な技術を要する手術を日本各地でデモンストレーションして回ることは許されていない、といえる。これが歯科医業であっても同様の考え方、規定であろうと判断される(因みに歯科医師法では第17条規定である)。
この法的問題をクリアするためには当然免許が必要となるが、アメリカでは各州ごとに免許が決められており、その州でしか医業を行うことが出来ない場合と、他の州の免許があればその州の試験に合格すると医業が可能な場合があり、州法で決められていると思う。国内の統一性は全く無く、外国人医師についても同様の考え方(どの国の免許を取得しているかは決まっているかもしれない)となっていることが多い(アメリカって行ったことないですが、州が違えば外国に行くのと同じような感じなんですかね)。
日本国内で特定の国(アメリカとか北欧などの医療先進国とか、インドも先進国ですね)の免許を取得している外国人に、特別な資格(デモンストレーションや講習のためだけの)を附与すると仮定して、もの凄く不都合があるかと言われたらそうでもないと思う。今までは国外でしか出来ないような手術とかを国内で出来るようになれば、患者の利益につながることもあるかもしれない(患者がそのデモンストレーション手術を希望するかどうかは不明であるが)。
法的にはいくつか問題を考えなければならないかもしれない。トラブルが発生した場合に、どの人間が責任を負うかである。デモをお願いした日本人?手術した外国人?法的責任の所在を予め決めておく必要がある。また、十分なエビデンスが確保されているとは言えないような医療をこうした外国人医師を通じて日本国内に持ち込まれるか実践されることを、どこでコントロールするかについても考えておく必要がある。実施前に内容を倫理委員会等に申請するような制度が必要かもしれない。
他の問題としては、国の行政制度についてであるので、法改正等が必要になるかもしれないことも行政側が踏み切れない理由であるかもしれない。また、外国で標準的に行われているような医療技術を獲得してきたのは、現在までは日本人医師が外国に留学や研究に行って日本に持ち帰ったものであり、そのやり方を行政が積極的に変えて、行政の責任において新たな制度をつくることに抵抗があるのかもしれない。通常医師の能力は均一ではなく、医療過誤事件などに見られるように、能力不足を指摘される事態も稀ではない。行政が見るところはそうした普遍的な問題であり、当然ながら保険制度には入っていない特殊な手技を必要とする治療法は、個人の努力で行って下さいというのが現状なのかもしれない。
歯科の治療は命に関わる問題ではないことが圧倒的に多いが、先天性心疾患などで小児の心臓移植手術は外国でしかできないなどの重大な問題もあることも事実である。行政の公平性や普遍性は大切なことではあるが、少数の国民利益も考えることもまた必要な場合もあると言える。
歯科治療については、それほどの逼迫した状態ではないと考えられるので、行政の手順としては後回しであろう。特に官僚は「前例がない」ということについて、非常に敏感な生き物であろうと推測されるからです。
医療関係従事者の資格は国家資格ですので、その国に認定される必要があるようです。
昔、サンフランシスコにいたレジデンスに北海道からの小児科の先生がいて、アメリカで研究をするため(小児科を極めようとしたら日本よりもアメリカかカナダの方がよいとのことでした)、まず資格を取るための勉強をされているとのことでした。
医療関係で言いますと、医薬品なども日本とアメリカそれぞれで承認しなければなりません。ヨーロッパは最近は1つの国で承認が下りれば、他のEU加盟国では審査が簡単なようです。さらに日米欧の3つの地域で医薬品の申請データを出来る限り共用しようとするためのガイドライン作りが試みられています。
ただ、私のブログでも話題になりました通り、日本で承認されていない薬が日本で使えないわけでなく、保険は利かないものの個人輸入といった道も開けています。
今後、人の流動性が高くなれば医療従事者の資格もユニバーサルなもの(例えばWHO認定)が必要になってくるかもしれません。
P.S.
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おかげさまで、こちらもブログを通じてより広い世界を見させて頂いております。