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続々・Fukushimaは人災か~1号機の疑問

2011年05月18日 12時56分13秒 | おかしいぞ
1号機の非常用復水器の起動と停止などが行われていた、という報道がなされた。
東電は、これまでのデータ等の資料を公表した、ということらしいが、それは専門的知識のある人間が読み込んでみなければ、どういうことがあったかというのは、正しく分かるものではないだろう。

手術等の記録を見る時、医師の書いたカルテや手術記録や麻酔チャートなどを一般人がいくら見たって、正確に読み取ることはできないだろう。専門知識がないと無理だ。どういう役割や意味があるのか、といったことも解説をしてもらわねば分かるわけがない。これと同じで、東電の公表データは専門的な知識のある人間が評価しなければ、一般人が理解できるような情報とはならないだろう。

ただし、公開したことについては評価できうる。
過去の隠してきたことよりも、まだマシだ。本当に全てを公表しているかどうかは、分からないわけだが。

とりあえず、これまでの報道から気になったことや疑問点について、書いておきたい。

asahi.com(朝日新聞社):地震・原子炉圧力上昇・津波…東電、データ4冊分公表 - 社会

東日本大震災:福島第1原発事故 1号機、冷却装置を手動停止 津波前、炉圧急低下し - 毎日jp(毎日新聞)


これら報道からすると、やはり疑問は残る。


◎ 『14:52 非常用復水器』の自動起動は何故起こったのか?


地震発生後、直ちにスクラムというのは、安全装置が機能したということである。それに続いて、停電発生の為、外部電源喪失となったということで、非常用ディーゼル発電機(以下、D/Gと略)の自動起動となった、と。これらは、運転中であった1~3号機で事前の想定通りに機能した、ということである。ここまではいい。

津波の襲ってくる15時半頃までには、D/Gは「冠水せず、燃料タンクも流されていなかった」のであり、正しく機能していたならば、電源は確保されていたはずである。だって、発電機が高電圧で給電するわけだから。

すると、どうなると思うか?

スクラム後の炉心冷却には、普通であればECCSが働くはずだろう、ということである。
これは、主として低圧/高圧スプレイ(注水?)系があるとされる。これがまず働くであろう、ということだ。
なのに、自動起動したD/Gによる発電開始から、僅か数分で「非常用復水器が自動起動」したというのは、どうしてなのだろうか?

つまり、地震発生直後から、D/Gによる発電は開始されたにも関わらず、施設内に給電されていたかどうかは疑問なのである。これは、昨年6月に起こった2号機の事故(*)とほぼ同じなのだ。

(*:東電の説明によれば、付近で作業していた人が歩いただか乗ってただか、それくらいの軽微な振動でスイッチング機器が切り替えできなくなって、外部電源喪失状態と同じくなったみたいなのだ。そんな程度の振動とかが原因で正しく動かなくなるのなら、もっと大きな地震だったらどうすんのよ、という話だな。きっと、そういう問題なんかじゃなかったと思うよ。)

緊急停止すると、外部電源があれば非常用ディーゼルは待機運転を開始、ということだけでいいはずで、給電は外部電源から行うはずなのである。自動起動するのと、給電は外部電源が行うのか、D/Gが行うのかは、外部電源の喪失の有無によるはずなのだ。6月の2号機事故の時には、外部電源があったのに、D/G起動しこちらからの給電もされず、外部電源とD/Gの両方が「生きている」にも関わらず、交流電源喪失と同様の状態となって「隔離時冷却系(RCIC)」を起動して冷却した、ということなのだ。

今回の1号機のD/G起動後であっても、やはり給電がされていなかったかもしれず、その為に各種センサー等からの情報が働いて、非常用復水器の自動起動を招いたのではないか、というのが当方の推測である。つまりは、非常用電源はあったのに、ECCSが機能せず、その為非常用復水器を使わざるを得なくなったのではないか、ということだ。

このことは、余計に危険性を高めることになったかもしれない。運転員たちは、この非常用復水器に慣れていたかどうか、ということがあるからだ。あまり使ったことのない機器とか道具類というのは、信頼性とか操作する側の自信とかに影響を与えるからである。

使用感が分からない、というのが一番あるだろう。調節系のものって、多くがそうだろうな、と思う。程度が分かり難い、というのもあるし。
喩えて言えば、普段軽自動車の運転しかしてないのに、初めて4トントラックの運転をやってみたら、アクセルペダルの踏み込み具合とか、ブレーキ時の止まり具合とか、そういう感覚とか体感具合がよく分からず、違いがあって不安になる、というようなことだな。いつもなら軽自動車で止まれる距離だと思っていたのに、トラックだと全然止まれない、みたいな。そういうので、ちょっとヒヤッとしたり、恐怖感を感じると、操作する側の心理的影響はあるだろう、ということだ。


15時前後までの僅か数分間に、非常用復水器を手動で停止したりしていたと推測されるのは、そうした影響があったのか、それともECCSが何故機能していないのか分からずにパニくってしまったとか、そうした迷いや逡巡のようなものがあった可能性が推測されるのである。

仮に、非常用復水器が起動しているとECCSのポンプが使えないとか機能させられないとか、そうした不都合があるならECCSを優先させようとして非常用復水器を止めようと考えたりすることも不思議ではないからね。運転員たちにとっては、D/Gがきちんと起動しているのに、どうしてECCSが働いてないのかが不明だったから、それは地震で何がが壊れたせいなのか、元々の回路や設計の問題なのか、見分けがつかないから。
そうして、津波に襲われたということなんだろう。

それから、原子炉の損傷を避けるため、というような理由が書かれているのだが、そんなことの理由で非常用復水器を止めるとは考え難いんじゃないのかな?
それまで猛烈な高温で運転していたわけでしょう?
それが、たったの数分の復水器の作動だけで、急激に冷却ができたとも思えないわけですよ。普通であれば、もっと大量にシャワーみたいな水を降り注ぐわけでしょう?それができなくて、やむなく発生蒸気を冷やして水にし、それを戻すという装置が非常用復水器なんですよね?
その程度の冷却では、10分やそこらで急激に温度低下、急減圧、なんてことは起こるんですかね?そんなに簡単に冷やせるなら、もっと楽々冷温停止ができそうだけど。

風呂釜で湯を沸かしたりしたことはないのかな?(笑)
原子炉全体の温度がかなり高いはずで、そういうのが一気に冷えると思うか?そりゃあ、難しいんじゃないですかね。相当大量の水でもって冷却を続けるならできるだろうけど、長時間かかるんじゃないかと思うけど。
圧力容器全体の温度が冷えるまでには時間がかかるはずだし、熱けりゃ内部の蒸気発生は継続するはずだから、急減圧が起こるとも思えないんだよね。
金属鋳造とかで急激な冷却で金属が収縮し変形や損傷ということを危惧する、という場合、その金属全体の熱を奪うのに十分な量の水を必要とするから、そうそう簡単に温度が低下しすぎて原子炉損傷を気にする、なんてのは、ウソっぽいとしか思えないわけだが。

焼肉の鉄板を洗うのに、水をかけて冷やすよね?
あの鉄板の体積の何十分の一程度しかない水をかけたって、あっという間にジュっと音を立てて蒸発してしまって終わりじゃないの?、という話さ。一瞬にして冷える程の冷却効果はないはずだ、ということ。非常用復水器の冷却効果は、熱くなってるヤカンから出る湯気を集めて冷やし、その水をヤカンに戻して全体の温度を下げる、というようなものなんですから。



東電の説明では、疑問を解消できない、ということだ。





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