今日の読売新聞朝刊に『緊急事態「統合情報会議」設置』の記事がありました。
以下に一部抜粋を記します。
自民、公明、民主の3党は9日、大規模テロや大災害などに対処する政府の基本方針を定める「緊急事態基本法案」の概要を固めた。
3党がまとめた概要によると、大量破壊兵器によるテロや大規模な災害など国家的な緊急事態が発生した場合、閣議の手続きなどを簡略化し、首相が機動的に自衛隊や警察、各省庁を指揮できるようにする規定を法案に明記する。
また、緊急事態に備えた政府の情報分析・評価体制について、3党は「各省庁がばらばらに情報の評価などを行う現状を改め、政府として統一した対応をすべきだ」との見方で一致。〈1〉官房長官を議長とし、外相、防衛長官ら関係閣僚が加わる統合情報会議を新たに設ける〈2〉統合情報会議が定期的に、政府が集めた情報を分析・評価し、政府の対応を決定する――との規定を盛り込むことにした。統合情報会議は、特定の情報を優先的に収集するよう関係省庁に指示したり、警察や自衛隊の出動を首相に進言したりできるようにする。
また、同会議の下に統合情報本部を設け、情報担当の専門家らが警察庁や外務省、防衛庁などの集めた情報を一括して分析・評価する体制を整える。内閣情報調査室の陣容を拡大し、同本部に再編する案が浮上している。これに伴い、官房長官を議長とする既存の「内閣情報会議」、各省庁情報担当幹部らによる「合同情報会議」は新組織に再編・吸収されることになる。
以前私は民主党が掲げた情報相の批判(情報担当相って?)をしたことがありましたが、今回は3党合意を図り法整備をしていくようです。
その記事でも触れましたが、安全保障会議設置法によって安全保障会議と事態対処専門委員会の存在が法的に規定されています。これらと、上の「統合情報会議及び同本部」とがどのような関係になるのかは不明です。以下に安全保障会議設置法の一部を抜粋します。
第一条 国防に関する重要事項及び重大緊急事態への対処に関する重要事項を審議する機関として、内閣に、安全保障会議(以下「会議」という。)を置く。
注:このように「重大緊急事態」について言及されているため、既にその機能を有していると考えられます。
第二条 内閣総理大臣は、次の事項については、会議に諮らなければならない。
一 国防の基本方針
二 防衛計画の大綱
三 前号の計画に関連する産業等の調整計画の大綱
四 武力攻撃事態等(武力攻撃事態及び武力攻撃予測事態をいう。以下同じ。)への対処に関する基本的な方針
五 内閣総理大臣が必要と認める武力攻撃事態等への対処に関する重要事項
六 その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項
七 内閣総理大臣が必要と認める重大緊急事態(武力攻撃事態等及び前号の規定により国防に関する重要事項としてその対処措置につき諮るべき事態以外の緊急事態であつて、我が国の安全に重大な影響を及ぼすおそれがあるもののうち、通常の緊急事態対処体制によつては適切に対処することが困難な事態をいう。以下同じ。)への対処に関する重要事項
注:この第4、5、7号の規定で既に武力攻撃(予測でも可)、テロ攻撃や他の国家的緊急事態(大規模災害等)についての規定がなされているように思います。
第五条 議員は、次に掲げる者をもつて充てる。
一 内閣法 (昭和二十二年法律第五号)第九条 の規定によりあらかじめ指定された国務大臣
二 総務大臣
三 外務大臣
四 財務大臣
五 経済産業大臣
六 国土交通大臣
七 内閣官房長官
八 国家公安委員会委員長
九 防衛庁長官
2 議長は、必要があると認めるときは、前項に掲げる者のほか、同項に掲げる国務大臣以外の国務大臣を、議案を限つて、議員として、臨時に会議に参加させることができる。
3 議長は、前二項の規定にかかわらず、第二条第一項第四号から第七号までに掲げる事項(同項第六号に掲げる事項については、その対処措置につき諮るべき事態に係るものに限る。第八条第二項において同じ。)に関し、事態の分析及び評価について特に集中して審議する必要があると認める場合は、第一項第一号、第三号及び第六号から第九号までに掲げる議員によつて事案について審議を行うことができる。ただし、その他の同項又は前項に規定する議員を審議に参加させるべき特別の必要があると認めるときは、これらの議員を、臨時に当該審議に参加させることを妨げない。
注:総務・財務・経産以外の閣僚で、第2条に規定されている事項(第4~7号)に関して集中的に審議(主に早急に決めるべき事態ですね)することが出来ます。議長は総理大臣です。死んだり欠けた場合は、第1号の国務大臣です(副総理?かな)。
第七条 議長は、必要があると認めるときは、統合幕僚会議議長その他の関係者を会議に出席させ、意見を述べさせることができる。
注:必要があるときは、防衛庁からの意見を述べることができることになっています。
(事態対処専門委員会)
第八条 会議に、事態対処専門委員会(以下「委員会」という。)を置く。
2 委員会は、第二条第一項第四号から第七号までに掲げる事項の審議及びこれらの事項に係る同条第二項の意見具申を迅速かつ的確に実施するため、必要な事項に関する調査及び分析を行い、その結果に基づき、会議に進言する。
3 委員会は、委員長及び委員をもつて組織する。
4 委員長は、内閣官房長官をもつて充てる。
5 委員は、内閣官房及び関係行政機関の職員のうちから、内閣総理大臣が任命する。
注:この委員会がほとんどの緊急事態に対して対処する機能を持っていると考えられます。ただし、常設組織ではないのかもしれません。法的には会議が存在する限り、設置が可能と思われます。また、安全保障会議の議長・議員は非常勤と規定されています(総理とか閣僚が交代するからでしょう)。官房長官を委員長とする専門的な委員(行政機関職員)から構成されており、調査・分析・意見を進言することになっています。
第十条 会議に関する事務は、内閣官房において処理し、命を受けて内閣官房副長官補が掌理する。
注:これは、この通りですね。内閣官房副長官補がこんな重要任務があるのですね(こんな役職も知りませんでしたが)。
この他に内閣情報調査室(ハードボイルドとか漫画とかでお馴染みですね)、官房長官が議長の「内閣情報会議」、各省庁情報担当幹部等による「合同情報会議」があり、今後吸収再編予定とのことです。結構色々な組織が存在していますから、法制面でも組織面でも運用効率の高い組織に再編していくことは賛同できます。「外交とインテリジェンス」が重視されますから、それを支える組織は最重要部門でしょう。
また、緊急事態での対応は勿論大切ですが、テロ対策でも述べたように、危機を「未然に防ぐ」という視点から平時における情報管理・分析評価を軽視するべきではないと思います。「9.11」においては事前情報はあったとされており、また国内においては「地下鉄サリン事件」が起こったとき警察(公安)当局が掴んでいた情報はあったと思う。これら事例では、情報をどのように処理したか、どのように重大な事態に陥るかが示されているかもしれない。完全に防ぐことが難しいとしても、それに近づけられる体制作りが必要です。
在外公館からは定期的にレポートや重要情報の連絡が入っているとは思いますが、政府関係者以外にも、現地軍事関係者や諜報機関関係者の情報、現地日本企業関係者からの情報等、集められるところはあらゆるツテを使って収集に当たるべきでしょう。
これを機会に、「安全保障会議」の確認・位置づけと、通常国会で成立予定の「緊急事態基本法」について整理して、組織作りを考えてほしいと思います。
以下に一部抜粋を記します。
自民、公明、民主の3党は9日、大規模テロや大災害などに対処する政府の基本方針を定める「緊急事態基本法案」の概要を固めた。
3党がまとめた概要によると、大量破壊兵器によるテロや大規模な災害など国家的な緊急事態が発生した場合、閣議の手続きなどを簡略化し、首相が機動的に自衛隊や警察、各省庁を指揮できるようにする規定を法案に明記する。
また、緊急事態に備えた政府の情報分析・評価体制について、3党は「各省庁がばらばらに情報の評価などを行う現状を改め、政府として統一した対応をすべきだ」との見方で一致。〈1〉官房長官を議長とし、外相、防衛長官ら関係閣僚が加わる統合情報会議を新たに設ける〈2〉統合情報会議が定期的に、政府が集めた情報を分析・評価し、政府の対応を決定する――との規定を盛り込むことにした。統合情報会議は、特定の情報を優先的に収集するよう関係省庁に指示したり、警察や自衛隊の出動を首相に進言したりできるようにする。
また、同会議の下に統合情報本部を設け、情報担当の専門家らが警察庁や外務省、防衛庁などの集めた情報を一括して分析・評価する体制を整える。内閣情報調査室の陣容を拡大し、同本部に再編する案が浮上している。これに伴い、官房長官を議長とする既存の「内閣情報会議」、各省庁情報担当幹部らによる「合同情報会議」は新組織に再編・吸収されることになる。
以前私は民主党が掲げた情報相の批判(情報担当相って?)をしたことがありましたが、今回は3党合意を図り法整備をしていくようです。
その記事でも触れましたが、安全保障会議設置法によって安全保障会議と事態対処専門委員会の存在が法的に規定されています。これらと、上の「統合情報会議及び同本部」とがどのような関係になるのかは不明です。以下に安全保障会議設置法の一部を抜粋します。
第一条 国防に関する重要事項及び重大緊急事態への対処に関する重要事項を審議する機関として、内閣に、安全保障会議(以下「会議」という。)を置く。
注:このように「重大緊急事態」について言及されているため、既にその機能を有していると考えられます。
第二条 内閣総理大臣は、次の事項については、会議に諮らなければならない。
一 国防の基本方針
二 防衛計画の大綱
三 前号の計画に関連する産業等の調整計画の大綱
四 武力攻撃事態等(武力攻撃事態及び武力攻撃予測事態をいう。以下同じ。)への対処に関する基本的な方針
五 内閣総理大臣が必要と認める武力攻撃事態等への対処に関する重要事項
六 その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項
七 内閣総理大臣が必要と認める重大緊急事態(武力攻撃事態等及び前号の規定により国防に関する重要事項としてその対処措置につき諮るべき事態以外の緊急事態であつて、我が国の安全に重大な影響を及ぼすおそれがあるもののうち、通常の緊急事態対処体制によつては適切に対処することが困難な事態をいう。以下同じ。)への対処に関する重要事項
注:この第4、5、7号の規定で既に武力攻撃(予測でも可)、テロ攻撃や他の国家的緊急事態(大規模災害等)についての規定がなされているように思います。
第五条 議員は、次に掲げる者をもつて充てる。
一 内閣法 (昭和二十二年法律第五号)第九条 の規定によりあらかじめ指定された国務大臣
二 総務大臣
三 外務大臣
四 財務大臣
五 経済産業大臣
六 国土交通大臣
七 内閣官房長官
八 国家公安委員会委員長
九 防衛庁長官
2 議長は、必要があると認めるときは、前項に掲げる者のほか、同項に掲げる国務大臣以外の国務大臣を、議案を限つて、議員として、臨時に会議に参加させることができる。
3 議長は、前二項の規定にかかわらず、第二条第一項第四号から第七号までに掲げる事項(同項第六号に掲げる事項については、その対処措置につき諮るべき事態に係るものに限る。第八条第二項において同じ。)に関し、事態の分析及び評価について特に集中して審議する必要があると認める場合は、第一項第一号、第三号及び第六号から第九号までに掲げる議員によつて事案について審議を行うことができる。ただし、その他の同項又は前項に規定する議員を審議に参加させるべき特別の必要があると認めるときは、これらの議員を、臨時に当該審議に参加させることを妨げない。
注:総務・財務・経産以外の閣僚で、第2条に規定されている事項(第4~7号)に関して集中的に審議(主に早急に決めるべき事態ですね)することが出来ます。議長は総理大臣です。死んだり欠けた場合は、第1号の国務大臣です(副総理?かな)。
第七条 議長は、必要があると認めるときは、統合幕僚会議議長その他の関係者を会議に出席させ、意見を述べさせることができる。
注:必要があるときは、防衛庁からの意見を述べることができることになっています。
(事態対処専門委員会)
第八条 会議に、事態対処専門委員会(以下「委員会」という。)を置く。
2 委員会は、第二条第一項第四号から第七号までに掲げる事項の審議及びこれらの事項に係る同条第二項の意見具申を迅速かつ的確に実施するため、必要な事項に関する調査及び分析を行い、その結果に基づき、会議に進言する。
3 委員会は、委員長及び委員をもつて組織する。
4 委員長は、内閣官房長官をもつて充てる。
5 委員は、内閣官房及び関係行政機関の職員のうちから、内閣総理大臣が任命する。
注:この委員会がほとんどの緊急事態に対して対処する機能を持っていると考えられます。ただし、常設組織ではないのかもしれません。法的には会議が存在する限り、設置が可能と思われます。また、安全保障会議の議長・議員は非常勤と規定されています(総理とか閣僚が交代するからでしょう)。官房長官を委員長とする専門的な委員(行政機関職員)から構成されており、調査・分析・意見を進言することになっています。
第十条 会議に関する事務は、内閣官房において処理し、命を受けて内閣官房副長官補が掌理する。
注:これは、この通りですね。内閣官房副長官補がこんな重要任務があるのですね(こんな役職も知りませんでしたが)。
この他に内閣情報調査室(ハードボイルドとか漫画とかでお馴染みですね)、官房長官が議長の「内閣情報会議」、各省庁情報担当幹部等による「合同情報会議」があり、今後吸収再編予定とのことです。結構色々な組織が存在していますから、法制面でも組織面でも運用効率の高い組織に再編していくことは賛同できます。「外交とインテリジェンス」が重視されますから、それを支える組織は最重要部門でしょう。
また、緊急事態での対応は勿論大切ですが、テロ対策でも述べたように、危機を「未然に防ぐ」という視点から平時における情報管理・分析評価を軽視するべきではないと思います。「9.11」においては事前情報はあったとされており、また国内においては「地下鉄サリン事件」が起こったとき警察(公安)当局が掴んでいた情報はあったと思う。これら事例では、情報をどのように処理したか、どのように重大な事態に陥るかが示されているかもしれない。完全に防ぐことが難しいとしても、それに近づけられる体制作りが必要です。
在外公館からは定期的にレポートや重要情報の連絡が入っているとは思いますが、政府関係者以外にも、現地軍事関係者や諜報機関関係者の情報、現地日本企業関係者からの情報等、集められるところはあらゆるツテを使って収集に当たるべきでしょう。
これを機会に、「安全保障会議」の確認・位置づけと、通常国会で成立予定の「緊急事態基本法」について整理して、組織作りを考えてほしいと思います。