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尖閣ビデオ流出に思うこと

2010年11月07日 14時23分11秒 | 社会全般
東京新聞:海保と検察 尖閣ビデオ 本物と断定:社会(TOKYO Web)

検察サイドとしては、そりゃあ「ウチじゃない、海保だ、海保がやったんだ」と言いたいに決まっている。だから、徹底捜査をするぞ、とか、言い出すのは当然ということになるだろう。捜査権を持ってるからね、検察は。
それに、海保が身柄拘束した船長を、検察が何のお咎めもなく釈放したことで、海保側としては面子丸潰れと言いますか、面白くなかったというのはあったでしょう。そういう点でも、両者の関係はギクシャクしていた。まあ、この捜査をやっても、恐らく多くの国民は検察を支持しないだろう。


注目の流出経路についてだが、私見を述べておきたい。

海保ではかなりの人員が容易にアクセスできた、といった報道がなされたが、それが何かの証拠を示すわけではない。
関係ないけど、韓国哨戒艦沈没事件での「バブル・ジェット」についての報道を思い出したよ(猛烈な巻き返しですか(笑))。TBSは魚雷攻撃による沈没の実験映像を入手していたわけで、軍隊所有のものをどこからどうやって手に入れたのか、というのは、かなりの疑問なんだよね、といった話なんですわ。ああ、youtubeから、勝手にとってきたって話でしたか?(笑)

これは、まあいい。
もしも自分が証拠ビデオの管理責任者だとして考えてみよう。

まず、オリジナルのデータが最重要となるから、何かの拍子に破損させたり、水浸しにしてしまったり、データの読み取りができなくなったり、といった大問題が発生するんじゃないか、ということを最も恐れるだろう。だから、必ずバックアップを取るに決まってる。なので、すぐさまコピーを作成するだろう、ということ。この時点で、スタート直後から、オリジナルとバックアップのコピー①とが存在する、ということになると思う。

で、この後に映像の解析とか編集作業なんかをやる場合、オリジナルは「絶対的な証拠物件」なので、これは使わない。オリジナルには手を触れずに、コピーした方を使うだろう。作業を効率化する為に、複数にコピーが増やされる可能性もあるだろう。なので、コピー①から更にコピーされるといったことは考えられるだろう。

検察に提出する為の編集、ということもあるだろうし、霞が関での検討に用いる為には、どうしても簡略版のデータを作るだろう。起訴できるかどうか、或いは、起訴後の立証には必ずビデオ映像が必要だからだ。なので、海保がCDに焼いた、というデータが存在するのと、これのコピーが複数取られていたはずだろう、と思われる。それは政府首脳とか官邸のお偉いさん達なんかも見るから、だ。

従って、オリジナルとバックアップ用コピー①の管理を海保でどれほど厳重にしていたとしても、その後の検察サイド、或いは霞が関の偉い人たち及び官邸の住人なんかがそのデータに接触する機会があったものと考えられ、特にダイジェスト版にされたCDが最もコピーされやすいものだったと推測する。特別なCDでデータの読み出しには何か特殊なソフトが必要とか、暗号化を解除する何かが必要とかでなければ、CD自体は無防備ですもんね。これをコピーしたら記録が残ってるというCDなのであればコピーされたかどうかが判るだろうけれども、普通は判らないんじゃないのかな。


説明用に映像を見る時、例えば検察首脳たちはどうやって見ましたか?
自分で、一人ひとりが何かの機械操作をやったりしましたか?本当に自分が見たんですかね?
誰かが何かのパソコンとかに挿入するなりしたか、CDからハードディスクや記憶媒体に移し替えて、スクリーンに映したりしたんじゃないですか?
要するに、検察内部に入ってから検察首脳が見るまでの間でだって、誰かがそのCDを持ち歩いたり、操作したりといった接触機会はいくらでもあったんじゃありませんか、という話ですよ。

別に、検察事務官がやったんじゃないか、とかいう話をしているわけではありません。誰しも機会はあったんじゃないですか、という可能性を言っているのですよ。それは、海保で多人数が容易にアクセスできていた、というのと、大した違いなんかないのではありませんか、ということです。


もしも海保の内部でデータが盗まれていて、海保の誰かが持っていたとしましょうか。
そうするとですね、「何故あの日にアップしたのか」という最大の謎が残ることになるわけですよ。
海保の立場とすれば、釈放は「痛恨事」だったわけですよ。だから、政府の大失態で無策にも釈放となってしまった腹いせを考えるのが普通だろう、ということなのです。釈放直後とか、せめて拘束日本人4人の解放後には「アップできたはず」ということですね。その後に公開するのしないのというので揉めたりしている時期もあったし、国会議員に見せるかどうか紛糾する時期もあったわけで、いくらでも「爆弾投下」が可能であったはずなのに、何故かあの日までは「秘密保持」が維持されてきたということだ。

海保の立場から考えると、もっと早い時期に公開するのが普通の反応ではないか、ということ。


しかし現実には、国会議員向けの「映画の特報」版みたいに短くカットされたものが公開され、それを見た議員の感想や談話なんかがひとしきり報道されて、世の中に「行き渡った後」になってから、尖閣ビデオが公開されたわけだ。
どう考えても、インパクトという点では議員さんたちに見せる前にアップする方がいいに決まっているのだよ。殆ど誰も見てないからこそ、秘密公開としての価値が高い、と思うわけです。なので、海保の線は、最初に「疑い」からは外れるだろう、ということです。そういう考えを見越して、あえて裏をかいてきたのであれば、それはごめんなさい、参りましたってことなんですがね。
でも、一番疑われやすい海保でやりました、って、それは元々の線で危険ってことになり、金田一探偵のいない角川映画みたいになってしまいますな。県警本部の刑事が、「よし、判った」って直ぐに解決できちゃうじゃないの(笑)。


恐らくは、公安部漏洩事件の幕引きを図る必要性があったので、高度な「流出」ネタとしていい素材だったわけだ。「使った手」として考えれば、効果覿面だった。だから、「中々やるな」と言ったのだよ(笑)。


検察への忠告としては、尖閣ビデオ流出事件の「出所」を深追いすると、本格的に深みにハマることになるから、一層の傷を負うことを覚悟することになると思うよ。墓穴を掘るだろう、ってことだな。
それでも逮捕、起訴までもっていきたい、ということなら、やればいいんじゃないか(笑)。
何かの傷を持つ人間はいるだろうから、取引を持ちかければ「自ら名乗り出る」という役目を担ってくれるかもしれんし。




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