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日本文化のユニークさ21:宗教的一元支配がなかった(1)

2011年01月18日 | 相対主義の国・日本
一昨日16日のエントリー「日本の長所は、島国の歴史がつくった」では、日本の長所11項目の中の多くが、日本文化のユニークさのなかでもとくに

(3)大陸から適度に離れた位置にある日本は、異民族(とくに遊牧民族)による侵略、強奪、虐殺など悲惨な体験をもたず、また自文化が抹殺される体験ももたなかった。

に関係して育まれてきたのではないかと述べた。

このエントリーの最後で、日本の長所のうち「10)伝統と現代の共存、外来文化への柔軟性」については、「別の観点から取り上げることになるので、今回は省略する」と書いておいた。実際、この点については、日本文化のユニークさのうち「異民族による侵略がなかったこと」にも関係するが、他の要素とも関係するからそれと合わせて書いた方がよいと思っていた。

だが、あらためて日本の長所「10)伝統と現代の共存、外来文化への柔軟性」と、日本文化のユニークさ4項目とを比べてみると、4項目では何かが足ず、他の大切な要素が抜け落ちていることに気付いた。それが今日のタイトルに掲げた「宗教による一元的支配がなかった」ということだ。

「宗教による一元的支配がなかった」という事実については折に触れて取り上げてきた。次のエントリーでも少し触れている。

マンガ・アニメの発信力と日本文化(4)相対主義(続き)

必要な部分だけ紹介する。日本は、異民族との激しい闘争をほとんど経験してこなかったために、西洋的な意味での神も、イデオロギーも必要としなかった。他民族との戦争を通して、部族の神は、自民族だけではなく世界を支配する正義の神となる。武力による戦いとともに、正義の神相互の殺し合い、押し付け合いが行なわれる。社会は、異民族との戦争によってこそイデオロギー的になる。日本は、異民族との戦争もイデオロギー的な抗争もなしに、自然発生的な村とか共同体に安住することができた。昭和の一時期を除いて、強力なイデオロギーによる文化の一元支配が、長い歴史のなかでほとんどなかったから、多様な文化アイテムを外国から自由に吸収し、並存させることができた。その、一元的にしばられない何でもありのごった煮のような状態から、自由な発想や組み合わせが生まれてくる。

ということでこの事実が、日本の長所「11)マンガ・アニメなどポップカルチャーの魅力とその発信力」につながるもう一つの理由になるのだが、「10)伝統と現代の共存、外来文化への柔軟性」も間接的につながっている。この点については日を変えてあらためてふれる。

また「マンガ・アニメ発信力の理由(5項目)

①生命と無生命、人間と他の生き物を明確に区別しない文化、アニミズム的、多神教的な文化が現代になお息づき、それが作品に反映する。
②小さくかわいいもの、子どもらしい純粋無垢さに高い価値を置く「かわいい」文化の魅力。
③子ども文化と大人文化の明確な区別がなく、連続的ないし融合している。
④宗教やイデオロギーによる制約がない自由な発想と表現と相対主義的な価値観。
⑤民族や言語、階級などによって分断されない巨大で知的な庶民を基盤にする。

の④がこれと重なり、①の「多神教的な文化が息づいている」というもの逆に言えば「一神教的な文化が根づかなかった」ということだ。

このブログは、「日本文化のユニークさ4項目」を大元として、それとの関連で「日本の長所」や「マンガ・アニメの発信力の理由」を考えるという形をとっている。だとすれば「宗教による一元的な支配がなかった」は、その大元の一項目として入れておくべき重要なユニークさだろう。下の(3)の次にこれを入れて、5項目に増やしたい。

(1)狩猟・採集を基本とした縄文文化が、抹殺されずに日本人の心の基層として無自覚のうちにも生き続けている。

(2)ユーラシアの穀物・牧畜文化にたいして、日本は穀物・魚貝型とで言うべき文化を形成し、それが大陸とは違うユニークさを生み出した。

(3)大陸から適度に離れた位置にある日本は、異民族(とくに遊牧民族)による侵略、強奪、虐殺など悲惨な体験をもたず、また自文化が抹殺される体験ももたなかった。

(4)宗教などのイデオロギーによる社会と文化の一元的な支配がほとんどなかった。

(5)西欧の近代文明を大幅に受け入れて、非西欧社会で例外的に早く近代国家として発展しながら、西欧文明の根底にあるキリスト教は、ほとんど流入しなかったこと。

例によって文言については、今後付け加えや変更を必要に応じて行っていくつもりだ。

《関連図書》
ユニークな日本人 (講談社現代新書 560)
日本の曖昧力 (PHP新書)
日本人の人生観 (講談社学術文庫 278)

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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2011-01-19 01:38:20
天皇っていう存在の役割も考えないとな
天皇自体が仏教に寛容だったり、明治時代では天皇自ら西洋化したりしたから文明開化が早かったしたとか・・・
まあ、ひとまず天皇の下で働くって形でやっとかないと権力者も不遜な輩として見なしかねないから無茶な歴史になりにくかったのかも

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