クールジャパン★Cool Japan

今、日本のポップカルチャーが世界でどのように受け入られ影響を広げているのか。WEB等で探ってその最新情報を紹介。

平凡な日本人のレベルの高さ

2009年03月30日 | 全般
前項■ユーモアと愛に溢れる『「ニッポン社会」入門―英国人記者の抱腹レポート (生活人新書)』で一部を引用した朝鮮日報の記事の全文をここに掲載します。

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【コラム】あなたは世界最高ですか?(朝鮮日報;2009/01/02)

昨年初めまで住んでいた東京都中央区佃に、「漆芸(うるしげい)中島」という店がある。はしや食器など、漆器の製造・販売をしている住宅街の典型的な小さな店だったが、店先に水とこんにゃくの入った器を置いているのが特徴だった。

この店の自慢は、檀の木を削って作った「江戸八角箸」。名前の通り、八角形のはしだ。店では、このはしを「何でもつかめる世界最高のはし」と胸を張る。水を張ったこんにゃくは、この言葉を証明するため置いているのだ。はしの先まできちんと八角形に削ってあるので、誰でも濡れたこんにゃくがはしでつかめるようになっている。

「面白い」と思い見ていたところ、その値段に仰天した。材料の檀の質により、はし1膳(ぜん)が3990円から1万3650円もする。しかも、店主が11代目と聞いて、2度驚いた。300年前から子々孫々、はしを作ってきたとは、「世界最高のはし」という言葉は、商売人の大げさな話として聞き流せるようなものではなかった。

韓国の足元が揺らぎ始めた昨年10月、世界最高のすし職人にインタビューしたことがある。世界的なレストラン・ガイドブック「ミシュラン」で最高の三つ星評価を2年連続で受けた水谷八郎さんだ。水谷さんに、すしのすべてとも言える魚とコメに関する話を聞き、日本という国がさらに遠く感じられた。

水谷さんは、自分で魚やコメ選ぶことはないという。「魚はなじみの魚屋の主人が選んでくれるし、コメはなじみの米屋の主人がいろいろな産地のコメを“黄金比”でブレンドしてくれる」そうだ。自身の「握り」の実力がどれだけ優れていても、魚屋の「世界最高の」魚を見る目と、米屋の「世界最高の」ブレンドの腕という基盤がなければ、世界最高にはなれないということだ。水谷さんのすし店も、魚屋も、米屋も、店の規模は決して大きくない。

昨年7月、夏休みでソウルに行き、街でガッカリした。デコボコで泣いている街の大通り、継ぎ目が乱れた歩道のブロック、舗装してあるのにあちこちくぼんで水たまりができている道。今、暮らしている杉並区荻窪は東京都の中心にある町ではないが、そんな道路はめったにない。日本は道路を作る作業員も世界一なのか、それとも韓国の道路作業員の仕事がいい加減なのか。

今、韓国も日本も経済危機に直面しているが、その内実は正反対だ。日本は「円高」、韓国は「ウォン安」で悩んでいる。言い換えれば、日本は上がりすぎた国の信用度と、韓国は下がりすぎた国の信用度と闘っているのだ。これは産業化以降、一貫した流れだった。1980年に2.6倍だった両国の通貨価値の差は、現在14倍まで広がり、韓国は通貨スワップ協定で日本に再び世話になっている。

わたしたち韓国人はいつも「三流の政治」のせいにする。しかし、日本も政治家の実力と実績は客観的に言って三流だ。日本に住んでみると、はし店・魚屋・米屋・工事作業員の努力や実力が、韓国とは明らかに違うように思える。一部の政治家ではなく、国民全員が国の現実に責任を負っているのだ。

外から見ると、韓国は相変らず米中日という不沈空母に守られている帆掛け船のようなものだ。虚勢を張らず、他人のせいにするのもやめ、今年はもう少しクールにそれぞれが自らを省みる必要があるのではないかと思う。今、韓国は10年前のアジア通貨危機時とは違い、自己反省が足りないように見える。だからこそ、もっと危ないかもしれない。

東京=鮮于鉦(ソンウ・ジョン)特派員

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この記事は、一部で少し有名になり、あちこちで取り上げられましたから、どこかで目に触れているかもしれません。「日本は道路を作る作業員も世界一なのか」、「日本に住んでみると、はし店・魚屋・米屋・工事作業員の努力や実力が、韓国とは明らかに違うように思える。一部の政治家ではなく、国民全員が国の現実に責任を負っているのだ」といったところが、日本人自身には見えにくい日本人の特質のようなのです。たんに韓国と比べてということではなく、世界的な視野から見ても同様のことが言えそうです。、つまり、政治的リーダーのレベルはどうであれ、一般大衆、庶民の知的、倫理的なレベルや、職務遂行能力、責任感などが、これほどに高い国は多くないといえそうなのです。

以上と似たような主旨のことは、表現こそ違え、多くの外国人や日本人が語っているので、このブログでもおいおい触れていきたいと思います。ここではひとつだけ、ネット旅行販売最大手の米エクスペディアがまとめた、ホテルマネジャーの各国の観光客に対する評価「ベストツーリスト2008」の結果を紹介しておきます。

「100点満点で各国の観光客を採点したところ、日本人が68点でトップになった。首位は2年連続で、現地のエチケットを守るといった行儀のよさや礼儀正しさ、部屋をきれいに使い、苦情が少ないことなどが評価された。

2位以下はドイツ人とイギリス人(53点)、カナダ人(51点)、スイス人(49点)の順だった。一方、同社が順位を公表した31カ国の中での最下位は中国人で27点。30位がインド人(28点)だった。行儀が悪いことや部屋を汚すことなどが低い評価につながったという。調査は「騒がしい」「チップをくれる」など10項目の質問を設定し、3月下旬に欧州、南北アメリカ大陸などのホテル3万2000軒にメールで送信。4004人のマネジャーから得た回答を同社が100点満点の点数に換算した。」
(http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20080604AT3K0400I04062008.html)

これも、内側から見ていたのではなかなかわからない、日本人のレベルの高さの一端をうかがわせるアンケート結果ではあると思います。

ユーモアと愛に溢れる『「ニッポン」社会入門』

2009年03月30日 | 世界に広がるマンガ・アニメ
◆『「ニッポン社会」入門―英国人記者の抱腹レポート (生活人新書)

「ニッポン」社会入門というタイトルは、一見堅そうだが、サブタイトルからも分かるように、イギリス人記者のユーモア溢れる日本観察エッセイである。ちょっと皮肉っぽい、しかし新鮮な目で日本人を観察し、私たち日本人も「そうかも知れない」と思わず苦笑いする‥‥そんな文章もある。しかし、日本と日本人への共感に溢れた温かい文章も多い。私たちの知らない日本の魅力がこんなところにもあったのかと沢山の発見ができる本でもある。笑いながら、一気に読み通すことのできる面白さだ。

たとえば「ガソリン・スタンドの従業員がお辞儀をしてくれると心が和む。歩道で工事をしているとき、工事現場にすでに円錐形の標識ではっきり示してあるのに、棒状の誘導灯を振って歩行者に回り道をするよう指示する人がはたして必要なのか、ぼくにはわからない。しかし、その人がまるで航空管制官のように注意深く熱心に、与えられた仕事を遂行しているさまには心から敬服してしまう」という一節がある。

ここにはちょっぴり皮肉も感じられるが、日本人への尊敬心も感じられる。そして何よりも思うことは、普通の日本人の大部分が与えられた仕事を熱心に誠実に遂行している‥‥そのような日本人の仕事への責任感や熱意にこそ、日本人の優れた特質があるらしい。コリン ジョイスというこのイギリス人だけではなく、多くの外国人が日本人について書いた文章を読むと、私たちには自覚しにくいそういう日本人と特質が浮かび上がってくる。

一人英国人記者の言葉だけでは心もとないかも知れない。朝鮮日報の東京特派員、鮮于鉦(ソンウ・ジョン)の記事を紹介しよう。

【コラム】あなたは世界最高ですか?(朝鮮日報;2009/01/02)
「韓国の足元が揺らぎ始めた昨年10月、世界最高のすし職人にインタビューしたことがある。世界的なレストラン・ガイドブック「ミシュラン」で最高の三つ星評価を2年連続で受けた水谷八郎さんだ。水谷さんに、すしのすべてとも言える魚とコメに関する話を聞き、日本という国がさらに遠く感じられた。

水谷さんは、自分で魚やコメ選ぶことはないという。「魚はなじみの魚屋の主人が選んでくれるし、コメはなじみの米屋の主人がいろいろな産地のコメを“黄金比”でブレンドしてくれる」そうだ。自身の「握り」の実力がどれだけ優れていても、魚屋の「世界最高の」魚を見る目と、米屋の「世界最高の」ブレンドの腕という基盤がなければ、世界最高にはなれないということだ。水谷さんのすし店も、魚屋も、米屋も、店の規模は決して大きくない。」

この記事の全文は、項目をあらためて掲載し、考えてみたい。要するに庶民のひとり一人が、自分の職分に責任をもって取り組むところに日本人の特質があるということだ。外側から見るとよく分かるそういう特質を、日本人はほとんど自覚していないのかも知れない。