
「ホテルルワンダ」を見たときには、知識として知っていたルワンダ内戦を映像として見せられかなりの衝撃に感傷的な感想を書いた。その分今回は、少し冷静になってこの作品を見ることができたと思う。題材は「ホテルルワンダ」と同じであるが、こちらはそこにいた白人の目を通して描かれているので、もちろん、まったく毛色の違う作品なのだが、比べてしまうのは避けられなかった。
このルワンダ内戦についてはどうしてもこの時虐殺の対象であったツチ族に同情の目が寄せられるが、その背景にはいろいろなことが潜んでいるんだということは、映画をきっかけにそれぞれが学ばなくてはいけないことだろう。ここでは“映画”としての感想にとどめたい。
この作品は映画としては少し演出が過ぎるかなぁという気がしないでもなかった。白人側のドラマがちょっと過剰というか、そういう印象だった。
その中でも白人女性ジャーナリスト、レイチェルニコラウォーカーの「ボスニアでは毎日泣いていたけど、ここではそんなことはない。死んでいるのは私にとってやっぱりただのアフリカ人なのよ。私たちは所詮自分勝手なのよ。」というセリフには、悲しいけどある種の事実が含まれていると感じたし、(その事実を変える努力はいると思う)命令に従うしかない国連軍の辛さや矛盾もよく描かれていたと思う。「Shooting Dogs」という原題の意味もこの国連軍に関連して納得だった。そこにはなんとも言えないもどかしさが含まれていた。撤退する国連軍は実際のところどんな気持ちだったろう?国連のブレインたちの決定と現場の国連軍の隊員を題材に映画を撮ってみるのもいいんじゃないかという気がした。
「撤退してしまうならその前に私たちを銃殺してくれ。ナタで殺されるよりもまだマシだ」とツチ族の人が国連軍に言うシーンがある。本当にこんなことを言ったかどうかは分からないが、あそこで撤退すればそこにいたツチ族が皆殺しになることを知っていて撤退した国連軍は、彼らを銃殺したのと同じ、またはそれよりもむごいことをしたのだというマイケルケイトンジョーンズ監督からのメッセージということか。
主役がキリスト教の神父ジョンハートであるから、どうしてもキリスト教的世界観の話がつきまとって、そのあたりはワタクシはちょっと馴染めなかった。あの神父があの場所で「もっとも神の存在を近くに感じる」と言ったってワタクシには、「なんだかなぁ」という感覚しか湧かなかったから。
上に国連を中心にこの内戦を描いた映画が見たいと書いたが、フツ族を中心に描いた映画も見てみたいと感じた。
青年教師役のヒューダンシーは、ちょっとオーランドブルームに似ていて、青い瞳がとてもきれいでこの先が楽しみな俳優さんですね。
こういう人すごく多かったでしょうね。人間の弱さというか、自分が生き抜くためには仕方なかったのかもしれないという部分がまた悲しいですね。
ルワンダの涙の公式HPにルワンダの歴史がのっていて、かつてツチ族が優位にいた時代があったことが記されていました。この映画の台詞の中にも、ツチ族がフツ族を奴隷にしていて、気に入らない事をすれば寝室でいきなり殺されたというような台詞がありましたね。両部族の争いの根深さを感じさせるシーンでした。もし他にもこの事件を題材にした映画がつくられるなら、昔からの両部族の関係を取り入れて欲しいと思うのですが。。。
ヒューダンシー、私は最初オーランドかと思いました。確かに似ています♪しかもイケメン
はい、ワタクシもそう思います。かなり膨大な情報量になってしまって大変だとは思いますが。政治的なことも絡んで難しいかもしれませんね。