まくとぅーぷ

作ったお菓子のこと、読んだ本のこと、寄り道したカフェのこと。

自動で閉まらないドア YUZAWA DRIVE

2016-12-06 22:48:26 | 日記

ヴイーーーー。ぽすっ。ぴかっ。
また半ドア。

ゾノさんの借りてきてくれたNOA、
なんかぐずってる。

ドア側に座った松平さんが
あーはいはい、って感じで
もう一度少し開けて
それからがつんと閉めてくれる。
なんだかもうすっかりドア係になってくれちゃった。

早朝6時半、7人を乗せた車は
途中パーキングエリアに一度立ち寄り
10時を過ぎる頃、目的地の越後湯沢にたどり着いた。
トンネルを抜けたらそこは雪景色か、と思いきや
すっきりと晴れわたる空と
ちょっと濡れてはいるけど氷のかけらも見当たらない道路。
これなら行ける、と
ヌマさんの秘密基地を訪ねる。


広大な敷地にテニスコートが何面か、
大きなガレージは冬期にはシャッターが下りていて
表にスノーモービルが一台止まっている。
物置小屋は宿泊施設に改築予定。

今回の遠足のしおりにと
ゾノさんが描いてくれたイケてるイラスト
その通りにポージングして写真を撮ろう、と
みんなで一列に並ぶ。

はい、皆さん足はこっち向き、腰からひねって前向いて、
手はだらりーん。くねくね。

お次はみんなでジャンプ写真を撮ろう、と
トライするも全くタイミングが合わず
ギャースカ大騒ぎしながらゲラゲラ笑いながら
ジャンプを繰り返しているうちに
みんな分厚いコートを脱ぎ始める。

春になったらここにハンモックを吊るそう。
眼下の渓流にはカヌーを浮かべて
釣りも楽しめるよ。

なんという贅沢な企画。

木切れを幾つか拾って、車に乗り込み、
松平さんに左ドアをなだめてもらって
山を少し登る。
車を止めて沢まで歩いて降りたら
そこで小さな焚き火を作る。


木切れはまだ湿っていたらしく
なかなか大きな炎にはならず
適当なところで切り上げて
八海山の麓を目指す。

ヌマさんお勧めの蕎麦屋は
古い日本家屋そのまま
一枚の板の奥行きが短くて急な階段を上ると
懐かしいリノリウムのたたきと
どーんと広いお座敷。
おばあちゃんちに来たみたい!と
ともちゃんがはしゃいでる。



数種類の山菜の盛り合わせは
甘辛く炊いてあったり、茹でてマヨネーズがかかっていたり
塩漬けにされていたり。
これはなんていう山菜だろう?と言いながら
少しずつつついて食べるのは楽しい。
お蕎麦は太くてコシのがっつりきいてる
噛み締めたくなる美味しさ。
姫くるみをほじくって汁に落とすのだが
この専門的なツールの名前は
「ほじくるみ」っていうらしい。

一番嬉しかったのは、天ぷら。
見覚えのある細くて茶色い茎に
ポツポツ並んだ丸いやつ。
パクリとやったら口の中に広がる
甘くて華やかな香り。
これ、アカシアの花だ。
映画の中で初女さんが作っていらして
いつか食べてみたい、と願っていた。
まさかこんなところで出会えるとは。
嬉しい。美味しい。

ところで「八海山」といえば
日本酒の銘柄。
そしてここには、さとみにゃんと
松平夫妻という筋金入りの酒呑みが揃っている。
行くでしょう、蔵元。

八海山醸造所は一瞬、美術館かと見紛うような
シックで美しい建物群。


雪の中の室でゆっくり寝かせたというお酒を
小さい瓶で買い求める。
ムスメは、友達への誕生日にと
同じものの大瓶を。大人になったな、まったく。
併設のカフェで甘酒を頼んだ。
体じゅうがほわほわあったまる。

池に映る木々や空や雲がクリア。

それぞれが様々な瓶を抱えて車に戻る。
左ドアはすでにだいぶ松平さんに手なずけられている。
次なる目的地は露天風呂。

街道の湯は道の駅の隣接で
とても便利なのと、500円でお風呂に入れるので
人気なのも仕方ない。
お湯はかなり熱め、ちょっと入ると一旦外に出て
しばし裸で冷たい空気にあたらないと
のぼせてしまいそう。
この真冬に、マッパで外に居られるなんて、と
さとみにゃんが笑ってる。

めいめい好き勝手にお風呂から出たら
道の駅のイートインで
好き勝手なものを飲みながら
揃うのを待っている。


すっかり夜になり、細く光る月が
すぐそばの山にかかってる。
シャッターを切り、拡大すると
たくさんの星が写っている。

名残惜しいけど
そろそろ戻らないと。
楽しければ楽しいほど
終わっちゃうのは寂しい遠足。

ところがここで
そうだ、帰りに蒲田寄って
餃子食おう、と言い出す奴が。

さっきまでの寂しさは何処へやら
頭ん中みんな餃子になっちゃって
車にいそいそ乗り込む。
左ドア、すでに無駄な抵抗は
しないことにしたらしい。

4時間のドライブで
雪をかぶった美しい谷川岳も
澄んだ12月の空気も
遠いものとなってしまい


お馴染みの雑然とした景色の中
さらに混沌とした店に入って
羽根つき餃子を次々に平らげる。
さとみにゃんと松平さんのビールは
1リットルのジョッキ。
そこへさらに白飯並んでるのが
おかしい。

ふと見るとゾノさんがえらい寡黙で
あれ?疲れちゃった?美味しくない?
と思ったら

・・・美味しい。

美味しいものには集中しちゃう、っていうの
さすがだな。

心地よい疲労感と満腹感にふわふわしながら
不思議だなと思う。
ゾノさんやさとみにゃん、松平さん夫妻と
仲良くなれて、遠足まで行っちゃったり、
ヌマさんの秘密基地に私まで
入れてもらえるようになったり。
そういえば初女さんを知ることになったのも
元をたどればゾノさんのご縁だった。
アカシアの花の天ぷら、美味しかったな。
餃子とは対極にあるものだ。
でも餃子も美味しかった。

なんかを誰かと食べた時
それがすごく美味しかったら
その誰かはきっと自分にとって
大切な人なんだと思う。