チェリスト 阪田宏彰のBlog

日々感じたこと、おすすめなモノ、お気に入りなど

リサイタル?

2017-09-07 | ひとりごと
音楽界の片隅で静かに生きるチェリスト阪田です。

こんな僕に向かって、「リサイタルやりなさいよ!」なんて言って驚かせる方が稀にいます。
目立つのが嫌いなわけではありません。
008のステージで、MCやアンコールのネタで笑われているのは大好きです。

チェロを演奏する時には、誰よりも簡単な仕事を誰よりも楽にこなしたいのです。
だからソロのコンサートの依頼を頂いたら、ピアニストやギタリストの指がちょうちょ結びになるくらい大変で、チェロは白い音符だけを弾くような曲を選びます。

そんな僕が、リサイタルみたいなことをします。
しかもショパンのチェロソナタなんて、およそ僕らしくない大作に手を出してます。

9月16日(土) 18:30開場/19:00開演
会場:じゃず蕎麦放哉(旭川市6条7丁目右1号ノムラビル1階)
¥3,000(ドリンク別)
チケットお問い合わせ:0166-85-6911
主催:阪田宏彰ふぁん倶楽部



話は遡ります。
昨年の9月、Cello Ensemble 008の2週間に渡る北海道ツアーの千秋楽は旭川の大雪クリスタルホールでした。
この立派なホールで演奏するにあたり、ゲスト出演で応援してくれたのが「マダム・ケロコ」さんです。
お客様もたくさん呼んでくださり、抱腹絶倒のMCと可愛らしい歌声でステージを盛り上げてくださって、終演後はご馳走にまでなりました。

このケロコさんのディナーショーがあると聞き、旭川までお客さんとしてお邪魔した時のこと。
「アンタ、ファンクラブができてるからね。その人たちと同じテーブルにするから仲良くしなさいよ!」とケロコさん。
ファンクラブ!
008のファンクラブが北海道にも!
これは精一杯ファンサービスせねば!
と乗り込んだ会場で案内されたテーブルには、お着物の女性がズラリ。
度肝を抜かれて萎縮していると、お隣の女性から「これなんです!」と渡されたのが、これ。


え!? 008は? 僕は裏方ですけど・・・?
と声にもできないまま、気がついたらリサイタルです。

お手伝いくださる方の一人から、「絶対オススメのピアニストがいるので!」と連れてこられたのは渋谷藍香さん。

決して彼女が可愛いから引き受けたわけではありません。
少しは嬉しかったけど・・・。

渋谷さんが本当に達者なピアニストなので、これはピアニストの見せ場を作らにゃ。
これが、やったこともないのにショパンのチェロソナタを選んだ理由です。。。


これまでリサイタルを薦めてくださったのに、僕に聞き流されてきた方々へ、長い言い訳でした。
旭川まで来てくだされば、やってますよ。

マダム・ケロコさんの爆笑前説付き!
渋谷藍香さんの超絶技巧も必見!
著名な音楽家もよくライブをする「じゃず蕎麦放哉」さんは、お蕎麦もとっても美味しいです!
問題はチェリストだけ!
コメント (2)
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YAMATO String Quartet 横浜公演

2017-09-07 | YAMATO String Quartet
今年も定期公演の時期がやってきてしまいました。
さあ、大変。

今年から主催してくださる「株式会社リリー」の社長さんは、穏やかな雰囲気の中できっちり締めるところは締める方です。
昨年まで、クラシックを含むプログラムの半分は年間共通プログラムだったのですが、今年からは東京公演と横浜公演でほぼ完全に違うプログラムになりました。

でもYSQの核心の部分は思い通りにさせてくれます。
後半の近藤和明氏のアレンジによるプログラムへの制約は一切無く、思う存分「ピアソラ」と「ロック」に邁進してください。とのこと。

その結果、今年のプログラムはこうなりました!
恒例のプログラムノートチェックですが、今年は既に入稿済みです。
次回こそはみなさまに事前チェックをしてもらえるよう早めに・・・。




弦楽四重奏曲第一番  Op.11 :チャイコフスキー

バレエ音楽の世界で有名なチャイコフスキーですが、3大バレエとして有名な「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」の他にはバレエ音楽は書いていません。
バレエの他にも「悲愴」などに代表される交響曲、ピアノ協奏曲やヴァイオリン協奏曲など、絢爛豪華なオーケストレーションとロマンティックな旋律で魅了する作曲家です。
チャイコフスキーの数少ない室内楽作品の中でも特に有名な第二楽章の「アンダンテ・カンタービレ」を含むこの曲ですが、残念ながら第二楽章以外は演奏機会が多くありません。
この曲が書かれた 1871 年、チャイコフスキーは作曲家としての評価を高めつつあったものの、サンクトペテルブルク音楽院の教師の生計は苦しいものでした。
そのため自作によるコンサートも小ホールで開催されることになり、そのおかげで全 3 曲の弦楽四重奏が書かれることになったのです。
既に歌劇や交響曲で自身のスタイルを確立していたためか、各楽器の扱い方は管弦楽のミニチュア版であって弦楽四重奏のスタイルではない、と言われています。

23 年前のデビューコンサートで「オーケストラのような巨大な響き」と評された YAMATO S.Q. は、この曲をどのように表現するのでしょうか。
Tchaikovsky String Quartet No.1 (The Smetana Quartet 1969)



悪魔のロマンス:ピアソラ
「天使のイントロダクシオン」「天使のミロンガ」「天使の死」「天使の復活」という天使 4 部作をレパートリーとして完成させた YAMATO S.Q. と近藤和明氏の向かう先には、もちろん「悪魔」がありました。
昨年の定期公演で取り上げた「 Vayamos al Diablo 」に続く悪魔は「 Romance del Diablo 」です。
悪魔という標題とは裏腹に、どこまでも優しく美しいメロディが甘く語りかけます。ピアソラにとってはこの甘美な世界こそが「悪魔」だったのでしょうか?
Romance de diablo - Astor Piazzolla



シータ:ピアソラ
ピアソラの輝かしいキャリアの最初は、史上最高の楽団と言われた「トロイロ楽団」での 5 年間でした。ゴジェネチェやホセ・バッソなど、個性的なメンバーを多数輩出したトロイロ楽団ですが、ピアソラは音楽的な意見の相違から脱退してしまいます。しかし、懐の深いトロイロとの交流は途絶えることは無かったようです。
押しも押されぬ国民的スターになっていた 1975 年、師トロイロの死後すぐに書かれたのが、「トロイロ組曲」です。
組曲は、師が愛した 4 つからなります。「バンドネオン」「ウィスキー」「博打」、そしてトロイロ夫人である「シータ」です。
この曲を演奏するピアソラを訪ねたシータは、トロイロのバンドネオンを形見に渡したそうです。
Piazzola / Agri - Zita. Tangocity.com



ザ・シネマ・ショウ:ジェネシス
1967 年に結成されたイギリスのロックバンド「ジェネシス」の活動は、大きく分けて 3 つの時期に分類されます。
デビューからピーター・ガブリエル脱退までの第一黄金期、フィル・コリンズ主導による第二黄金期、 2006 年~ 2008 年の活動再開期です。
第一黄金期の頂点に輝く「月影の騎士」は、ピーター・ガブリエルの独特なパフォーマンスに、フィル・コリンズのドラムが加わってプログレ色を強めた頃のアルバムです。
このアルバムの B 面 3 曲目に収録されたこの曲は、終曲「 Aisle of Plenty 」が夢から現実に引き戻すための短いトラックであることを考えると、アルバムのクライマックスに位置しています。
特殊なチューニングによる 12 弦ギターで奏された叙情的なイントロに続き、ジェネシスの特色であるテクニカルなインスト部が 7/8 拍子で軽やかに繰り広げられます。
Genesis - The Cinema Show



「狂気」より:ピンク・フロイド
YAMATO S.Q. と近藤和明氏のコンビでお送りしたキング・クリムゾンのコンセプト・アルバム「クリムゾン・キングの宮殿」全曲演奏に続き、プログレッシヴ・ロックの魂を表現するために選ばれたのは、ピンク・フロイドの「狂気」。
「月影の騎士」と同じ 1973 年に発表されたアルバムです。
プログレッシヴ・ロックを語る上で、コンセプト・アルバムというスタイルを避けて通ることはできません。
けだるく幻想的なサウンドと、哲学的な詞で知られるピンク・フロイド。
1970 年のコンセプト・アルバム「原子心母」でプログレッシヴ・ロックを代表するバンドとして認知され、この「狂気」の大ヒットで唯一無二の存在となります。
テープ・コラージュや、シンセサイザーの SE だけで成り立つ楽曲は割愛し、中核を担う「 Breath 」「 The Great Gig in the Sky (虚空のスキャット)」「 BrainDamage< 」「 Eclipse 」の4曲が順に演奏されます。
Pink Floyd Dark Side of The Moon LP

(虚空のスキャットは14:30〜)


以上です。
中でも「狂気」の中の「虚空のスキャット」で見せる石田泰尚の叫びは、石田ファンならずとも一見の価値があると思います。
お楽しみに!
コメント (3)
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