今回は反原発メッセージとオススメエンターテイメントの両方です。
映画としてとても面白いし、決して反原発運動に凝り固まった映画ではありません。
今回はネタバレを怖れず書きます。
役所広司さん演じるパフォーマンス系都知事が「原発の東京誘致」をぶち上げます。
これを受けて都庁の中で起きるドタバタ喜劇という筋ですね。
役所広司さん、段田安則さんなど、素晴らしいキャストの演技も面白いです。
それよりも驚いたのは、2002年に既にこの映画が作られていたということです。
僕は昨年の3.11の後に、遅ればせながら原子力発電を知り始めました。
勉強というよりは、あまりに不可解な世の中の動きに疑問を持ち、自衛のために調べ始めたのです。
毎日恐るべき発見の連続でした。
すり込まれていた常識がウソだらけであったこと。
「原子力が無ければ電力が不足する。」
→火力発電だけで充分足りる。
「他の発電方法に比べてクリーンである。」
→発電のその時にCO2が出ないだけで、燃料の精製から再処理、方法が見つからない最終処分までを考えたら桁違いに地球を汚すのが原発でした。
「原発は安全な場所に絶対的な耐震基準で建てられている。」
→震度やらマグニチュードやらという大雑把な値ではなく、ガルという単位から見たら、関東大震災にも耐えられない基準なのです。
安全な立地などというものは存在せず、原発の誘致ありきで誤用学者たちによるケムにまくような報告だけで推進されてきたこと。
これらの情報はメディアで良識派ぶって原発に警鐘を鳴らすようなポーズをとる方々も言いません。
東電を批判しながら電力危機を叫んだり。
自分から調べにいかないと真実が出てこないのです。
テレビ・新聞の情報を見て、「この人は東電を叩いてるからきっと真実を語っているに違いない。」と思ったら大間違いでした。
本当に言わなければいけない根本的なことは避けるのです。
そしてCO2や、被災地支援といった関連しながらずれている論点に持っていきます。
メディアというものに100%の不信感を持って、インターネット上で情報を集めるようになりました。
勿論、怒りのエネルギーに身を任せ、人々を煽るためだけに誤用学者なみにデータを好きなように振り回す情報も氾濫していますから、信用出来る情報を得るのは大変な労力ですが。
この映画の中では、震災後になって多くの方々が知った隠されてきた事実を、2002年に堂々と明るみに出しているのです。
そしてこれだけの著名な俳優陣が出ていながら、GPミュージアムソフトという聞いたこともなかった社名以外、NHKもSONYもEMIも一切出てきません。
これだけの俳優陣が揃った企画に大手が食いつかない理由は一つしか無いでしょうね。
日本の経済至上主義の中でぬくぬくとする大企業が、判断を誤るのはもう諦めるとして。
元々好きだったこの俳優さん達は、おそらくギャランティも露出度も高くない映画に、メディアに生きる人として高いリスクを飲み込んで出演されたのだなぁと思いました。
改めてこの方々が大好きになりました。
多くの方が見たくないと思っている現実を、「もっと知りたい!」と思わせる形で見せてくれるエンターテイメント作品です。
是非是非、ご覧あれ。
最後に。
この映画の監督・脚本をされた山川元氏。
様々な著名な映画監督の下で助監督をされてから、監督としてのキャリアをスタートされたようです。
1994年から2002年までに5作品。
松坂慶子さんや窪塚洋介さんなどが出演されてますね。
2002年の本作からぱたりと時が止まったようです。
僕の心配が杞憂であれば良いのですが。。。。。
気になります。