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ホピの祭り・・・夏至まつり・精霊たちを見送る(二マン・カチナ祭・その1)

2009-12-04 | ホピの宇宙神話・伝承・祭
引き続き、ホピのお祭りを紹介します。

フランク・ウォーターズ著「ホピ・宇宙からの聖書」(Book of the Hopi)から抜粋して引用します。

一年を通して続けられる共同体のお祭りは、全体としてつながりあっていて、民族の知恵の伝承がなされています。
聖典を持たない代わりに、社会そのものが生ける聖典であるかのように感じます。

わたしはこれらを本で知ることしか出来ませんが、このように緊密に結びあい、意味に満ち溢れた社会というものがあり得るとしたら、それは人間社会のひとつの理想ではないかと思わずにいられません。

現実のホピの世界は、アメリカ社会の中にあり、誰もが24時間聖性に満ちて生きているわけではない、と分かってはいるのですが。。

            *****

          (引用ここから)


冬の三大まつりで始まった周期をつなぐ夏の三大祭りの時が来る。

最初に来るのが、夏至に始まるカチナ・ニマ。

“カチナの里帰り”の意味である。

カチナたちは冬至以来この地上界にいて、一年の創造の形を定める助けをしてきた。

命が花開き最初の実りを迎えた今、彼らの仕事も終わりを告げる。

だが、上と下の世界では季節は逆になるので、下界では今が夏至。

そこでカチナたちは一年のつり合いをとるために下界に戻らなければならない。

二マン・カチナをもって、別れの儀式とする。


この儀式のより深い意味は、ソヤル祭とポワム祭の時に依り頼む四大力・・発芽、熱、湿気、風の力・・の顕現を認めることにある。


早春に、儀式の最後で生贄にするワシを見つける。

ひなは大切に村に持ち帰り、家の屋上にあるワシ場に足をくくりつけて、成長するまで毎日餌付けされる。

また、聖なるモミの木はとても大切である。
モミの木は雲と湿気を呼ぶ磁気的な力を持っているのだ。
祭りではカチナ全員がその枝を身につける。

そこで、モミの木への巡礼はニマン・カチナ中でもっとも大切な儀式の一つとなる。

キシウ(影の泉)の洞窟の前で祈った後、中に入り、泉の上の岩棚に決まった順番でパホを立てる。

祈りの羽を立てる時の順番はどの方向にどれほどの力で祈りが届くかを決めるものである。

太平洋までの西はクマ族の管轄で、彼らはここから移動した。

南はオウム族で南米まで。

東はワシ族で大西洋までの地域。

極北に至るのはアナグマ族。

彼らはモミの木に巡礼し、樹と枝を背負って村に帰る。


静まり返った暁、人っ子一人いない広場に、二本のモミの木だけが立っている。

近くに右足だけつながれている大きな誇り高き鳥以外、この静寂を破るものはいない。

カチナたちは広場に入る。

踊り手たちは東から一列になって広場に入り、北側で西向きに並ぶ。

踊っているうちに列の末端が西と南へゆっくりカーブするが、円を作る前に壊れてしまう。

これは純粋な形が崩れて第一の世界が滅びたことを表わしている。

踊り人たちは次に西側に動き、列は南へ曲がり始めるが、第二の世界の生命のパターンと同じくやはり壊れてしまう。

南へ移って東に曲がるが、第三の世界と同じくやはり形は崩れ去る。

四番目の配置はない。

生命は今なお第四の世界で進行中であり、それが完全な形を形成するか否かは今後にかかっているからである。

           (引用ここまで・続く)

       *****

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