25日
いよいよ植林当日の朝がやってきた。まだ外気は冷たいがカラッと晴れ渡り、風もほとんどない。数日前吹雪いていたのがうそのような絶好の植林日和となった。近くのレストランで朝食を取り、ジープ6台に分乗し、9時過ぎに出発。
11時前に植林地に着いた。いつものように誰が指示するわけでもなく、自然と役割分担ができ植林が始まる。この日は内蒙古テレビ局の取材班が午前中だけ同行していた。僕がインタビューを受けた時、口の中に小さな飴玉が残っていて、ストップをかければよかったが、そのまま続けたので変な絵になったかもしれない。ちなみに年末の環境番組の1部として使われるとのこと。またオルドス出身で今は北海道で映像関係の仕事をしているドプシンバトーも一緒だったので、もしかしたら北海道でも放映されるかもしれない。
12時過ぎに午前中の作業を終え、車でスージー村の集会所へ。集会所の前にはウランダワ砂漠から刈り取ってきた楊柴が山積みされていた。これは3年前に植えたもの。村の牧民に無償で配られる。これで冬の飼料代がだいぶ節約できる。今後、どんどんウランダワ砂漠から刈り取れる飼料が増えれば、牧民たちの緑化に対する意識がより高まり、「住民の生活向上を伴う砂漠緑化」の流れができてくる。
いつものように集会所でサクッと昼食をとって午後の植林に備えるのかと思いきや、今回は様子が違う。牧民の民族楽団がいる。そしてナランファ書記が大事そうに村の宝の巨大銀椀を持ってきたときに悟った。これから大宴会を始めるつもりだ。十分植林をやってからならわかるが、まだ少ししか作業してない段階でこれをやってしまうと午後から全く動けなくなってしまう。しかし牧民たちの熱烈歓迎もむげにできない。果たして大音量の歌と共に白酒の宴が始まった。1回目はみんな何とか飲み干していたが、2回戦になるとたまらず外に逃げ出す日本人も現れ異様な雰囲気に。4回戦あたりからさすがにストップをかけた。そして出てきた羊は最高に美味かった。この時期の羊が一番肥えていて美味しいのだとか。白酒の不意打ちに気分を害していた参加者もこの羊はおいしそうにほお張っていた。
昼から大量の白酒を浴び、萎えそうになった身体と心に鞭を打ち、再び植林現場へ。沙柳と乾柳を黙々と植えていった。そして植えた苗にテレビ大阪7の草原キャンペーンに参加した人のメッセージタグをくくりつけた。日が西に大きく傾く頃作業が終了。植えられたばかりの沙柳と乾柳。くくりつけられたメッセージタグが七夕の短冊のように風になびき、夕日に映えていた。クリック募金に参加した一人ひとりの想いがウランダワ砂漠に届けられた。
ジープでオトク旗まで戻り、夕食は羊のしゃぶしゃぶとビール。林業局の人たちも昼の宴会で疲れきっていてさすがに夜、白酒とはならなかった。僕たちには優しい夕食となった。その分、部屋に戻ってからのビールトークはたっぷり時間をかけていろいろ語り合うことができた。
*写真は
HPのオルドス写真館まで。