映画は劇場で観ることにしている小生が最後に劇場に足を運んだのは、2020年2月20日。
政府の対応が遅いと言われ続けてきた中、
安倍晋三首相が2月26日、全国的なスポーツ、文化イベントを
「今後2週間は中止、延期、または規模を縮小する」対応を要請した。
そんな中、2月下旬から半年以上の外出自粛生活を続けてきたわけだが、
久しぶりにTVで映画を観たのがこの作品である。
「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」は、2011年に公開されたイギリス映画。
監督はフィリダ・ロイド、マーガレット・サッチャーを演じるのはメリル・ストリープ。
彼女はこの映画でアカデミー賞主演女優賞をうけた。
1947年6月22日生まれのメリル・ストリープは現在73歳。
この映画に出演したときは64歳だった。
日本で公開されたの2012年3月16日で、小生が劇場で観たのは同じ年の3月26日。
この映画を8年ぶりにTVで観たわけであるが、かなりの部分を覚えていたことに驚いた。
たとえば映画の冒頭、朝食をとる場面で夫の健康を心配する妻として
朝食の場面で夫に向かって「バターのつけすぎよ」と言う。
この映画の日本語字幕は有名な戸田奈津子さん担当している。
その字幕で気がついたことは、
いわゆる「英国病退治」の政策の一つとしてサッチャーが労働組合との対決姿勢をとるなかで、
清掃作業を行う組合のストライキによってゴミが街中に散乱している場面では、
字幕での彼女の台詞は「ジプシーのよう・・・」と書いてあったが、
英語の台詞は「ロマのよう・・・」と言っていた。
差別用語とされる「ジプシー」という言葉はこの映画が作られた今から9年前には、
すでに「ロマ」という言葉に置き換えられていたのが分かる。
戸田奈津子さんは、日本では「ロマ」の語がまだ一般的に使われていないと考え、
字幕にはあえて「ジプシー」と書いたのであろう。
映画の一場面に、イギリスがフォークランド紛争に参戦したエピソードがある。
フォークランド紛争はイギリスとアルゼンチンがフォークランド諸島の領有権を争ったもので、
地図の上の方にイギリスの軍港、ポーツマスがあり、一番下に領有権を争ったフォークランド諸島が見える。
北半球のイギリスがはるばる南米大陸の南の果てまで出かけたこの紛争で
亡くなった人の数はアルゼンチンが649人、イギリス人が255人。
戦闘は1982年3月19日から同年6月14日まで続き、
今に至っても領有権問題は未解決とのこと。
なぜ、軍事力に圧倒的な差があるイギリスとアルゼンチンが戦ったか。
イギリスの閣議で議論を戦わす場面で、なぜはるばる南米大陸の果てまで出かけ、
それも小さな島の領有権を争って軍隊を派遣するのかと閣僚たちの声を紹介するが、
サッチャーの答えは、
「1941年12月8日、アメリカ本土から遠く離れたハワイ諸島に日本が奇襲攻撃をした際、
アメリカはハワイを守るために本格的な戦争を始めたことを覚えているか」と言う。
(だから、我々イギリスも遠く離れた島を守るために出撃する)
日本はアメリカに対して宣戦布告なしに不意打ちをした、と非難された。
12月8日午前3時35分は日本時間、アメリカ時間では12月7日午前7時55分。
ポーツマスといえば、2002年、今から18年も前、2週間のイギリス旅行に出かけた際、
7人組(女性4人、男性3人)の旅仲間はレンタカー2台に分乗して1週間のドライブを楽しんだ。
その際、ポーツマスの港に寄り、これがかの有名な大英帝国の軍港か!と
感慨深く見物したのである。
1週間にわたってのドライブの走行距離は約2400km。
1日平均300kmを超えて運転したとは夢のよう。しかし、今では運転免許証も返上した小生である。