コロコロコロール通信

南洋の小さな島に暮らす家族の日記

エンベロープ

2017-06-10 23:46:58 | パラオ文化

パラオ生活の必需品のひとつ。エンベロープ。封筒だ。ファンドレイジング(寄付集め)や香典、出産、新築、卒業、子供の誕生日などの各種お祝いにお金を包むためである。食費以外ほとんどお金を使うところがないシンプルなパラオ生活ではあるが、こういった交際費の家計に占める割合は高い。社会が互助システムになっているから仕方がないと言えば仕方がない。いざ自分の番になった時にはきちんと返ってくるのだろうから。私たちは外国人だから期待もされていないし、出産も新築もないけれど、まあやはりお世話になっているファミリーの、特に葬式には行かないわけにはいかない。今年は特に葬式が多かった。日本から持ってきた香典袋がなくなり、封筒を買った。55枚入り。多いと思うけど、なにかと必要なのだ。先月は卒業式の月だった。卒業式を終えた子供たちは入れ替わり立ち代わりやってくる親戚に花のレイをかけられて、ハグされては白い封筒をもらう。手元の手提げかばんはもらった封筒でいっぱいになっている。親戚の人の方も対象はこの子だけではないらしく、手に何枚もあげるべき封筒が束になっている。私も今年は2人だけだが、息子の親友たちが卒業した時には5、6枚の封筒を用意した。あげるときに「ほら、いいからもらっときなさい。」って感じにサッと渡すところとか、後から「あの時はエンベロープをありがとう。」ってお礼を言われる時に「お金」って言わないで「エンベロープ」って間接的な言葉でいうところとか、なんか日本文化と共通する感覚があるなあと思う。
エンベロープに関わる思い出がある。息子が日本に帰る時、最後のテニスに行って後輩たちにさよならをした。最後のゲームを楽しくやって、じゃあ、日本に行っても元気でね、って別れる時に一人の親御さんが息子にエンベロープをくれた。お餞別のつもりだと思う。それが、用意してきたものではなく、その場で急きょくれたみたいで、カバンにたまたま入ってた封筒を使ったんでしょうね。上書きがその人の息子の名前になっており、それをボールペンでグシャグシャって消してあり差出人もグシャグシャって消してあり、空いてるスペースにうちの息子の名前が書かれていて、そして彼女の名前と「この封筒はリサイクルです。」って手書きで書かれていた。明らかにヨレヨレで一回使われた封筒であり、リサイクルには間違いなかった。でもそれを気にしないところが面白かったし、それよりもあげたい気持ちを優先してくれたところがとても嬉しかった。今でもこのシーンを笑顔とともに思い出す。
コメント
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