地球温暖化による海面上昇のために母国が海に沈んでしまうという大きな問題をかかえる国、ツバル。海面上昇の影響はパラオだってあるが、「パラオは土地が高いからいい。丘もあるし。ツバルは平たんな島だからどこにも上がれない。問題は深刻だ。」と言うのはツバルからパラオへやってきた政府の視察団。環境関係の取り組みは環境保護や、廃棄物処理、リサイクル等の面で、南太平洋島嶼国の中で一番進んでいるパラオから学んで自国でもできることをやりたいということらしい。先進国の犠牲になっている小さな島国は世界中の注目を浴び、同情を集め、環境改善のための資金も集まっているらしい。しかし現実問題、地球規模の海面上昇で沈もうとしている島にいったいどんな有効な改善策があるのだろうか。
コロール州のリサイクルセンターに見学にやって来たツバルの視察団は、アースカラーの素敵なアロハシャツに黒の巻きスカート。良く似合ってかっこいい。フィジーの正装に似ている。パラオ人より一回り大きな体はやっぱりポリネシアンだ。南太平洋に点在する島々、どこの島の人でも、国は違っても、話す言葉は違っても、ミクロネシアンでもポリネシアンでも、会うとそこはかとない親近感が湧いてくるのはどうしてだろう。他人とは思えない、まるで親戚にでも会った気持ちになる。遠くからよく来てくれたねー、って思う。実際、ツバルからどうやってパラオまで来たのか聞いたら「まずフィジーに行ってフィジーから韓国に飛んで、韓国からグアム経由でパラオ。パラオを下に見ながら韓国まで行って来たよ。」と笑ったが、これは本当にひどいルートだ。南太平洋の島嶼国を繋ぐために最低でもフィジーとグアムの間は定期便があってしかるべきだと思う。
それはともかく。この南太平洋のアイランダーに湧き上がる親しみの感情について。パラオで育った息子が8年のエレメンタリースクールを卒業する時、息子は日本に行くことを選んだ。他の友達はほぼ地元の高校に進学したが、中には島を出て、グアムやアメリカ本土のハイスクールに行く子もいた。息子の一番の親友はお隣ミクロネシア連邦のチュークにあるザビエル高校に行くことになった。パラオからグアムに2時間、グアムからチュークまでまた2時間かかる。距離的に近いとは言えない。言葉だって違うし、男の子は全員寮生活らしい。私が心配して「パラオから離れるの?一人で大丈夫?」と聞くと、なんてことない顔で、「大丈夫だよ。おんなじアイランダーだもん。」って本当にケロッとした顔で言った。「おんなじアイランダー」。その気持ち、今すごくわかる。