コロコロコロール通信

南洋の小さな島に暮らす家族の日記

ツバルの人

2018-01-30 22:38:27 | 

地球温暖化による海面上昇のために母国が海に沈んでしまうという大きな問題をかかえる国、ツバル。海面上昇の影響はパラオだってあるが、「パラオは土地が高いからいい。丘もあるし。ツバルは平たんな島だからどこにも上がれない。問題は深刻だ。」と言うのはツバルからパラオへやってきた政府の視察団。環境関係の取り組みは環境保護や、廃棄物処理、リサイクル等の面で、南太平洋島嶼国の中で一番進んでいるパラオから学んで自国でもできることをやりたいということらしい。先進国の犠牲になっている小さな島国は世界中の注目を浴び、同情を集め、環境改善のための資金も集まっているらしい。しかし現実問題、地球規模の海面上昇で沈もうとしている島にいったいどんな有効な改善策があるのだろうか。
コロール州のリサイクルセンターに見学にやって来たツバルの視察団は、アースカラーの素敵なアロハシャツに黒の巻きスカート。良く似合ってかっこいい。フィジーの正装に似ている。パラオ人より一回り大きな体はやっぱりポリネシアンだ。南太平洋に点在する島々、どこの島の人でも、国は違っても、話す言葉は違っても、ミクロネシアンでもポリネシアンでも、会うとそこはかとない親近感が湧いてくるのはどうしてだろう。他人とは思えない、まるで親戚にでも会った気持ちになる。遠くからよく来てくれたねー、って思う。実際、ツバルからどうやってパラオまで来たのか聞いたら「まずフィジーに行ってフィジーから韓国に飛んで、韓国からグアム経由でパラオ。パラオを下に見ながら韓国まで行って来たよ。」と笑ったが、これは本当にひどいルートだ。南太平洋の島嶼国を繋ぐために最低でもフィジーとグアムの間は定期便があってしかるべきだと思う。
それはともかく。この南太平洋のアイランダーに湧き上がる親しみの感情について。パラオで育った息子が8年のエレメンタリースクールを卒業する時、息子は日本に行くことを選んだ。他の友達はほぼ地元の高校に進学したが、中には島を出て、グアムやアメリカ本土のハイスクールに行く子もいた。息子の一番の親友はお隣ミクロネシア連邦のチュークにあるザビエル高校に行くことになった。パラオからグアムに2時間、グアムからチュークまでまた2時間かかる。距離的に近いとは言えない。言葉だって違うし、男の子は全員寮生活らしい。私が心配して「パラオから離れるの?一人で大丈夫?」と聞くと、なんてことない顔で、「大丈夫だよ。おんなじアイランダーだもん。」って本当にケロッとした顔で言った。「おんなじアイランダー」。その気持ち、今すごくわかる。
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「連絡します」の信頼度

2018-01-29 22:22:42 | 今日の出来事

以前はよく布を選んで服を作ってもらっていた。着やすくて涼しくて気に入っていたタンクトップがだいぶ古くなったのでまた同じ形で作ってもらおうと思い立った。見本を見せて、布を選んで、「これで同じもの作ってもらったらいくらになるかな?」とフィリピン人の縫子さんに聞くと、「うーん、そうねー、布と縫い賃合わせて1着12ドルね。」と言った。安い。そう、それなら一気に3着作ってもらおうか。3種類、別々の布を選んだ。出来上がりを想像して布を選ぶ作業は楽しい。「今忙しいの?いつできるかな?」と聞くと「土曜日には出来る。」と言った。早いね!「出来たら電話するから電話番号書いて。」と言われた。デポジットを払って、「じゃあお願いね~!」出来上がりが楽しみだ。
その後、グアム銀行に寄った。インターネットバンキングのパスワードを忘れてしまってロックがかかってしまったため、解除してもらうためだ。解除にはグアムの本店に連絡してやってもらわないといけないから、作業が終わったら電話するから、と言われた。ロックが解除になったらこの手順にしたがって再度ログインしてね、と手順書をもらった。了解!ロックの解除なんか1秒でできるだろうと思われた。
これらは月曜日のことだった。銀行からは何も連絡がないままに、土曜日になった。タンクトップが出来上がると言われた土曜日に、ドレスショップからも連絡はなかった。。日曜日、月曜日も連絡がない。連絡を忘れているのか、作るのを忘れているのか、どっちだろうなあと思いながら今日、火曜日、店に行ってみた。私の顔を見て、縫子の彼女は「あ~、ごめん!電話するのを忘れてた!できてるよ!」と言った。作るのを忘れられたことも何回もあるから「連絡がなかった」ことを怒るよりも、「出来てるよ!」と言われたのが意外で嬉しかった。しかし、できてるはずのタンクトップが見つからないのだ。完成した注文品がレジ袋に入れられて山のように積みあがっている。その中から見つけないといけない。名前もついていなければ注文日も書いてない。透けて見える布の模様を判断して見つけなければいけない。私も手伝う。「あれ~?これでもないし~、これでもない。」「どこ行っちゃったんだろうなあ~。」と探すこと数分。「あ、これじゃない?」と見つけたのは私だった。「あ~、それそれ!良かった、見つかって!」と二人で喜び合う。顧客サービスと品物の管理についてはかなり改善の余地があるとは思われるが、まあ、いい。「また注文してね!」と笑顔で言われると、「うん、また来るよ!」って言ってしまう。
しかし、銀行はさすがにそうは行かない業種のひとつであると思うのだが、もう1週間以上も連絡がない。夫に言うと、「電話は来ないよ。」と言う。「え~っ!だって銀行だよ!」「連絡します、って言われてちゃんと連絡来たことなんか一度もないよ。」とまるで自慢してるみたいに自信ありげに答える。夫はグアム銀行のキャッシュカードを出張先の日本でも使えるようにロックを解除してくれと出張前に頼んで、2回解除になってなかった経験があるそうだ。結局日本でお金がおろせなくて、取引先の人にお金を借りるはめに。それも2回目「前回そうだったから今回こそはちゃんとやってよ!」と念を押したにもかかわらず! はぁ~、グアム銀行よ、おまえもか! まあね。そうかもね。しょうがない、また行ってみるか。

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緑の島の詩人

2018-01-19 22:46:00 | 今日の出来事

ペリリュー島での戦没者の鎮魂歌、「緑の島のお墓」の作者であるアントニア・ウエンティさんが亡くなった。享年88歳。戦前の日本統治時代に日本の教育を受け、戦後はダンナさんの出身地であるペリリューで、日本から訪ねてくる戦死者の遺族のお世話や遺骨収集のお手伝いをされた。彼女の作詞の「緑の島のお墓」の優しい歌詞とメロディはどんなにか遺族の心を癒してくれたかと思う。今日は彼女のお葬式。故郷のガラルドで執り行われるとのこと。大変な時代を生きた強くて優しい人がまた一人、天に召されました。むこうでも大いなる感謝で迎えられていることでしょう。長い間ご苦労様でした。心から感謝を申し上げ、ご冥福をお祈りいたします。

「緑の島のお墓」

1 遠い故郷から はるばると
  お墓を参りに ありがとう
  緑のお墓の お守りは
  ペ島にまかせよ いつまでも

2 海の中にも 山の中
  ジャングルの中にも 土の中
  英霊よよろこべ 安らかに
  一緒に暮らそよ とこしえに

3 ぺ島のねがいは ただひとつ
  日本とペリリューは 親善の友
  かよわい力 よく合わせ
  知らせておくれよ 祖国まで

4 伝えておくれよ 祖国まで
  父母兄弟 妻や子に
  僕らは緑の 島暮らし
  涙をおさえて さようなら
  涙をおさえて さようなら
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2G復活

2018-01-12 22:13:40 | 通信環境

昨年の11月にケータイサービスが3G/4Gにアップグレイドされたのと同時にそれまで使用していた2Gが予告なく使えなくなってしまった問題。国民の大ブーイングにPNCC(電話局)は突然つかえなくなった2Gケータイ利用者にファーウエイの3G/4G対応のスマホを無料で配るという珍策に出た。12月のはじめ。3日間で3000個を配ったが、大勢の人が押しかけ、もらえた人にもらえなかった人に、途中で用意していたスマホもなくなりますます混乱を極めた。もらえなかった人にはまた再注文して用意するからと説明し、一方、国会議員の方からは2Gが使えなくなったことによるデメリットが大きすぎるので2Gを再度利用できるようにするように、という要望が出された。2Gを再度利用できるようにするならば新しいスマホを配る必要はなかったことになり、これはいったいどうなるのか、この問題いったいどういうところに着地するのだろうと見ていた。私はどっちもやらないような気がしていた。どう考えても古いシステムに戻すのは時代に逆行しているし、新しいスマホに日本円で約2000万円も使ったことが無駄になってしまうからだ。追加で新しいスマホを配ることもしないだろうと思った。不公平ではあるが、もともとこんなことをするべきではなかったし、条件がゆるすぎて対象者にきりがないからだ。もう今の時点で必要な人はすでに自分で購入しているはずだ。もうどうあがいても時代は4Gへと進むのだからあらがうことはできない。いろんな不満を振り切りながら前へ進むだろうと思っていた。
それが!!なんと「2G復活」。2018/1/11付けのローカル新聞 TIA BELAUの一面。「2G TO BE RESTORED ON FRIDAY」の見出しが。フライデイとは1/12のこと。はあ、そうなんですね。そして記事の中では「これはコロールとアイライにはグッドニュースだが、バベルダオブのユーザーには良くないニュースだ。なぜなら2Gサービスをなくすというこでコロールとアイライから8本アンテナをバベルダオブに移設し、それを新たな通信サービスに使用しようとしていた。その8本のアンテナが2G復活で再度バベルダオブからコロールとアイライに戻されたからだ。」とのこと。はあ、なんかなあ。ゴタゴタですなあ。手間とお金がかかっているし、バベルダオブの人々もかわいそう。ま、そんな感じで私の予想は外れ、パラオは2G復活と相成りました。

写真:アップグレイドされてスーパーファストとなったネット環境を宣伝するPNCCの広告。2G問題のゴタゴタはあるが、確かに4Gはすこぶる快適。海底ケーブルの敷設も完了し、WIFIや自宅で使用するインターネットサービスのホームネットも各段に速くなった。途中で止まることなく動画を見られるようになったことは大きい。でもスマホのデータプランは2ギガで月25ドルでそこそこリーズナブルな価格になったものの、自宅でのネット無制限プランは月99ドル。パラオの平均給与を考えたら異常な高さ。ここも早めに改定されるといいけれど。
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大国のはざまで

2018-01-05 22:09:25 | 政治

2018/1/4 ローカル新聞 TIA BELAU に掲載された風刺画。「台湾は友達」というタイトルで、「私は本当のことを言っただけ。」と困惑顔の女性に、怒った顔の数人の男性がいろんなことを言っている。「俺らは時々中国やシンガポールに行ってるんだぞ!」(ここでなんでシンガポールが出てくるかは不明。)「あんたは中国からの投資を捨てるつもりか!」「なんで民主主義政府と良好な関係があるなんて言ったんだ?」「台湾よりも共産主義がいいかもしれないだろう!」 その様子を猫ちゃんが横眼で見て、「いっそのこと国民投票したらどう?みんな民主国家の台湾がいいって言うでしょう。ははは。」と笑っている。
これは昨年の11月に中国が台湾と外交関係を有する国への団体旅行の禁止を打ち出し、それにパラオも含まれていることに対し、在台湾パラオ大使(女性)が台湾のメディアのインタビューに答えた件を指している。「台湾とパラオの関係は今まで通り、変わらない。」と答えたのだ。パラオは数年前から中国本土からの観光客が急増し、地元の観光業に大きなインパクトと変化を与えている。ずっと来訪観光客数の1位をキープしていたのは日本だったが、2014年以降は毎年中国本土がダントツの1位になっている。投資にしてもしかり。多くの中国マネーが流れ込んでいる。この急激な変化がいいのか、悪いのか、いつも議論の的となっている。そういう背景があり、在台湾パラオ大使の発言について、パラオの国会議員からクレームがついたのだった。それがこの漫画の中の怒った男たちで表現されている。パラオと同様に長い間台湾からの援助を受けていながら突然台湾との国交を絶ち、中国と国交を結んだ中米パナマの件は記憶に新しい。さあ、パラオはどうするのか。そんな中、年末に大統領が声明を出した。「パラオと台湾の関係は変わらない。」と。そして、このことが中国からの投資の妨げになることはないだろう、と説明した。とりあえずは収まった形になったが、今後どうなっていくのかはわからない。
これとは別のもう一つの問題でまたパラオは重要な選択を迫られた。トランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認定した問題だ。国連は認定の撤回決議案を出し、日本を含めた加盟国の大多数は賛成したが、アメリカ側について反対した国が9ヶ国あった。その9ヶ国の中にパラオが入っている。「弱小援助国を恫喝して」などと言われたが、現実問題しょうがないんだろうなあと思う。パラオはアメリカとの自由連合契約で安全保障はアメリカにゆだねているし、国家予算の3割ほどはアメリカからの援助に頼っている現実がある。しかしこの件は国内ではたいして大きな問題として考えられてない感じ。アメリカ側についた9ヶ国が特別に招待されて感謝の意を伝えられたことが好意的に報道された。
たった2万の小さなパラオ。大きな波に飲まれそうになりながら自分の航路を探している。
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Nature trail

2018-01-04 22:07:50 | 今日の出来事

PPRの裏山、ネイチャートレイルは子供が小さい頃はお気に入りの場所のひとつだった。白砂のプライベートビーチ、プールサイドバー、レストラン。リゾート感いっぱいのPPRの表の顔とはまったく違う世界。うっそうとしたジャングルに足を踏み入れれば聞こえるのは白尾ネッタイチョウや山鳩の声。足元で落ち葉をカサカサさせているのはトカゲか、カエルか。時折木の葉や木の実が落ちる音。湿気たっぷりのジャングルの匂い。そんな山道を登りながらちょうどいいサイズの棒を拾っては手当たり次第バシバシ叩きつけるのが男の子たちの遊びだった。ジャングルを抜けると遠くウーロン島を臨む展望台があった。そこの東屋の天井には特大級のトカゲがひっついていて、梁の隙間には大きな卵が産み付けられていた。そんなトカゲを飽きずに観察した。子供が大きくなってからはしばらくこのネイチャートレイルには来ることがなかった。たぶん施設の整備でしばらくクローズしていたのではないだろうか。トレーニングのために反対側の舗装された道路を上り下りすることはあったが、ビーチ側から上るネイチャートレイルの道は閉ざされていたように思う。それがこの間、いつものようにトレーニングのために坂を上っていると途中に「ネイチャートレイルはこっちですよ」、と看板が出ていた。あれ?こんなの以前はあったかな。看板に誘われてそっちの方に行ってみると、途中から馴染みの道に出た。ああ、ここから上っているんだね。登りきるとあの東屋があり、そこから夕焼けの海に浮かぶウーロン島を見渡すことができた。深く息を吸う。心洗われるような素晴らしい景色を独り占めだ。来る道も帰り道も誰一人とも出会わない完全プライベートトレッキング。トレイルはだいぶきれいに整備されていて歩きやすかったけれど、東屋のトカゲの卵も掃除されていたのはちょっと残念。。まあ産卵場所を別のところに移しただけでしょうけど。そんなことを考えながら歩いていたら雨が降ってきた。滑らないように気を付けて。雨が木々の葉っぱにあたる音を聞きながら歩くのもまたいい。
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2018年の夜明け

2018-01-02 22:16:38 | 今日の出来事

いつになく鶏の声がよく聞こえて目が覚めた。時計を見るとまだ5時半だった。パラオに来たばかりの頃はこの鶏の鳴く声と犬の遠吠えがうるさくて眠れなかった。なんせ夜となく朝となくいつでも鳴き出したら止まらないのだから。耳栓をして寝たこともあったが、それも今となってはすっかり子守歌だ。まーったく気にならなくなった。今朝、久しぶりに鶏に起こされてみるとその異常なひっきりない鳴き方に驚いた。よくこんな状態で寝ていられたもんだなあと自分がおかしくなった。そしてそのしわがれた必死のコケコッコーを聞きながらいつの間にかまたうとうとと寝てしまっていたのだった。
そんな平和な元旦。外は青空、いい天気。雑煮の下ごしらえをしながら夫に「正月の餅は男が焼くんじゃないの?」と聞くと、「そうだよ。」と言いながら何もする気がなさそうなのでしょうがないので自分で焼く。日本から持ってきた大事なお餅。あとはパラオで手に入る材料で適当雑煮。「正月だからシャツ着た方がいいかな。」と、やはりさすがに正月に上半身裸はまずいかなと考えてる様子の夫。「いつも通りでいいんじゃない?」 結局、昨夜の裸年越しそばに引き続き、裸雑煮。暑いからしょうがないよね。昔のパラオは赤いふんどし一丁が正装だったんだし。と言い訳しながら。それでは2018年もどうぞよろしくお願い致します。 
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