世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

自民のインフレ政策をあざ笑う市場の実態 投機マネーは踊るが現実は値下げの嵐

2012年12月27日 | 日記
誰も書かなかった 世界経済の真実 地球経済は再び斬り刻まれる (2時間でいまがわかる!)
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自民のインフレ政策をあざ笑う市場の実態 投機マネーは踊るが現実は値下げの嵐

 昨日、一昨日と実りなき「日本未来の党」に関するコラムを書いたが、書いている筆者自身が、なんともやりきれない気分になっていた。周辺の小沢支持者の意見も4分割の様相を呈している。1、小沢は嘉田飯田に騙されたのだ、即刻見捨てて“生活”を立ち上げろ。(何処までも小沢支持派)2、折角の新党なのだから、あらためて人事を嘉田と小沢で相談すべき(穏健派)3、今回の生活解党、未来合流、分党の説明を小沢が明確に説明しない限り、小沢の支持を考え直す(小沢の行動に不信を持つ派)4、もう騙されるのは嫌だ。小沢支持を速攻でやめた(あきらめ見放し派)

 どうも嘉田、小沢の話し合いで“分党”が有力になったと云う情報もあるが、嘉田側からのリークだけなので、実際がどうなるか不明な点が多い。方向としては間違いないのだろうが、政党交付金に分党の条項などはなく、交付金を受ける要件を満たした上で、分党するのか、阿部が離党するのか、“生活”が離党するのか、明確なことは判らない。亀井は離党を表明したらしいが、正式なものではないだろうから、1月1日現在の政党交付金の要件を満たした後、どうにかするのだろう。いずれにせよ、現時点では筆者も小沢を擁護しようにも、材料にこと欠く始末、やりきれない気分だけが蔓延している。

 まぁ当面、ことの成行きを注視するに留め、他の問題に取り掛かろう。ただ、小沢グループがどんな形で出直すにしても、今回の一連の政治行動の総括と説明責任は、小沢一郎に間違いなくある。この点だけは、今でも小沢支持だが、あらためて説明会見の開催を希望する。

 さて、26日安倍内閣が発足した。なんとも掴みどころのない自民党総出演の布陣である。だいたいにおいて、年末などに放送されるドラマも同じだが、総出演・総花ドラマはお祭りの雰囲気があり、炭酸が抜け、甘ったるい黒い液体と化したコーラのようになる。多分、安倍内閣も同じことだろう。まぁなんとかして、参議院選前までに経済の浮揚効果を現したいと云う意図は感じられる。しかし、派閥実力者起用は一見重厚に見えるが、責任担当の重複も多く見られ、船頭おおくして船山に上るの様相を呈しており、安倍晋三のリーダーシップが影を潜める可能性もある。

 今年の11月上旬から、国内の消費動向は経済指標の発表に関わらず、猛烈な勢いで冷え込んでいる。大手スーパーはどうにかして、固くしまった消費者の財布の紐を緩めるか、過激な値下げ競争を行っている。車の外交で飯を食っている連中の顔もさえない。都区内マンションの居住者用月極め駐車場は軒並み空きが目立つ。庶民の衣料関係もファストファッションが主流で、そのファストファッション自体にも息切れが見られる。今や楽天やAMAZONのネット通販花盛りだが、俗に言われる“大人買い”は影を潜め、必要な分を必要な時に買う行動が目立つ。

 このように、日本国内市場は完璧なリセッション(景気後退)が力強く進行している状況である。このデフレスパイラルからの脱却を当面の政治課題に打ち立て、衆議院選で地滑り的に勝ち取った安倍自民党内閣だが、政策云々の前に、逆風は更に激しさを増している。インフレターゲットと云う仮説の下で、日銀を巻き込み(恫喝含み)、党挙げて景気浮揚に取り組もうとしている。仮説・架空の市場である株式市場、為替市場は安倍内閣の政策に好反応を示し、上昇基調と円安相場が、安倍内閣の前途を祝っている。しかし、それは実態が伴わない投機市場故の現象であり、それにつられて実態経済が上向くと云う事は考えにくい。風が吹けば桶屋が儲かると云うほど、日本のリセッションは一時的なものではなく、構造的な問題だ。

 安売りで知られるニトリやジャパネット高田でさえ、売り上げの伸び悩みに苦しんでいる。マクドナルドは低売上店舗を閉鎖し、宅配にまで手を伸ばし、売り上げ確保を目指している。家電販売もエコポイントが一巡し、消費家電は当分大消費が起きにくい状況になっている。車は幾ら燃費が良くなっても、維持経費は家計を相当圧迫するので、敬遠される傾向は続くだろう。イオン、西友の間では、苛烈な値下げ競争が激化している。値下げ戦争に参加をせず気取っていたイトーヨーカ堂は客離れが激しく、セブンイレブンとの共通商品などで経費低減を目指していたが、顧客満足度が著しく他のスーパーに見劣りする為、ついに値下げ合戦に食料品を中心に参戦した。

 このように個人消費市場はデフレモードを追求する方向であり、どちらかが倒産するまで値下げ競争をせざるを得ない市場の雰囲気になっている。PCなど高価商品も、スマートフォンが概ねPCに代替する機能を搭載しているので、PC離れさえ起きている。外食の牛丼チェーン価格競争も更なる再燃モードになっている。“兎に角安い”が庶民の合言葉となり、ある部分、金があっても安価にモノを購入するのがトレンドと云う雰囲気さえ漂っている。“モッタイナイ”“倹約は楽しい”この庶民世界に拡がっているムードは只事ではないが、生まれたものは、どうしようもない。

 また、この原価割れのような価格引き下げ競争は、その産業内の下部構造(下請け、納入業者)を痛めつけるし、最終的には最上部企業の体力も失わせる。しかし、だからと言って、競争相手がある以上、体力勝負と知りながらも、安値訴求につき進まざるを得ないのが冷然たる事実なのである。このような庶民世界のトレンドを霞が関の連中は把握していても、知らなかったことにするだろうし、政治家の多くも、本当の実態を知る時間もなければ、その気もないわけだから、安倍晋三のような政策が持て囃される事になる。

 もう一つ見逃せないのが、実需のないマーケットで値下げ競争をする為には、企業体力を失うし、設備投資意欲も減退する。又、給与賞与は未だ下がる傾向であり、消費の更なる冷え込みも予測できる。そんな中、来春には「復興増税」が各家庭の可処分所得に打撃を与える。無能にして無策な電力会社の発電コストを庶民に押しつけるのも歴然としている。14年には、消費税が3%値上がりする。その次の年には更に2%値上がりする。その政治の醜態に抵抗出来ない庶民は、“モッタイナイ、買わない。買う場合は最も安いものを”と云う一種のトレンド。貧乏くさいのに、それが格好いいのレベルまで昇華させている(笑)。これは或る意味で主権者国民の“無言の抵抗”と云うものかもしれない。さぁ安倍内閣と財務省のバトルが愉しみだ。14年消費増税に関し、財務省は一歩も引く気がないようだから、見世物として面白い。

 ある意味で、安倍内閣は市場の趨勢に逆らう政策を断行すると云うことだ。上述のような市場の実態と、消費者の自己防衛本能に逆行する政策で、インフレを起こそうと云うのだから、多分効果は限定的。単に、効果が限定的で済めば幸運なわけで、消費市場が完全に冷え込んでいる状況で、人工的インフレ圧力を強める事は、各産業の底辺にある零細中小企業を壊滅的打撃を与えるだろうし、円安誘導がハゲタカファンドの跋扈を許し、収拾のつかない誤謬と悪意と悪魔の獲物になる可能性が大きい。このような阿鼻叫喚な国内市場に、TPP参加が加われば、国家の経済がハチャメチャになるのは自明だろう。そうなると、政治的解決は手立てを失い、世界金融資本等々の戦場と化し、身ぐるみ剥がされた国民がうろつく日本が見られるだろう。なんともご愁傷様な事である。


放蕩息子の帰郷―父の家に立ち返る物語―
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