世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●安倍の朝貢外交 改憲めど立たず“ウヨ豚”と別れの歌

2018年10月29日 | 日記
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●安倍の朝貢外交 改憲めど立たず“ウヨ豚”と別れの歌

安倍政権がレームダックすることは、時間の問題なのは、誰もが知っている。最長でも3年以上はあり得ないのだから、居眠りでもしていれば、いずれ“コロリ転げた木の根っこ”と云う按配だ。無論、安倍政権下で破壊された日本の根源的システムの修復に、多くの時間と労力と費用が求められるが、それは、国民全体の自業自得から生まれたことなので、「俺は反対した」と主張しても、詮ないことである。

安倍は、自衛隊観閲式で「(改憲は)これは今を生きる政治家の責任。その責任をしっかり果たしていく決意だ」と、憲法改正に向けての決意表明をした。常識的には公明党の協力を得る可能性を含め、日程的に厳しいと見るべきだろう。しかし、公明党が駄目なら、国民民主を抱き込んで、自民・維新・国民の3党で発議に持って行こうと云う強硬路線もないわけではないが無理筋な気がする。そうなると、衆参2/3議席の、国民投票発議のアドバンテージを失う可能性が濃厚になる。

来年夏の参議院選は、勝ち過ぎの自民党参議院議員の改選だけに、現在の発議に必要なアドバンテージを失うことは織り込み済みと言えそうだ。そうなると、安倍政権の功績と、強く国民が認識出来るような政治的出来事でもない限り、衆参同日選を打っても、現在より永田町での勢力図を良くする可能性はゼロに等しい。仮に、習近平の計らいで拉致問題を一気に解決しても(現実は悲惨な事実の確認だろうが)、夏の参議院選で衆参2/3議席喪失と云う情勢を逆転するのは困難に思える。ここで最も肝心なことは、安倍政権が国民に飽きられていることだ。政権が、どのような功績を上げても、国民の中に、ここから先我が国の展望は判らないが、安倍が首相を続けていけないようにしたい、そういう願望の空気が流れている点が重大だ。

その証左ではないが、沖縄県知事選、豊見城市長選、君津市長選、那覇市長選、川西市長選と、立て続けに与党側の候補が敗れている。個別に勝利者側に勝因があるだろうが、無党派の票が反安倍で統一されている点はたしかだ。仮に起死回生の得点を挙げても、“人格への疑問”は払拭しようがないわけであり、また、多くの悪政と悪行の数々を帳消しにすることは不可能だ。妄想的に願望していた北朝鮮と偶発的衝突もトランプの手の平返しで泡と消え、一強多弱体制であるにも関わらず、宿痾的憲法改正意欲の表明は、日本会議へのリップサービスだけで終焉と云う流れのようだ。

トランプに手の平返しを喰らい、プーチンからは馬鹿にされて、アベノミクスと云う言葉はメディアから消えた。安倍政権は、一強多弱の体制作りに邁進することが目的で、何をするかと云う目的を持たない、馬鹿げた政治集団だったことになり、前代未聞の政権だったと政治史に名を刻むことになりそうだ。安倍政治はピンボールの球のように、あっちに弾かれこっちに転がり、場外に弾き飛ばされそうになっている。

ついには、国会会期中だというのに北京に500人もの経済人を引き連れて馳せ参じ、朝貢外交に舵を切ると云う“ウルトラ出鱈目”な政治姿勢に転換した。このような外交姿勢は、日本会議勢力にとって、或いは“ネトウヨ連中”にとって、万死に値するような行為なのである。結局、アベノミクスの失政を経済界から責め立てられ、日米安保外交をしていたら、世界の潮流に乗り遅れ、数年後の日本経済はのっぴきならないことになる、と泣きつかれ、やむなく朝貢外交に舵を切ったと云うのが事実関係だろう。

結局、だいぶ前に水野和夫氏が唱えていた“ユーラシア大陸覇権回帰”が現実味を帯びてきたと云うことだろう。筆者も、水野氏と同様の考えを持っていたが、日本の右派勢力やネトウヨが地団駄踏んでも、中国が世界一の経済大国になることを止めることは、アメリカでも出来ないのが現状だ。アメリカの大企業自体、中国と対立するどころか、中国市場に、自らの企業の進出や製品を購入して貰いたいわけで、トランプ政権の外交姿勢と関わりなく、各企業は、独自の裁量で、中国マーケットへの参入を試みている。

おそらく、2030年前後に中国経済は、名目GDPにおいて米国を抜き去るのは確定的になっている。既に2014年に購買力平価ベースでは世界一になっているので、どこから見ても、中国が世界一の経済大国になることは避けようのない事実である。ゆえに、今回の安倍の訪中は正しい選択なのだが、プーチン、トランプの両首脳に翻弄された挙句の外交姿勢転換に映る意味では、相当に国際的評価は貶められる結果になるだろう。

世界の誰もが疑いようもない事実であるにも関わらず、この中国の世界一の経済大国と云う事実を認めたくない国民が多く住む日本と云う国の教養度はどうなっているのかと疑いたくなるが、戦前戦後と、中国を見下してきた日本人にとって、容認したくない感情があるのは理解出来るが、その感情を煽るようなかたちで、中国人を馬鹿にするテレビ番組が放映され、まだまだ中国は酷い国イメージの映像を垂れ流し、一般庶民に誤った事実誤認をメディアがフェイク的に囲い込んだ罪も大きいだろう。アメリカが覇権に固執する時は「米中戦争」だが、今のアメリカに中国と戦争したいと思う人間はアーミテージを含み、誰もいないだろう。

流石に「改憲」に黄色信号が灯った安倍にしてみれば、もう、“右翼・安倍晋三”という看板を下ろしても好い時期が来たと判断したのだろう。つまり、もう右翼の後ろ盾で政権を維持する魅力はなくなった、そう判断したきらいがある。おそらく、株価は2万4千円がピークで、1万6千円近辺で落ち着くことになりそうだが、日銀の異次元緩和、円安誘導も限界点が見えてきたようだ。いずれ、日銀黒田も店仕舞方向を模索することになるだろうが、ソフトランディングは、ほぼ不可能なわけで、小さな日本独自の恐慌くらいは覚悟した方が良さそうだ。

無論、今後も安倍一強が続くことはなく、来年の統一地方選、参議院選終了後、2/3議席のアドバンテージを失い、改憲右翼・安倍晋三は終わるわけで、後は野となれ山となれの心境だから、参議院選敗退で退陣と云う線が濃厚だ。そうすれば、選挙に敗れて2/3議席確保できず、改憲もままならず傷心に退陣する安倍首相を演じて、安倍一強作りに貢献した日本会議やネトウヨへの言い訳もでき、目出度く退陣するのだろう。まぁ、ここまで考えると、安倍以降の“自民党”と云う政党が面白い。

希望的観測も含むが、安倍退陣後、自民党が分裂傾向を見せるのではないかと考えている。菅が自民党分裂の台風の目と見ている。無論、菅が自民党を割るかどうか別にして、彼が総裁になろうとした瞬間から、自民党は分裂の様相を示すに違いない。菅がなるくらいなら、麻生も、二階も、岸田も。河野も、俺にも総裁の資格あるよね、そういう気分になる。勿論、石破は言うに及ばずだ。最大派閥細田派には、総裁候補になりそうな玉が居ないので、大混乱必至だ。小沢一郎も健在だけに、自民党に手を突っ込み、火に油を注ぐ可能性もおおありだ。

最後の方は、下世話な話になってしまったが、安倍一強なども、“幽霊の正体見たり枯れ尾花”という話に過ぎなかったとあきれ果てることになりそうだ。それにしても、日本人の中国見下し意識は、そろそろ卒業しなければならない時代が到来しているように思われる。そもそも、古代の歴史上の史実に基づけば、遣隋使、遣唐使の朝貢外交により、当時の先進文化を学んだわけであり、世界の歴史がぐるっと一回りして、中国大陸に覇権が戻ってきたことになるわけで、そう嘆き悲しむこととは思えないのだが、皆様はどのようにお考えだろう。


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