世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●「戦後レジュームの脱却」とは 米国に専ら追随すること?

2016年05月15日 | 日記
日ロ現場史 北方領土―終わらない戦後
本田 良一
北海道新聞社


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●「戦後レジュームの脱却」とは 米国に専ら追随すること?

世俗的日本においては、様々なことが起きている。順不同で書き出し、ひと言で断罪しておく。舛添都知事が、あまりにもお粗末な金の使い方で窮地に陥っている。人品卑しい男であることは、つとに有名なので、“ざまあみやがれ”で一件落着だが、東京都議会を中心とした、権力闘争の趣もある。安倍官邸も、舛添を毛嫌いしているので、どっちもどっちの下世話な話と云うことだろう。

三菱自動車が電光石火で、日産ゴーン傘下に入ったわけだが、昨年末の時点で、ゴーンの触手が三菱自動車に向けられている事は、業界の通説だった。三菱自の燃費不正問題は、数年前から日産は判っていたので、ネタを出すタイミングを計っていたのだろう。世界販売1000万台を達成するには、M&Aが当面の目標だったので、買収額が少なくて済むタイミングを見計らったに過ぎないのだろう。まあ、鉄の結束と言われる三菱グループの金曜会にしても、主たるメンバー(三菱商事、三菱東京UFJ銀行、三菱重工など)が傷だらけという事情を抱えていたので、渡りに船のタイミングだったに過ぎない。ゴーン社長のお手並みで、腐った企業文化を変えられるのか?そして、日産のお荷物にならないのか?今後に注目したい。

東京五輪招致委員会が1億6千万から2億円以上の使途不明金をシンガポールの自称コンサルタント会社(どうもペーパーカンパニーらしく、既にない)に支払ったそうである。この金が、国際陸上競技連盟の元締めディアク氏の手に渡ったようである。早い話が2020年オリンピック開催の買収資金なのだろうが、同氏の息子とも親しいイアン・タン・トン・ハン(Ian Tan Tong Han)氏が開いた口座に送金したようだ。その口座は、見事に消えているらしい。また、ハン氏は、「電通スポーツ」の子会社「Athlete Management and Services」のコンサルタントを務めているので、オリンピックと電通と云う図式が完成する。

パクリデザイナー佐野研二郎氏を当初から用意したのも電通だった。五輪招致買収工作も、「アンダー・コントロール」と云う言葉も、多分、電通の差配によると見立てておいて問題ないだろう。マスメディアは、とてもタブーになっている「電通マター」。安倍官邸の世論誘導の多くが、電通発信によるものが多いのだろう。陸上競技場の設計もスッタモンダだったが、隈研吾氏の設計採用も、新エンブレム(市松模様)の野老朝雄(ところあさお)氏にまで、疑惑の目が注がれる。それぞれに、すべて「電通」が絡んでいるのだろう。どうも、「電通」という広告代理店をのさばらせ過ぎた日本の大問題なのかもしれない。舛添潰しにも、電通が一役買っていると穿った考えにも至る。

オバマが、サミット終了後、現職大統領として被爆地ヒロシマを訪問すると云う話も胡散臭い。謝罪する気はないが、訪問する。つまりは観光すると云うことだ(笑)。その返礼に、天皇に真珠湾を訪れると云うバーター取引きのようである。つまり、安倍官邸は、オバマにレガシーを作らせ、ヒロシマ訪問を勝ち取ると同時に、天皇を政治利用しようとしている。どうにも、電通や安倍官邸は食えない連中の巣窟である。「核兵器のない世界」を目指すと就任当初から主張し、ノーベル平和賞まで手にしたのだから、最初と最後だけ「平和主義者」を演じるオバマの手助けをしているのだが、彼が、ヒロシマ訪問時にも、核兵器の発射コードを打ち込む「核のフットボール」を随行させるのだから、平和も「核兵器のない世界」もあったものではない。ヒロシマ訪問中に、オバマは核兵器をぶっ放す装置を持っていることを、我々は知っておくべきだ。

とまあ、色んなことが起きている。安倍晋三は日本と云う国を壊す為に内閣総理大臣になった男として歴史に名を残すのは確実だが、唯一、手柄を上げられるとすれば、「日露接近」だ。この問題は、どのような解決アプローチになるかは別にして、プーチン大統領とと云う権力者が、その座にある内に道筋をつけないと、永遠に北方四島の帰属問題は解決できないと読む。賤しくも民主的選挙の洗礼を受けるロシア大統領に、プーチン以上の権力者が生まれることは、おそらく、将来的にあり得ない。となれば、プーチンが実権を握っている間に解決すべきである。山田氏と筆者の間では、アメリカヘゲモニー力への評価 、プーチンの外交姿勢への評価に関しては、相当の開きがあるが、山田氏はジャーナリストとして、評価できる。

四島返還でなければ駄目だ等と言っている連中の話を、真に受けている人間は少ないだろう。国家間の国境問題の通説から推し量れば、歯舞群島、色丹島、国後島の3島返還というのが、按配の良いところである。前者の2島だけでは、ネゴシエーションしたことにならないので、国後島の帰属が焦点になる。まあ、どの程度の経済協力を、バーター取引するかどうかの問題もあるが、シベリアや極東開発は、日本にもメリットのあることなので、今までのように、世界中に金をばら撒く異様な外交とは一線を画すだろう。「戦後レジュームからの脱却」と言いながら、安倍首相は、アメリカ一辺倒外交をしてきたのだから、自己矛盾のシンボルのようなものである。

仮に、参議院選、場合によれば衆議院選の為のパフォーマンスとして、日露問題を利用するだけなら、やはり、安倍と云う男は、単に長いこと首相の座に居たいだけの口先「法螺っちょ」だったと云うことだ。それが嫌なら、対米従属専科だった安倍という「ヘタレ右翼」として、歴史に名を残すのみだ。一つくらい、お国の為になることをやっても罰は当たらんだろう。流石、右翼政治家だったと、国民を唸らせる為政の一つくらいは、どれ程のアホでも、実績として残したいのではないだろうか?

まあ、買被りすぎな気もするが、安倍晋三にも“さかろの道”を提示したい武士の情けだ(笑)。ロシア経済の疲弊も限界点に達しているだろうし、EUも実のところ、アメリカにつき合わされているが、ロシアとの交易は喉から手が出るほど求めている。オバマ大統領の顔を立てると云う段階は、レームダック期間に入りつつあるオバマなのだから、それほどのパワーはないと読む。その上、ここ数日のコラムで言及しているように、アメリカは大統領選を通じて、行き先を見失っている大国という姿を晒しているのだから、あらゆる状況が、日露外交の追い風となっている。この大チャンスを選挙のためのパフォーマンスにするようなら、「国賊総理」と指を差しても非難される謂れはない。


≪ 「日露接近」がサミット真の懸案、首相は欧米を説得できるか
安倍首相はロシア南部のソチに赴き、プーチン大統領と会談、「新たな発想に基づくアプローチ」で両国の関係改善を促した。焦点は北方領土。さらに日ソ平和条約、シベリア共同開発へと広がる。歓迎できる方向だが気になることある。安倍首相はどこまで本気なのか?
 日本政府が「国際社会」と呼ぶアメリカやEU諸国がこの動きを歓迎するはずはない。抵抗を突破する気概が首相にあるか。クリミア半島の併合やウクライナ紛争でロシアと「国際社会」は険悪な関係だ。プーチンが安倍を誘い込むのを欧米諸国は黙って見ていないだろう。
 伊勢志摩で行われるG7サミットで「日露接近」は隠れたテーマに浮上した。「日本は何を考えているのか」という疑念を安倍首相は払拭できるだろうか。

■経済政策は出来レース サミット真のテーマは日露接近
 G7サミットは主要先進国が結束をアピールする政治ショーとなった。ホスト国の首相の顔を立てるのがサミットのならわしだ。日本が取り組む近隣外交を他国が表だってなじることは、まずないだろう。
 日本の役目は各国が合意できるG7声明をまとめること。成長に陰りが出た世界経済に「金融緩和、財政出動、構造改革」の三本に矢をぶち上げる手はずになっている。
 堅実財政にこだわるドイツは財政出動に懐疑的だが、各国が足並みそろえて景気対策を表明することに反対はしない。財政出動で声を合わせても、どこまで踏み込むかは、それぞれの政府が決めることだ。
 表舞台の政策は官僚がお膳立てする。ホスト国の首相は、事前に各国を回り「よろしく」と挨拶するのが仕事だ。首脳を集めることに意味がある。勢ぞ ろいし、にこやかに結束する映像がメディアに流れれば「成功」なのだ。テロでも起きなければ、サミットの表舞台はシャンシャンで終わるだろう。
 問題は舞台の裏だ。日本はロシアとの関係を説明しなければならない。
 外交の場でしばしば語られる「力による現状変更」。日本では尖閣諸島や南シナ海での中国の動きを指すが、欧米ではプーチンの振る舞いにこの言葉が 使われる。クリミア、ウクライナだけでない。シリア内戦でもロシア軍の空爆は容赦なく地上の命を奪い、アサド政権の支配地を拡大している。プーチンは嫌わ れ、危険視されている。
 日露接近は、孤立するプーチンが日本を抱き込む外交戦略でもある。北方領土という餌で誘き寄せ、窮地に立ったロシア経済をジャパンマネーで潤そうという筋書き。EUやアメリカはそう見るだろう。 プーチン会談へと動いた外務省ロシア人脈も似たような見方をしている。西で欧米と対峙するロシアは東の日本に寄って来る。国内経済は悪化し、シベリア開発のカネもない。恩を売って領土交渉を有利に進めたい――。
 安倍に持たせた8項目の手土産は日本得意の経済協力だ。石油・ガスなどエネルギーの開発や病院、上下水道、交通網の整備など盛りだくさん。シベリアに手が回らないプーチンは大歓迎だ。
 今後の交渉手順も決まった。6月に平和条約締結に向け次官級会合が、9月には安倍がウラジオストックを訪問し首脳会談を行う。ウクライナ紛争の勃発で凍結されていた「日露歩み寄り」が再稼働したかに見える。
 関係修復は日露新時代を思わせるものだが、大きな壁が立ちはだかっている。一つは国際社会の壁。もう一つは国内世論の壁だ。

 ■「4島一括返還」を主張する 強硬派を安倍首相は説得できるか
「日本は『4島一括返還』を主張してきた。それが現実的にあり得ないことは交渉に関係した者なら分かっている」  外務省OBは言う。領土問題は、歯舞・色丹の2島を返還させ国後・択捉は事実上諦める、というのが現実的選択になっている、というのだ。
 戦後70年、ソ連時代を含めロシアの実効支配が続き、北方4島、特に国後・択捉島には都市機能や軍事施設が整備された。
 政府は「ビザを取得して訪問することはロシア領であることを認めることになる」と邦人の渡航を禁止している。訪れる人は少なく北方領土はロシア人の島になっていった。
 安倍・プーチンで合意した「新たな発想に基づくアプローチ」は何を意味するのか。双方とも語らないが、こう着状態にある北方領土の打開策だろう。領土問題が動かなければシベリア開発も日露平和条約もありえない。
 これまでの交渉は、日本が4島返還を主張してまとまらず、時の経過の中でロシアの実効支配がますます進む、という悪循環だった。「この機会を逃せば北方領土は返ってこない」という思いが外務省にはある。
 2島だけでも返って来れば日露関係は回りだし、シベリア開発など日本の経済圏が広がる、と期待する。 日本の世論はどうだろう。安倍首相に期待を寄せる右派に「2島返還はあり得ない」と主張する強硬派が多い。
  「4島一括返還」にこだわってきたのは歴代の自民党政権だった。政府部内では「2島返還先行」が現実案として検討されてきたが「敗北主義」として封印された。
  「新たな発想に基づくアプローチ」とは「2島返還」が軸となると見られるが、安倍首相は返り血を浴びる覚悟で現実路線を訴えることができるだろうか。

 ■欧米は対露接近を許さない 首相に「独自外交」を貫く覚悟はあるか
 サミットで首相は「日露接近」を各国にどう説明するのだろうか。
 日露会談がサミット直前にセットされたのは最悪である。日本は何を考えているのか、と首脳たちは当惑しているだろう。
 日本がロシアと領土問題を抱えていることは知られている。参議院選挙が間近に迫っていることも分かっている。だが、ロシアに接近することはG7の結束にヒビを入れる。アメリカも「晋三は本気でプーチンに近づこうとしているのか」といぶかしく思っているだろう。
 残念ながら、日本にはG7諸国を黙らせる政治力はない。説明して納得してもらうしかないだろう。ロシアと友好関係を結ぶことが国際社会の秩序と世界平和にどう貢献するのか。首脳たちが聞く耳を持つほどに安倍首相は敬意を得ているだろうか。
  「本気でプーチンと手を組むことはアメリカが許さない」との見方は外交関係者に少なくない。シリアやウクライナの情勢を脇に置いて日露が接近することはEU諸国も認めないだろう。日本の勝手な振る舞いは許されない。それが今の「国際社会」である。
 このような論理はアメリカやEUの都合でしかない。日本には日本の事情があり、国益を貫くのが自立した外交ではないのか。信念があれば、自らの道を進めばいい。政治家安倍晋三の真価が問われる局面である。
 賢明な読者はお分かりだろう。安倍晋三にその器量があるだろうか。
 慰安婦問題で昨年12月、韓国と合意し「日本政府は責任を痛感し、元慰安婦の方々に心からおわびと反省の気持ちを表明する」という談話を発表した。
 首相になる前、さんざん批判していた河野談話に沿った決着だった。持論を引っ込めた裏には「日韓関係を正常化しろ」という米国の意向があった。 「戦後レジームからの脱却」と言いながらアメリカへの自発的従属が続いている。日米ガイドラインの変更やTPP交渉によく表れている。
 心情的には「右翼」だが、バックボーンとなる思想があるようには思えない。受け売りのような軽い言葉。自分の発言を簡単に忘れ、都合のいい理屈を 並べ立てる。過去や未来への責任が希薄。そんな傾向が目立つ首相が、壁が立ちはだかる日露関係を打開できるだろうか。そもそも「日露」へ深い思いを持つ政 治家ではなかった。

 ■日露接近は選挙向けの パフォーマンスに終わるか
 ここまでは官僚が用意した神輿に乗ってきた。同行記者を引き連れてソチでプーチンとの2ショットに納まった。次はオバマ大統領を広島に案内する。イベントとしての政務には熱心で、本人もご満悦の様子だが、これが政治では困る。
 対ロ接近に現実味が出てくればアメリカが動き、外務省中枢も黙ってはいないだろう。首相はどう裁断するだろうか。 「アベノミクスのメッキが剥がれ、上手くいっていたはずの経済が失速している。成果とするはずのTPPも歯車が狂った。八方ふさがりの中でプーチンの誘いに飛び乗ったが、この先は簡単ではない」
 20年来の友人という閣僚経験者はそう指摘する。首脳会談や共同記者会見など脚光を浴びるのは好きだが、状況を自ら突破しようという意欲に欠けるのが安倍晋三だという。
 G7諸国に抵抗されれば、日露接近にブレーキが掛るのではないか。
 小泉政権の北朝鮮外交がそうだった。外務省のアジア人脈が独自の外交ルートをたどり日朝平壌宣言にこぎ着けた。日本が北朝鮮を国際舞台に引き出すか、と期待されたが、アメリカから横やりが入った。孤立化を深めた北朝鮮は核開発に一段と力を入れるようになった。
 プーチンのロシアも似た状況にある。国際的孤立、国内経済の混乱、開発資金の欠乏。経済協力しかカードのない日本が自らの外交力を活かせる貴重な機会である。その日本に対ロ外交の自由はあるのだろうか。 「対ロ接近はG7の枠組みの中で」という制約がサミットの裏で課せられるのではないか。ロシア経済を温める経済協力にも注文が付きそうだ。「国際協調」という美しい言葉で頭を押さえられる。日本は、アメリカの意向なら仕方ないという、もの分かりのいい国である。
 G7の干渉を振り切る覚悟が首相にない限り、日露接近は選挙向けのパフォーマンスに終わるだろう。  ≫(ダイアモンドONLINE:国際―山田厚史の「世界かわら版」)

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2 コメント

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Unknown (東北人)
2016-05-15 11:47:26
オバマの広島訪問は、読売正力の原爆から原子力の平和利用キャンペーンみたいに、原爆資料館で原子力の平和利用啓蒙という真逆の展示が行われたように、日本国民を思考停止させ、原爆投下という反米から日米友好という逆転の世論誘導キャンペーンが大展開されるのだと思います。
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Unknown (武尊)
2016-05-15 23:27:53
あいば氏の言う通りと思ったのは、オバマは片手に核のボタンを持ちながら、献花するんですよね(怒)そういえばプラハでの演説の時にもそうだった訳で。よくこんな人間にノーベル平和賞なんて授与したもんだわな。ネット上でノーベル賞の欺瞞を云う人が時々いるんですが、これを考えたら、全くその通りです(笑)
 >シリア内戦でもロシア軍の空爆は容赦なく地上の命を奪い、アサド政権の支配地を拡大している。プーチンは嫌わ れ、危険視されている。
山田氏のこの発言には納得できませんねェ。まるでプーチンだけがシリアで殺戮をしている様な書きぶり。おかしいじゃないですか?アサド政権は国民が選んだ政権ですよね?それこそシリアの憲法に則って選ばれてるんですよ。これはウクライナにも当てはまります。今のウクライナの政権は革命政権です。国民が選んだ大統領を違憲状態で追い出した政権です。
全ては西側(特に米国)の思惑に沿った計画によって作られている状態といっても過言じゃない。そんな状態から米国などの行動を排除した書きっぷりは如何なんでしょう?チョッとイタダケないなあ、と思いますね。
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