世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

小泉の構造改革の百倍の威力を持つTPP 日本はアメリカ国内市場と化す

2011年10月05日 | 日記
間違いだらけのTPP 日本は食い物にされる (朝日新書)
東谷 暁
朝日新聞出版



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小泉の構造改革の百倍の威力を持つTPP 日本はアメリカ国内市場と化す



 先回の拙コラムで「米国の焦りがTPP推進 ドル基軸圏の死守と覇権国家維持は同義だ」で語ったように、オバマの緊急改革要望として「普天間移設」、「TPPへの交渉参加」、「北朝鮮核・拉致問題」、「牛肉輸入問題」、「ハーグ条約」が羅列されたようである。しかし、普天間や拉致が早急にどうなるものでもない。野田政権の姿勢一つで、米国の要望に沿えるものは「TPP交渉参加」と「ハーグ条約」だけになる。勿論、米国の唯一の目標は日本の「TPP交渉参加」だ。

 TPPが環太平洋戦略的経済連携協定等と邦訳がつくから、妙な幻想を抱くわけで、実体は「包括ドル基軸連邦協定」のようなものである。関税の撤廃だけならFTAやEPTで個別に充分外交が可能なのに、何故TPP(包括ドル基軸連邦協定)なのかである。工業製品や農産物の自由化なんてのは“とば口”であり、金融、電気通信等サービスの自由化であり、公共事業等政府調達の自由化であり、知的財産の自由化である。その上、投資や検疫、労働力等の自由化まで網羅されているのだ。つまり、国家の存立の根っ子を米国化したいと言っている。

 つまり、ドルの世界的通貨基軸が揺らいでいる事への焦りから、堅固な「ドル貿易圏」を再構築しておこうという強い希望なのだ。勿論、輸出を増大させて米国内雇用を確保すると表明した、オバマの公約実現のパフォーマンスと云う側面もある。米国が輸出できるものは限られており、TPPの関税障壁撤廃で輸出が増えるなど夢物語だ。やはり、狙いは保険金融が主体なのだろう。

  「TPPを慎重に考える会勉強会」が開かれたようだが、外務、経産省、農林の官僚が説明したが内容は乏しく、勉強に値しなかった。彼ら自身、なにも判っていないのである。カナダ、メキシコ、ブラジル、フィリピン、インドネシア、中国、台湾、韓国が不参加の「環太平洋戦略的経済連携協定」なんて、糞みたいなもので、単に「日本市場」に米国資本がありとあらゆる分野に資本参加したいと主張しているだけである。こんな提案を真面目な顔をして議論すること自体、キチガイじみている、異様だ。

 日本の市場開放を契機に、ドル余りの米国金融業界が、米国内の市場には投資する対象物が枯渇してきたので、属国日本の市場にドル資金を注ぎ込みたいから、その仕組みを整えよ、と命じられただけの事である。明らかに、日本の金融資産に狙いは定められている。金融市場原理主義のグローバル経済から抜け出す事が出来ない米国は、「太らせた家畜」を今こそ食べる時だと、戦略的に決意した「協定」に強制的に加入することを強いているのだ。

 TPPの「交渉参加」はイコール「参加表明」と受けとめられるきらいがあり、交渉参加だからイイだろうと云う理屈は通用しないのが、今の日米の力関係だ。日本の国債格付けが意図的に引き下げられ、如何にも「財政の悪化」が喧伝されている。だったら日本の市場も糞のようなものの筈だが、さにあらず、日本国家の市場価値、否、資産価値は莫大であり、オバマはそれが欲しいと言っているのだ。

 仮にTPPへの「交渉参加」を野田首相がオバマにイエスと言った場合、日本市場は無価値に接近しているドル資金が怒涛の如く押し寄せ、日本市場を席巻し、タヌキの葉っぱで誤魔化された「ドル札」を掴まされ、既に疲弊した経済状態を、復元不可能な処まで陥れるに違いない。現在の野田政権がこの米国の圧力を跳ね返す力量があるとは思えないので、酷く不安である。米国の植民地国家が決定的になる瞬間かもしれない。

 どうも、マスメディアにせよ、経団連にせよ、野田首相にせよ、TPPの重大さを認識しているのか、甚だ疑問だ。引き返せない、奈落への道を歩むことになるやもしれない。交渉参加表明からの離脱には、交渉の席につく百倍の困難があり、米国なにするものぞ、と云う命を賭す強い政治力が求められることになる。多分、今回のTPPの我が国への影響力は、小泉の構造改革の比ではないことを、国民はもう少し考えるべきである。勿論、民主党もである。


ドル終焉 -グローバル恐慌は、ドルの最後の舞台となる!
浜 矩子
ビジネス社


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