世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

フリーズした“消費増税法案” 野田首相に残された「二者択一」責任のとり方

2012年06月06日 | 日記

 

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フリーズした“消費増税法案” 野田首相に残された「二者択一」責任のとり方


 今夜は時間がないので、ササッと現状の政局について語っておく。既に、消費増税法案は、マスメディアが、未だに与野党協議に関して“あぁでもない、こうでもない”と言っているが、終わったと筆者は主張している。あて推量だと非難しても良いが、法案は、完全に宙に浮いてしまった。要因は数え切れないほどある。

 第一に、政策自体が間違っている事だ。第二に事を進める順番が前後した為に、悪政ばかりが目立ってしまった。第三に、野田と谷垣と云う政治運営の素人が、旗幟をあまりに鮮明にし、双方が高々と戦国武将の勢いで居丈高に出てしまった態度だ。第四に、小沢一郎の存在感だ。第五に、世界の経済財政事情が、財務省のシナリオと異なる方向に動いてしまったことである。

 これだけ悪条件が揃えば、処世訓政治家・野田佳彦に救いの道は、殆ど残されていない。なんといっても民主党マニュフェストの全面放棄は口が裂けても言えないのに、自民谷垣らは、民主党政権自体の放棄に近い要求をしてしまった。これでは、まとめるだけでも数年掛かる(笑)。つまり、纏まらないのだから、法案は消滅。最高でも、継続審議だろう。

 朝日新聞の世論調査であるにも関わらず、消費増税法案を「今国会で成立させるべき」はたったの17%だった。多分真実は10%が良い所だったのだろう(笑)。法案自体の賛成でも32%、反対が56%だ。朝日による、過去5回の調査でも法案賛成34%が最低だったが、それを大幅に下回った。特に男性の賛成が4割以上から35%とに落ちたのが目立つ。この意味するところは、世界経済財政の諸条件が劇的に変わったことを印象づける。つまり、増税なんて言っている時か!と云う認識が流石に増えてきたと云う事だろう。

 だいたいが、野田首相が死ぬ気で法案を通したいのなら、海外にノコノコ出て行く時間などない。法案を強行採決で通そうが、話し合いで通そうが、次期民主党代表に選ばれる可能性はゼロ。つまり、日本の内閣総理大臣ではなくなるのは確実なのだから、外交に副総理や副大臣、或いは元首相鳩山が代理で行っても、怒る相手は居ない。現実は、野田にはもう消費増税法案への“不退転”の気持はさらさらないから、G20、国連持続可能な開発会議(リオプラス20)と外交日程に前向きなのだろう。党幹部、特に輿石幹事長に法案成立の日程を任せ“俺外交”では、辻褄が合わない。

 つまり、マスメディアが与野党協議がどうだこうだ言っているが、あれ自体“消化ゲーム”の遊びだろう。筆者の穿った二度に亘る三者会談(小沢・輿石・野田)は三者会談だった点がポイントだ。岡田・仙谷・前原等も蚊帳の外、本当の中身を知ることが出来ず、岡田等の苛立ちは頂点に達している。なぜ、野田佳彦は、消費増税法案の強行に慎重姿勢な二人と膝を交えたかだ(輿石は隠れ反消費税)。どう云う“落とし処が良いのか”それが会談の中身ではないかと推測するのが自然だ。

 野田が会談に先立ち、何度となく「小沢さんも、消費増税に反対なわけではない。問題は時間軸だ」と再三再四口にした。これが野田のアリバイづくりである可能性がある。「この法案によって党が割れることはない」と輿石は宣言している。つまり、マスメディアの嘘解説を省けば、時間軸の調整が必要だ。民主党を割らない事が最重要課題だ。解散なんてトンデモナイ。なら、どうして未だに野田首相は強弁しているのか?

 答えは簡単。あくまで財務省を敵に回さない事が肝要、と云う一致点があったのだろう。野田も今さら、「勝さん、アンタの考えは無茶だ」とも言えない。輿石・小沢に潰された、無力な首相を演じさせてやる、と云う事だろう。此処からは、穿ち過ぎのきらいが大ありの憶測だが、「継続審議の中、徹底した行財政改革の政策が明確になれば、野田内閣の継続もあり得るだろう」と云うニアンスの話もあったかもしれない。「野田首相も、シロアリ退治の演舌を、舌禍のままにしたくはないでしょう?」輿石なら言いそうだね(笑)。

 消費増税法案は完全にフリーズした。レンジでチンでは解凍出来ない固さのフリーズだ。それでは“不退転”の責任は“総辞職”本来ならその通り。たしかに、概ねそうだろう。しかし、であれば二度も三者会談した意味はない。野田の責任の取り方に、僅かに残されたのが「徹底的・行財政改革」と云う表明だ。コチコチの氷の塊りを溶かすには「“シロアリ退治”を含む“行財政改革”が先行する事だ~」と云う、過激な宣言があれば、お手並み拝見でも構わない、と小沢が逃げ道の一つを示唆したかもしれない。小沢一郎には、そう云う弱点というか、魅力というか、そう云うものを持ち合わせた政治家なのだ。

 筆者の、穿ち過ぎな憶測が外れて、総辞職が一番スッキリすることは事実だが、さて事実は如何なることになるのだろう。「総辞職」か、「シロアリ退治不退転」宣言か?おそらく、野田の政治的決着には上記の択一が残されているような気がする。「総辞職」は“一丁あがり”で下り坂だけが待っている。「シロアリ退治不退転」宣言なら、僅かに代表続行の芽も残る。さぁ野田君は、どっちを選ぶのだろう?





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